新食育基本計画 地場産活用を広げよう

 食は命の源である。健康で心豊かな生活には、健全な食生活とそれを支える国内農業が不可欠だ。政府は第4次食育推進基本計画を決めた。必要なのは実行力。産地や環境を意識した農産物の選択や、学校給食での地場産物の拡大など国民的取り組みで、持続可能な食と農を実現しよう。

 同基本計画は、2005年に施行された食育基本法に基づき食育推進の基本的方針や目標を定める。新計画は21年度から5年間実施する。生涯を通じた心身の健康や持続可能な食を支える食育の推進などが重点。また、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の考え方を反映させた。

 SDGsの一つ、食品ロスの削減で新計画は「何らかの行動をしている国民」を80%以上に増やす目標を掲げた。3次計画でも同じ目標を掲げたが、76・5%にとどまった。食べられるのに捨てられる食品が日本では年間612万トン(17年度)に上る。世界には飢餓に苦しむ人が7億人に近くもいる。食べ物を大切にする機運を高めたい。

 食育は、家庭、学校・保育所、地域の三つの場での取り組みが重要だ。特に地場産物の活用と食育を学校給食で一体的に推進することは、地域農業や農家の努力への理解を増進する。「生きた教材」として積極的に取り入れるべきだ。新計画では、給食時間の活用や教材の作成など、栄養教諭の指導回数の増加を目標に掲げた。同教諭を増やすなど環境づくりが必要だ。

 地場産物と国産食材を学校給食で使う割合も目標に設定。算定方法を食材数ベースから金額ベースに変えた。現場の供給努力を反映しやすくしたという。目標では、19年度比で同割合が維持・向上した都道府県を、25年度にいずれも90%以上にする。19年度は全国平均で地場産物が52・7%、国産食材が87%だった。

 産地や生産者を意識して選んだり、環境に配慮して生産・流通したものを選んだりする国民を増やす目標も掲げた。地場産物の利用とともにSDGsと重なり、食料自給率の向上や環境負荷の軽減に貢献する。国や自治体、教育、農業、食品産業など関係者が連携し国民運動を展開、意識改革を進めてほしい。

 仕事が忙しく家族と一緒に食べる「共食」が難しい家庭がある。家庭に加え、子ども食堂のように地域の人と食卓を囲んでコミュニケーションをとる取り組みが重要だ。生活に困っている人への食の支援も課題だ。子ども食堂やフードバンクなどを広げたい。

 農業現場も食育の場だ。農業体験や環境に配慮した農業の推進、食の支援など、農家やJAには食と農を両輪とする「食農教育」に一層積極的に取り組んでほしい。それが食育の国民運動を支える。

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