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和牛子牛80万円迫る 堅調の枝肉相場に連動 高止まり懸念も
和牛子牛価格が80万円に迫る高値で推移している。枝肉相場が好調なことに加え、大型連休の需要期向けに肥育牛の出荷が進み、導入意欲が強い。一方、資金力に余裕がない中小肥育農家を中心に子牛高値の負担感が大きくなっており、価格の高止まりを懸念する声も出ている。(斯波希)
JA全農がまとめた全国の主要家畜市場の4月の取引結果によると、1頭平均価格は78万7957円(22日時点)。……

[活写] 上を向いていこう
富山県砺波市で22日、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が展示飛行し、国内最大級の花の祭典「2021となみチューリップフェア」の開幕を祝った。
同市は、国内屈指のチューリップ球根の産地。メイン会場となった12ヘクタールの砺波チューリップ公園には、300品種、300万本のチューリップを展示した。産地ならではの多彩な品種で、巨大な地上絵や、県の観光名所「雪の大谷」を再現した花壇などを設け、来場者を楽しませる。県のオリジナル品種をモチーフにした新しい展望タワーも登場した。
フェアは今年で70周年を迎えた。昨年、新型コロナウイルス感染拡大を受けて初めて中止したが、節目となる今年は、飲食エリアの制限など感染対策を徹底して開催した。
開会式に出席した県花卉(かき)球根農協の石田智久組合長は「厳しい状況下での開催だが、直接産地に足を運んで花を見てもらえることは生産者の励みになる」と話す。
フェアは5月5日まで。(染谷臨太郎)
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果実もたるもオール山梨でワイン 丹波山村産ミズナラ全国初活用 甲州市の醸造所が今秋初出荷へ
山梨県丹波山村と甲州市のワイナリー「奥野田葡萄(ぶどう)酒醸造」が、同村産ミズナラを使ったワインだるを開発した。これまで県産材を使ったワインだるがなかったことから、「オール山梨産」のワインを作ろうと企画。村の林業を再興したい思いなども重なり、約4年の歳月を経て完成にこぎ着けた。国産ミズナラのワインだる製造は、全国で初めてという。今秋にこのたるで熟成した白ワインが完成する見通しだ。(長田彩乃)
林業再興めざし開発
県産の材料にこだわるワイナリーの代表・中村雅量(58)さんが考案した。村の特産品開発や林業復活などにつなげたいと、村とワイナリーが共同で開発を進めた。
4年前から取り組みを始め、調査や業者の選定などしてきた。昨年3~12月に村有林を伐採して、2メートル材60本を製材。今年3月末にたるが完成、検品を経て4月にワイナリーへ納品された。
たるには樹齢約70年のミズナラを使用。大きさは直径35センチ、長さ40センチ、容量は18リットル。現在、ワイナリーが昨年に醸造したシャルドネのワインが注がれていて、3カ月程度で熟成が完了するという。
4月中旬にワイナリーで披露された。完成したばかりの17基を岡部岳志村長が中村さんに贈呈した。たるにシャルドネのワインを注いで完成を祝った。
村の担当者によると国産ミズナラを使ったワインだるの製造は全国で初。国産ワインではたるで熟成しないものもあるが「世界的にたる熟成は当たり前」と中村さん。木の香りがワインに移ってバランスの取れた仕上がりになり、料理との相性が良くなるという。
村は面積の98%が山林。森林の多くは東京都の水源林で、村有林は約10%。たるを製造するため伐採することで、森林保全につなげたい考えもある。
中村さんは「ワイン産地の水源の木材を使ってワインを熟成させることは、作り手として最もぜいたくで理想的なものづくりの形。飲みたい人もたくさんいると思う」と喜びを語った。
林業会社に勤めた経験があり、伐採にも携わった岡部村長。「たるを地元産材で作ることで村として『オール山梨』のワイン製造に貢献できる。県産ワインの新たな付加価値創出の第一歩になったと思う。村内での仕事の創出にもつなげていきたい」と、村の産業振興への意欲を見せた。
このたるで寝かせたシャルドネのワインは、今秋に完成する予定だ。約400本を生産する見通しで、村とワイナリーは試飲会なども検討している。
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RCEP承認案参院委審議入り 商標保護に期待
参院外交防衛委員会は22日、日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)などによる地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の承認案の審議を始めた。京都府の「宇治茶」など、日本のブランドや地名が中国で勝手に商標登録されている問題を巡り、外務省は同協定によって「商標の保護や模倣品・海賊版の問題が改善されると期待している」と述べた。自民党の佐藤正久氏への答弁。
同協定は参加国に対し、悪意のある商標出願を拒絶・取り消しできる制度を設けるよう規定する。同省は「(各国で)適切な整備、運用がされていない場合は改善を求めていきたい」とした。
茂木敏充外相は「先に国内手続きを終え、他国にも早くやってほしいと働き掛けることは極めて重要」とし、協定発効に向けて日本が早期に承認する意義を強調した。公明党の三浦信祐氏への答弁。
同日の委員会では、参考人の意見も聴取した。慶応大学の木村福成教授は、日本が政治的問題を抱える中国や韓国との初の経済連携協定(EPA)となったことを巡り、ASEANを中心とした多国間協定への参加という形だからこそ「一つの協定の中に入れた」との考えを示した。
みずほリサーチ&テクノロジーズの菅原淳一調査部主席研究員は、RCEPは自由化の水準やルール分野の合意内容が環太平洋連携協定(TPP)などに劣るとして、「発効後の深化(見直し)を日本が主導すべきだ」と述べた。
アジア太平洋資料センターの内田聖子代表は、東京大学大学院の鈴木宣弘教授が日本の野菜や果樹が打撃を受けると試算していることを挙げ、「きちんと検証し、影響が出るなら何らかの対策が必要だ」と訴えた。
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みのる食堂熊本に開店 全農
JA全農は23日、直営の飲食店「みのる食堂アミュプラザくまもと店」をJR熊本駅前の大型商業施設「アミュプラザくまもと」(熊本市西区)にオープンする。食材の大半に県産の農畜産物を使用。代表的な県産米ブランド「森のくまさん」を羽釜で炊いて出す。
外食分野で国産農畜産物の利用を拡大させるため、全農は全国で直営の「みのりカフェ」「みのる食堂」を展開している。……
集落営農・農業法人 米価下落に危機感 大規模ほど厳しく 6割「転作に余地」 本紙調査
集落営農・農業法人の9割が2021年産米価格は下落すると見通していることが、日本農業新聞の調査で分かった。近年にない厳しい見方が広がる一方で、主食用米の需給均衡に必要な転作拡大の機運は高まっていない。収入面の課題から、転作強化に踏み切れない実態も浮かび上がる。
調査は3月中・下旬に郵送で実施。……

[未来人材プラス] シェフから農家に 糖度15超マンゴー栽培 販路開拓し全量完売 茨城県日立市 鈴木拓海さん(41)
フランス料理のシェフからマンゴー農家に転身したのは、茨城県日立市の鈴木拓海さん(41)。パリでシェフの修業をして帰国。独立後、自ら作った食材を使いたいとの思いが募り、果樹栽培に手を付けた。沖縄で印象に残ったマンゴーを作ろうと、2013年に10本の鉢植えを始めた。現在はハウスで、150本の木から年間約3000個を収穫する。
幼少期から料理やシュークリームなどの菓子を作るのが得意だった鈴木さん。シェフになるのが夢で、調理師専門学校を19歳で卒業して渡仏。パリのビストロや三つ星の飲食店などで修業した。
フランスに5年間滞在して04年に帰国。「両親が営む飲食店で経営を学んだ。独立するなら、食材も自分で作りたかった」と就農を決めた。
だが、農業は未経験だった。JA日立市多賀の紹介で農地を借り、16年に就農した。マンゴーの他、30アールでナスやエダマメなども1人で栽培する。マンゴーは、養分が分散しないように、根域を制御したボックスで栽培。樹上完熟で収穫するため、糖度は15以上だ。
販路は自ら開拓した。通販サイトなどで、1玉3000円前後で売る。異業種の若手経営者が集まる場に顔を出し、知り合った企業が開くイベントなどで大口の注文も獲得した。とろけるような食感が口コミで広がり毎年完売する。規格外品は両親の飲食店を活用して、ジャムやタルトに加工する。加工品を含めたマンゴーの利益は、年間約300万円という。
マンゴーを栽培する7アール2連棟のハウスや農機は自己資金で調達した。19年に行政支援が手厚い認定農業者になったと同時に、理事としてJA運営にも携わる。くくりわなや箱わな、銃免許も取得して地域の有害鳥獣駆除にも貢献する。鈴木さんの今の夢はシェフ兼農家。「新型コロナウイルス禍でも需要が見込めるケータリングを展開したい」と展望する。
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農業試算 「予定なし」 RCEP承認案 参院審議入り
日本と中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国による地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の承認案が21日、参院本会議で審議入りした。野上浩太郎農相は、同協定による農林水産業への影響の試算を「行う予定はない」と説明。米や牛肉などの重要品目を関税撤廃・削減の対象から除外し、「国内農林水産業への特段の影響はない」ためだとした。共産党の紙智子氏への答弁。
野上農相は、協定による野菜や果実の関税撤廃について①関税率が比較的低い②品質面から需要が低い──ことなどから「撤廃されても国産価格などの競争条件は大きく変わらず、輸入増は想定しにくい」と説明した。……

非接触 イチゴ鮮度そのまま 個別容器に注目 宇都宮大発ベンチャー
イチゴを直接触らずに収穫から消費者の手元まで届けられる容器「フレシェル」が、大粒で完熟のイチゴでも傷まずに流通できると注目を集めている。宇都宮大学発のベンチャー企業、アイ・イートが開発した。追熟しないイチゴを、完熟まで甘さを最大限引き出して出荷できる。
同社によると、ドーム型のデザインが高級感を演出し、東京都内の百貨店では1粒1500円以上で販売できた。ドームは直径が73ミリ、高さが100ミリで、50~70グラムの果実が入る。県が育成した「栃木i27号(スカイベリー)」などの大粒な品種に対応する。
収穫の際、茎を長めに持ってイチゴをもぎ取り、茎を持ったままへたの外側にスポンジ製の土台を差し入れる。さらに透明のドーム状のふたを付けると、果実がどこにも接触していない状態で出荷・流通ができる。
容器内には香りも閉じ込められ、開けた時に香りが広がると好評だ。
日持ち効果も確認した。同社によると、10日以上は傷まず、保存に適した環境下では最大1カ月ほど品質を維持したという。大粒で完熟したイチゴは傷みやすく、主に産地近郊でしか味わえないが、日本各地や海外へも届けられる。2021年からタイへ出荷し、現地で好評だったという。
容器は、イチゴの自動収穫機で利用するために開発がスタート。同社は自動収穫機の作業スピードの向上なども併せて研究を進めていく。
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生花「母の日」商戦 自宅で楽しむセット
5月9日の「母の日」に向け、生花小売り各社の売り込みが活発だ。今年も雑貨や食品などと合わせた、個性的な商品の提案が進む。新型コロナウイルス下の自宅時間を花で楽しんでもらおうと、販促を強める。
青山フラワーマーケットは、水差し型の花瓶にカーネーションを挿した「ピッチャー&カーネーションセット」(3850円)を販売する。「花瓶を贈ると母の日後も花のある暮らしを楽しめる」と呼び掛ける。カーネーションの花束に、中川政七商店が作る、カーネーションの色素で染めたオリジナルのストールやふきんを合わせたセットも薦める。
カレーやオリーブオイルと
日比谷花壇が販売する花束とレトルトカレーのセット(同社提供)
日比谷花壇は「花と料理ですてきなひとときを」と、生花と食品のセット商品に力を入れる。自立するカーネーションの花束に、スープストックトーキョーのレトルトカレー4種を合わせて提案(6600円)。花束と日清オイリオグループのオリーブオイルとのセット(5500円)もラインナップする。
ユニークな飾り方提案
カレンドの「マグカップブーケ」(花恋人提供)
花恋人が運営するカレンドは、マグカップにカーネーションの花束を挿した「マグカップブーケ」(3色、4180円)を用意する。花を飾り終えた後はマグカップ単体で使用でき、箱も小物入れになる。昨年発売して話題を呼んだ、生花と傘で作る「アンブレラブーケ」も「母の日」限定デザイン(6380円)で展開する。
エルベ・シャトランの「ボールビジュー」(第一園芸提供)
第一園芸は、赤いカーネーションの鉢植えと帝国ホテルのクッキーのセット(5720円)がオンラインで人気だ。系列店のエルベ・シャトランでは、丸いガラス花瓶に水の中まで花びらを浸したアレンジ「ボールビジュー」(3色、Mサイズ8800円)を販売。「従来と違った花の飾り方が楽しめる」(同社)とPRする。
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