猟友会員減少に歯止め 若者、女性が底上げ 産地 鳥獣害の抑制期待 17年度

 狩猟者が集まる大日本猟友会の会員数が2017年度は10万5786人と、前年度から528人増えたことが分かった。会員増は2年ぶりで、ここ40年で2回目。ピークの1978年度(42万4820人)から続く減少傾向に歯止めがかかってきている。20~40代の若者を中心に、女性やわな免許取得者の入会が増加した。鳥獣による農産物被害の拡大は狩猟者の減少が一つの要因ともされている。狩猟の増加が、被害の抑制につながるとして、産地の期待が高まっている。

 女性会員の拡大が、全体の会員数を底上げした。17年度の女性会員は1908人。15年度は1183人、16年度は1571人と着実に増えている。散弾銃といった銃を使わずに、わなを仕掛けて捕獲するわな免許を所持する会員も増え、16年度から1785人増の3万5788人となった。

 同会の浅野能昭専務は「ジビエ(野生鳥獣の肉)や狩猟をテーマにした漫画などの影響で関心が高まったことに加え、行政と連携したPR活動が実を結んだ」と会員増を分析する。

 会員数の増加が目立った都道府県は石川県、宮城県、長崎県。特に石川県猟友会は、17年度が1371人と1年で136人も増えた。県内でイノシシの出没が増え、農業者のわな免許取得が進んだという。また、県が行う狩猟免許試験を4回に増やし、農閑期の2月にも行うなど、地道な活動が実を結んだ。試験の事前講習費用を県猟友会が負担したことも奏功した。

 環境省の調べによると、15年度の20代の狩猟免許所持者は6481人と10年間で3倍近くに倍増し、30、40代の所持者も回復傾向で、50代以上は減少傾向となっている。狩猟免許所持者の実数は近年15万人前後で推移する。

 一方、免許を取得しても狩猟に結び付かなかったり、免許更新をしなかったりといった課題もあることから、大日本猟友会は、各都道府県の猟友会に青年部、女性部の設立を呼び掛け、会員同士の横のつながりを深めて狩猟への参加を促すとともに一層の狩猟者確保に力を入れていく方針だ。
 

[解説] 現場で学ぶきっかけを


 深刻化する鳥獣害への対策へ、若手狩猟者の確保に一定の成果が見られた。今後は、実際に現場で活躍できる担い手を育成することが重要になる。

 若手狩猟者や鳥獣関係の仕事に関心を持つ若者に話を聞くと「農業被害を解決したい」「捕獲して、食べることに興味があった」など、さまざまなきっかけが挙がる。「自分もやってみたい」という若い女性の声も多く聞く。

 ただ、課題は狩猟免許を取っただけの“ペーパードライバー”が多いことだ。「役に立ちたい」「楽しみたい」といった思いを生かしながら狩猟の現場に入る仕組み作り、仲間づくりが鍵となる。

 近年は、インターネット交流サイト(SNS)を活用した狩猟者同士のつながりづくりや情報発信も盛んだ。また、猟友会が青年部や女性部を設立して横のつながりをつくったり、免許取得後の講習会で上の世代に学んだりといった工夫も現場では進んでいる。

 新たな狩猟者を確保するだけで終わってはならない。実際に現場で学ぶきっかけをつくることがが欠かせない。行政やJAなど地域の連携が重要になる。(猪塚麻紀子)  
 

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