[達人列伝 52] 朝倉さんしょ 兵庫県養父市・福井悦雄さん(71) 優良苗選別し銘柄化 「消費もっと」 食べ方提案

爽やかな香りに包まれる園地で、「朝倉さんしょ」を手に笑顔を見せる福井さん(兵庫県養父市で)

 鼻に抜けるかんきつ系の爽やかな香りと後を引かない辛さが特徴のサンショウ「朝倉さんしょ」。兵庫県養父市の福井悦雄さん(71)は、枯れやすく、産地化が難しいとされてきた「朝倉さんしょ」を、但馬地域を代表する特産品の一つに押し上げた立役者の一人だ。JAたじま朝倉さんしょ部会の部会長として、積極的に関係機関などと連携しながら栽培の普及に尽力。就任5年目で、目標としていた新植1万本を達成した。

 同市が発祥の地とされる「アサクラサンショウ」は、「触ると枯れる」といわれるほど枯れやすく、栽培が難しい品目だった。県の研究機関による枯れにくい台木の開発や栽培技術の研究などを経て、但馬全域での産地化に向けた取り組みが始動。2010年に部会が設立され、福井さんは11年から部会長を務める。

 大粒で房が大きい高品質な「朝倉さんしょ」を出荷するため、福井さんが最も重視するのが苗木の選定だ。ブランド戦略として、苗木のタグ管理を部会で提案。地元の生産者が生産した優良苗にだけ、番号付きのタグを付けることで差別化。タグ付きの苗木から育てたものだけを、「朝倉さんしょ」のブランド名で売り出せるような体制を整えた。

 JA特産課の稲葉博通係長は「どういう苗木から育てられたものか、木ごとに番号で管理されるため信頼感があり、販売面での評価も高い」と話す。

 実ザンショウだけでなく、食卓で手軽に「朝倉さんしょ」を楽しんでもらおうと、米粉を製造する機械を活用し、粉末とミルびきのサンショウを商品化して販売する。鮮やかな黄緑色と、香気成分の「リモネン」が他のサンショウに比べて多く含まれ、香りが爽やかな「朝倉さんしょ」の特徴を加工品でも出すため、適期収穫と丁寧な選別を徹底する。

 「朝倉さんしょ」を使った料理コンテストを企画するなど、消費拡大に向け、一般的なつくだ煮以外の食べ方提案にも熱心だ。コンテストでは、エビマヨやマカロンなどのアイデアが集まり、「若い人に新しい食べ方を考えてもらうきっかけになった」(福井さん)という。

 「サンショウは主役にはならないが、名脇役にはなれる。香りと後を引かない辛さが特徴の『朝倉さんしょ』の魅力を感じてほしい」と笑顔を見せる。(斯波希)
 

経営メモ


 「朝倉さんしょ」60本を、ほぼ一人 で管理する。実ザンショウをJAに出 荷する他、粉末タイプなど加工品の製 造、販売も手掛ける。
 

私のこだわり


 「しっかりとした苗木を選び、きれ いな色、香り、後を引かない辛さが特 徴の『朝倉さんしょ』を出荷する」

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