農高生奮闘 世界へ飛躍 金農刺激に 国際研究発表準グランプリ 発展途上国の課題解決へ 湖沼に作物浮かべて栽培 青森県立名久井農高 大平さん、坂本さん

ため池での水上栽培実験に取り組む農高生(名久井農業高校提供)

紋付きはかま姿で賞状を受け取り喜ぶ坂本さん(左)と大平さん(名久井農業高校提供)

 農高生の活躍が止まらない。青森県立名久井農業高校3年の大平竜福さんと坂本成海さんが、スウェーデンで開かれた国際研究発表大会「ストックホルム青少年水大賞」で、準グランプリに輝いた。湖沼に作物を浮かべて育て、食料生産と水質浄化を同時に実現する研究を発表。金足農業高校(秋田)の甲子園での活躍を横目に英語を練習したという大平さんは「同じ農高生として励みになった。これまでで一番の発表ができた」。地道な実験と、100回以上の練習が実を結んでの受賞だった。
 

生産と水質浄化両立


 「NEW GREEN REVOLUTION(新・緑の革命)」と題して発表。生活排水などが流れ込んだ湖沼の水質改善のために、植物を使うシステムを提案した。

 トウモロコシやサヤインゲン、花壇花のインパチェンスなどを、水面で水耕栽培のように育てて、水中の過剰な養分を吸収させる。有毒なアンモニアを硝酸態窒素に変える硝化菌、植物のリン吸収を助ける菌根菌を培地に加えることで、水中の窒素やリンの除去効率を、8割以上高められることを確かめた。「発展途上国で問題となっている、食料不足と水質汚染の課題を両方解決できる」と大平さんは話す。

 同校では2013年から、授業の一環で研究を始め、今は大平さん、坂本さんを含む5人で「チームフローラフォトニクス」を結成して取り組む。同県の南部町や五戸町、八戸市の協力も得て、ため池や公園の池で現地試験も重ねた。

 発表は英語。参加が決まった6月から8月26日の発表当日まで、2人で録音・再生を繰り返して、聞き取りやすく滑らかに話せるよう練習し続けた。「100回じゃきかない」。最新のデータを得るため、盆休みも返上して実験。テレビで連日報道される金足農高の姿に「僕たちも頑張らなければ。進む方向は違うが、同じ農高生として続きたい」と臨んだ。

 表彰式で、準グランプリに「ジャパン」と読み上げられた時は「まずはうれしさよりも驚き。練習した中で一番良い発表ができた。やり切った」(大平さん)と胸を張る。坂本さんも「グランプリには届かなかったが力は出し切った。悔いはない」と笑顔を見せる。賞状は同国のヴィクトリア王女から授与された。グランプリはシンガポール代表が受賞した。

 2人は共に農家出身。農業系の大学に進学予定の大平さんは、知識を積んでから実家の水稲とリンゴ経営に就きたいという。実家が水稲と酪農を営む坂本さんは、公務員として地域の農家をサポートする夢を描く。

 受賞直後から友人、関係者から祝福のメッセージが相次いだ。2人は「全国の農高生、農家の励みになればうれしい」と口をそろえる。

<ことば> ストックホルム青少年水大賞

 毎年8月にスウェーデンで開かれる、「水のノーベル賞」と呼ばれる「ストックホルム水大賞」の高校生部門。水質浄化や水圏生態学など、水に関係した優れた研究成果を挙げた高校生が発表する。22回目の今大会には1万件以上の応募があり、各地域の予選を通過した32校が参加。日本代表校の準グランプリ以上の獲得は、2006年の京都府立桂高校以来。

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