NAFTA再交渉で譲歩 乳製品 TPP超え カナダ

 米国、メキシコ、カナダが北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉で合意し、新たな協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」が誕生する。カナダは重要品目に位置付ける乳製品で、米国向けの新たな無税輸入枠を設定するなど譲歩。乳価の設定方法も見直した。カナダの乳製品の開放水準は、環太平洋連携協定(TPP)を超えるとの見方が強い。2国間交渉で譲歩を引き出すことに成功した米国の戦略は、対日交渉にも影響が出る可能性がある。

 カナダは、これまで生産調整や生産者価格の設定、輸入品への関税割り当てなどを組み合わせた「供給管理制度」で国産の乳製品などを保護してきた。トランプ米政権は、こうした保護策を批判。メキシコと先に協議し、8月に合意後、残るカナダとの交渉では乳製品の扱いが焦点だった。

 カナダは供給管理制度を維持した一方、乳製品など米国向けに品目別の無税輸入枠を設定。品目別の数量で生乳はTPP並みとなったが、クリームはTPPを大きく超えるなど、TPP以上の譲歩を許した部分もある。

 これに加え、乳価設定の一部廃止を受け入れた。カナダはこれまで、チーズ生産者が国産原料を安く購入できるよう、原料向けの生乳には低い乳価を設定してきた。米国側は自国産の輸出減少につながると強く反発してきた経緯があり、カナダが応じた格好だ。発効後6カ月で廃止される。

 米国メディアや農業団体などによると、USMCAの合意で、カナダの乳製品市場に占める米国産のシェアは3・59%増え、同3・25%のTPPを上回る。米国は2国間交渉でTPPを上回る成果を得たことになる。

 日米は来年以降、物品貿易協定(TAG)の交渉を始める見通し。首脳会談の共同声明を踏まえ、日本政府は農産品での譲歩は、TPPの範囲が「最大限」としている。

 一方、米国政府内からはTPP以上を求める声が早くも出ている。USMCAでカナダから乳製品でTPP以上の開放を獲得した米国は、日本にも同様の戦略に出てくる恐れがある。

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