国会論戦の火種に 政府「物品に限る協定」 野党「事実上のFTA」 日米関税交渉

 日米が交渉入りで合意した物品貿易協定(TAG)は、臨時国会の大きな論点となりそうだ。政府はTAGと自由貿易協定(FTA)を「全く異なる」(安倍晋三首相)とするが、野党は事実上のFTAだとして政府見解との整合性を追及する方針。トランプ米政権内からは、農産品で環太平洋連携協定(TPP)以上の譲歩を迫る声も出ており、TPPの水準を「最大限」とした共同声明の実効性も問われそうだ。

 日米両政府は、閣僚級貿易協議(FFR)を経て首脳会談で共同声明をまとめ、TAG交渉入りで合意。安倍首相は首脳会談後の記者会見で、TAGは物品に限った協定だとして「包括的なFTAとは全く異なる」と説明。政府は、FFRについて「FTAと位置付けられるものではなく、その予備協議でもない」と繰り返し説明してきた。

 一方、野党は「事実上のFTA」と位置付け、批判を強める。共同声明の英文にTAGという略語がない点などを踏まえ、国民民主党の玉木雄一郎代表は「政府は正しく訳さず国内向けに意図的に誤訳した」、共産党の小池晃書記局長は「捏造(ねつぞう)と言われても仕方ない」と批判。両氏とも国会で追及する構えだ。

 与党内からも「FTAとどう違うのか」など、今後の交渉を不安視する意見が出ている。

 米国のペンス副大統領のTAGを巡る発言も波紋を広げている。演説では「FTA」と発言したが、ホワイトハウスはFTAと違う言葉にして公式文書に残した。FTAでないとする日本政府の立場に配慮したとみられ、こうした日米の水面下の動きが国会論戦の火種となる可能性もある。

 農林水産品の扱いは、「過去の経済連携協定で約束した市場アクセス(参入)の譲許内容が最大限」とする日本の立場を、米国が「尊重する」と明記された。一方、米国のパーデュー農務長官がTPP以上の市場開放を目指す姿勢を示すなど、共同声明を逸脱した言動も出ている。

 日米の認識の違いが露呈する中、野党農林議員からは「交渉が始まればTPP以上を求めてくるのは明白」「物品以外の交渉に持ち込まれる」との指摘が相次ぎ、国会での論点にしていく考えだ。
 

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