有機食品 スーパー、専門店“熱視線” 五輪が商機 訪日客に照準 課題は供給力
2019年01月13日

スーパーや専門店などが有機(オーガニック)食品の販売を強化している。2020年の東京五輪・パラリンピックで、有機食品への関心が高い訪日外国人が増えることを商機と捉えた動きだ。一方、供給面では生産の伸び悩みが課題となる。安定供給に向けて産地と企業の連携が鍵となる。(三宅映未)
イオンが手掛ける有機食品専門店「ビオセボン」は、ここ2年で首都圏に8店舗を展開する。野菜の9割で有機JAS認証を取得した商品を扱うなど品ぞろえを充実させ、イートインスペースも設置。「食に関心の高い人や、30、40代の子育て世代を取り込んでいる」と同社は手応えをつかむ。
ライフコーポレーションの有機食品を充実させた業態「ビオラル」は、18年の売り上げが前年比2割増と好調だ。「通常商品と有機食品を比較して購入でき、気軽に立ち寄れる点が好評」と同社。近年は、通常のライフの店舗でも改装時に有機野菜コーナーを新設する。
首都圏に展開するいなげやは、17年から有機食品宅配大手のオイシックス・ラ・大地との連携を開始。同社が仕入れた有機農産品を売り場に並べることで、「安定的な供給が可能になり、顧客のニーズに応えることができる」(いなげや)とみる。
調査会社の矢野経済研究所によると、有機食品市場規模は1857億円(推計値)でこの5年間で1割増えた。背景にあるのが、有機食品の購買意欲が高い訪日外国人の増加だ。政府によると18年は3119万人と過去最多を記録し、「(五輪がある)20年に4000万人の目標も視野に入った」(石井啓一国土交通相)。「五輪に向けて、有機食品市場の拡大が今後も続く」(同社)見通しだ。
一方で、課題となるのが供給面。農水省によると、有機農業の耕地面積は2万4000ヘクタール(16年度)で、全体の0・5%にとどまる。栽培の難しさや病害虫発生などのリスク、流通網の整備が課題となり、大幅な生産増には至っていない。
飲食店や業界などでつくる「次代の農と食を創る会」は16年に、有機農産物のマッチングサイト「farmO」(ファーモ)を立ち上げた。生産者と実需者双方が登録し、出荷情報や欲しい農産物などを書き込み、直接取引へつなげる仕組みだ。
11日現在で登録生産者数は全国46都道府県の365件、飲食店や小売業者は186件に上る。創る会は今年からサイト上で受注や発注業務ができる仕組みを試験的に始め、受発注を簡便化することで、生産に集中したい農家を支援していく方針だ。
イオンが手掛ける有機食品専門店「ビオセボン」は、ここ2年で首都圏に8店舗を展開する。野菜の9割で有機JAS認証を取得した商品を扱うなど品ぞろえを充実させ、イートインスペースも設置。「食に関心の高い人や、30、40代の子育て世代を取り込んでいる」と同社は手応えをつかむ。
ライフコーポレーションの有機食品を充実させた業態「ビオラル」は、18年の売り上げが前年比2割増と好調だ。「通常商品と有機食品を比較して購入でき、気軽に立ち寄れる点が好評」と同社。近年は、通常のライフの店舗でも改装時に有機野菜コーナーを新設する。
首都圏に展開するいなげやは、17年から有機食品宅配大手のオイシックス・ラ・大地との連携を開始。同社が仕入れた有機農産品を売り場に並べることで、「安定的な供給が可能になり、顧客のニーズに応えることができる」(いなげや)とみる。
調査会社の矢野経済研究所によると、有機食品市場規模は1857億円(推計値)でこの5年間で1割増えた。背景にあるのが、有機食品の購買意欲が高い訪日外国人の増加だ。政府によると18年は3119万人と過去最多を記録し、「(五輪がある)20年に4000万人の目標も視野に入った」(石井啓一国土交通相)。「五輪に向けて、有機食品市場の拡大が今後も続く」(同社)見通しだ。
一方で、課題となるのが供給面。農水省によると、有機農業の耕地面積は2万4000ヘクタール(16年度)で、全体の0・5%にとどまる。栽培の難しさや病害虫発生などのリスク、流通網の整備が課題となり、大幅な生産増には至っていない。
飲食店や業界などでつくる「次代の農と食を創る会」は16年に、有機農産物のマッチングサイト「farmO」(ファーモ)を立ち上げた。生産者と実需者双方が登録し、出荷情報や欲しい農産物などを書き込み、直接取引へつなげる仕組みだ。
11日現在で登録生産者数は全国46都道府県の365件、飲食店や小売業者は186件に上る。創る会は今年からサイト上で受注や発注業務ができる仕組みを試験的に始め、受発注を簡便化することで、生産に集中したい農家を支援していく方針だ。
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特産オレンジ ヤフーと販売 西日本豪雨の被災地、JAえひめ南と宇和島市
西日本豪雨の被災地、愛媛県JAえひめ南と宇和島市は12日、東京都内でヤフーと記者会見を開き、ヤフーが運営する「エールマーケット」で特産「ブラッドオレンジ」の販売を始めることを発表した。JAの黒田義人組合長は「販売促進だけでなく、インターネットを通じて人の思いをつなげていきたい」と期待した。
同市は全国屈指のかんきつ産地。中でも、果肉が赤く独自の甘さと酸味を持つブラッドオレンジは日本一の生産量を誇る。昨年7月に発生した西日本豪雨で同市は、農地の崩壊など甚大な被害に見舞われた。
エールマーケットは、ヤフーの担当者がオーガニック、災害支援などを基準に、厳選した商品だけを販売するインターネット通販。JAはエールマーケットで2、3月に出荷する「モロ」と3~5月に出荷する「タロッコ」を販売する他、ブラッドオレンジジュースの販売をスタートする。
この他、ヤフーはネット募金を開始し被災した農家らを支援。同市と災害に関わる情報発信に関する協定も締結した。
2019年02月13日

手乗りハス「種」「苗」も アイデア商品続々と 大木園芸 千葉県東金市
千葉県東金市の大木園芸は、観賞用の花ハス「手乗りハス」の苗や鉢花、その種となる「レンコン丸」を生産、販売している。「レンコン丸」はポットで根域を制限し、輪っか状に育てたもの。丸いパックに詰めコンパクトな形で流通、販売できる。園芸店や通信販売で徐々に扱いを伸ばしている。
園主の大木正人さん(67)は、かつて植木を販売していた。現在は花ハスが専門で、趣味が高じて20年近く前から販売を始めた。小型の容器で咲かせるものを集め「手乗りハス」と名付け、茶わんバスなどの一般的な呼称と差別化している。
栽培は、夏から秋に肥大したレンコンを、1~3月に株分けして植え替える。「レンコン丸」の荷造りもこの時期で、出荷は2月から3月20日ごろまで続く。
「レンコン丸」は5年ほど前から取り組み始めた。底穴のない13・5センチのポットで育てると、レンコンは輪っか状になる。ポットから出して不要な部分を切り、食品などに使うクリーンカップに水と詰めて商品とする。ふたのラベルで品種ごとの花を紹介する。
透明な容器に入っているので、客は商品の状態を見て購入できる。店にとってはクレームやトラブルが少ないのが利点だ。
販売の主力は苗で、これまで総売り上げの約8割を占めている。「レンコン丸」は1割にも満たないが、大木さんは「だんだん認知され、扱うところが毎年1、2社、増えてきた」と話す。今期は園芸店6社、通販4社となった。
「手乗りハス」「レンコン丸」は大木園芸の登録商標。「レンコン丸」では作り方などで特許出願中だ。既に2品種が登録され、6品種を出願している。
2019年02月11日
牛肉輸入急増 TPPの再協議を急げ
環太平洋連携協定(TPP)の再協議を急ぐべきだ。昨年末のTPP発効を受け、牛肉輸入は急増している。参加国からの1月の輸入量は3万トン超と前年同月を6割上回るハイペースだ。輸入急増に歯止めをかけるセーフガード(緊急輸入制限措置=SG)は、離脱した米国の参加を前提にしており、機能を果たしていない。
TPPは日本農業にとって過去最大の市場開放となる。特に影響が懸念されている品目が、関税が38・5%から27・5%へ下がった牛肉だ。
財務省によると、1月のTPP参加国からの牛肉輸入量は、メキシコ、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの4カ国産を中心に3万2885トンに上る。例年ならば、4カ国からの1月の輸入量は2万トン前後で推移しており、「近年にはない高い水準」(東京都内の商社)という。
問題は、肝心のSGが機能不全の状態であることだ。牛肉のSGの発動基準数量は、牛肉輸出大国である米国からの輸入を含めて設定された。ところが途中で米国がTPPから抜けたため、基準数量が実態と合わず、発動しない可能性が高い。
TPPには、米国の復帰が見込まれない場合、合意内容を見直すという再協議規定がある。米国と日本は近く、2国間による貿易協定交渉を本格化させる。まさに今が「復帰が見込まれない場合」で、発動基準数量の見直しに向けて再協議すべき時である。だが、日本政府は動く気配がない。
なぜか。それは米国をTPPに復帰させたいという思惑があるからだ。日本の交渉関係者は「米国抜きの合意内容に見直せば、米国の復帰の道を閉ざし、対日自由貿易協定(FTA)へと向かわせることにもなる」と強調する。
だが、生産現場への打撃を放置していいはずはない。何より、TPPを批判して離脱した米国が、TPPに復帰する保証はどこにもない。
問題は他にもある。「TPP枠」だ。日本が米国を含む12カ国を対象に設定した低関税輸入枠で、乳製品の場合は7万トン。既にニュージーランドやオーストラリアだけでこの枠を満たしてしまう。それとは別に、米国から2国間交渉で低関税の輸入枠を迫られる展開もあり得る。
TPP参加国は1月、東京都内で閣僚級の「TPP委員会」の初会合を開いた。議論したのは、新たな国が加盟する際のルール。日本はTPP再協議に手を付けないまま、国内農業をさらに窮地に陥れる加盟国拡大を急いでいる格好だ。
2月から欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も発効した。日本農業はかつてない自由化の真っただ中にいる。安倍晋三首相が「農家の不安にしっかり向き合う」と言うのであれば、TPP再協議に向けて汗をかくことこそ、政府の進むべき道である。
2019年02月11日
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世界のラン展開幕 多彩な「花々」 「光る」初公開
世界最大級のランの祭典「世界らん展2019―花と緑の祭典」が15日、東京都文京区の東京ドームで始まった。29回目の今年は、ランにとどまらず、多彩な「花々」や多肉・食虫植物などの「緑」があふれる。世界初公開の「光るシクラメン」などが見どころ。22日まで。
会場には世界18カ国・地域の約3000種、約10万株、250万輪以上の花を展示する。コチョウランやカトレアなどのランで彩った幅約20メートル、高さ約5メートルの「オーキッドゲート」や、華やかなシンボルモニュメントなど、写真映えする空間を演出。光るシクラメンは、深海に生息する海洋プランクトンから発見された蛍光タンパク質の遺伝子情報を導入した。
ランのコンテストは個別部門の最高位「日本大賞」に、東京都の櫻井一さん(71)が栽培したパフィオペディラム エメラルドゲート「グリーン グローブ」が選ばれた。
2019年02月16日

100年ぶりに地酒復活 若手が原料米作り協力 栃木県高根沢町
栃木県有数の米どころ、高根沢町で、町内産米を使った日本酒が100年ぶりに復活した。若手農家や隣接する那須烏山市の酒造会社などが協力。「縁も高根沢」と名付け、町内の食と健康をテーマとした複合施設、元気あっぷむらで販売を始めた。
酒造りは、加藤公博町長が発案し、昨年3月に本格始動した。同公社によると、同町では明治時代以降酒蔵がなくなり、日本酒の醸造が途絶えていたという。4Hクラブの若手農家3人が酒造好適米「山田錦」を計80アール作付け。収穫した米約3トンを、昨年11月末から島崎酒造が醸造した。
9日には完成発表会があった。同公社の神長政男代表は「カメムシ発生や台風、大雨など苦労があったが、多くの方の協力で完成した。若手農家の思いが詰まったお酒をぜひ飲んでほしい」と呼び掛けた。4Hクラブの代表・永井秀和さん(37)は「飲みやすく、すっきりとしておいしい」と笑顔を見せた。
2、3月に生酒2000本、4月以降に1回火入れ4000本を販売する予定。1瓶(720ミリリットル)1700円。問い合わせは元気あっぷむら、(電)028(676)1126。
2019年02月15日

第2回落札7・9万トン 「優先枠」累計は47% 備蓄米
農水省は13日、2019年産政府備蓄米の第2回入札(12日実施)の結果を公表した。今回新たに7万9775トンが落札され、初回を加えた「優先枠」の累計落札数量は9万7403トンとなった。累計落札率は年間枠(20万9140トン)の47%だった。初回で様子見した新潟や富山といった主産地で落札が伸びるなど、取り組み拡大に向けた動きが出ている。
2019年02月14日
27日に初回入札 TPP豪産輸入枠
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2019年02月14日
エコフィード 業界挙げて防疫を シンポで豚コレラ対策
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2019年02月14日

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2019年02月14日

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2019年02月14日
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2019年02月13日

[一村逸品] 後期優秀賞3点 日本農業新聞
日本農業新聞は12日、各地の農産加工品を紹介するコーナー「一村逸品」から、優れた商品を表彰する「第15回日本農業新聞一村逸品大賞」の後期(7~12月掲載分)審査会を開き、次の3点を優秀賞に選んだ。
▽「JA小松市のとまとケチャップ」(石川)▽「五郎島金時いしやきいも」(石川・JA金沢市)▽「まんのうひまわりオイル」(香川・(株)グリーンパークまんのう)。
年間表彰は20日開催予定の中央審査会で、前期・後期の優秀賞から大賞1点と金賞2点を決める。
2019年02月13日

意中の相手も頬染める!? 静岡県掛川市「chabacco」 “バレンタイン限定”ティーバッグ緑茶発売
スティック粉末緑茶を、たばこを思わせる箱に入れて「chabacco(チャバコ)」として販売する静岡県掛川市の「ショータイム」が、期間限定で「バレンタインチャバコ」を売り出した。
商品はティーバッグ四つ入り。三つは掛川産深蒸し煎茶、一つは「サンルージュ」という品種の茶で、酸性に反応すると色がピンクに変化する。お湯を注いだ湯飲みにレモン汁を入れ、ティーバッグを入れると一つだけがピンク色になる。
4人1組で同時に茶を入れれば、「確率4分の1で愛(ピンク)を引き当てられるのは誰?」とゲームを楽しめる。
箱には「あなたの周りの人、特に愛する伴侶や彼氏、気になる男性、会社および学校の同僚(同級生)や先輩・後輩などの機嫌に好影響を及ぼす可能性があります」「ピンク色のお茶を引き当てた男性は通常時と比べて数倍テンションが高くなります」などとユニークな注意書きが書かれている。
14日まで、JA掛川市の「お茶処(どころ)いっぷく」や、JR掛川駅構内の土産販売店など、掛川市内6カ所の販売機で購入できる。1箱500円。
ショータイム代表取締役の森川翔太さん(34)は「笑顔のティータイムにつながればと思う」と話す。
2019年02月13日