豚コレラで苦境のシシ肉 鹿が救う JA、外食と連携 岐阜県山県市

イベントでカレーを販売するエリックサウスの店員(東京都千代田区で)

 豚コレラの発生を受けてイノシシ肉の出荷自粛が続く中、岐阜県山県市の野生鳥獣の肉(ジビエ)解体処理施設「ジビエ山県」は、鹿肉の販路開拓に奮闘している。21日には県内で豚の移動・搬出制限区域が全て解除になり区切りを迎えたとはいえ、ジビエの販売環境は依然、厳しい。JAぎふや外食店などと連携しながら、イノシシ肉のピンチを鹿肉でカバーする懸命の努力が続いている。
 

販路開拓、PRに奮闘


 ジビエ山県は昨年7月に設立したばかり。8月にはJR岐阜駅隣接の商業施設「アクティブG」で進発イベントを行い、ジビエを地域資源にと意気込む中、昨年秋から豚コレラが発生した。野生イノシシでの豚コレラ感染確認が相次ぎ、自慢のイノシシ肉が出荷できなくなってしまった。鹿肉も、ジビエ全体への抵抗感などで販売先の開拓は容易ではなかった。

 しかし、進発イベントでコラボ料理を提供した(株)円相フードサービス(本社・各務原市)との協議で、同社が運営する東京都の飲食店「エリックサウス」3店舗で提供するカレーのスープの材料として鹿肉を使えないかとの提案があり、供給が始まった。廃棄されていた部位も利用することになった。

 ジビエ山県の鹿肉は「臭みも少なく、だしとしてもしっかりと主張する」と高評価で、定期的な供給ができるようになった。現在は1カ月に約30キロを供給している。4月末に東京・秋葉原で行われたイベントでは、2日間で用意した鹿肉25キロ分のカレー約70キロ・600人前が完売し、岐阜の鹿肉に大きな反響があったという。

 ジビエ山県代表の臼井勝義さん(65)は「イノシシ肉の出荷ができなくなった時はどうなるかと思った。鹿肉がメインとして販売できたことで、山県のジビエを“つなぐ”ことができたのではないか。早く正常化し、イノシシと鹿の両輪でジビエを提供したい」と話し、改めて「ぎふジビエ」や山県市のジビエが地域資源として広がっていくことに期待している。

 岐阜県はジビエ利用振興のため、県内で捕獲し衛生面などの要件を満たした施設で処理したイノシシ肉などを「ぎふジビエ」として認証する取り組みを進める。これらの肉を扱う処理施設や飲食店を100近く登録している。

 一方、豚コレラの拡大要因とされている野生イノシシの対策として今年3月、岐阜、愛知両県でワクチン餌の設置が始まった。1年間設置して効果を検証する。当該地域での狩猟は規制されるため、ジビエへの打撃は長引く見通しだ。

 豚コレラの発生によって、ジビエの注文が減るといった影響も出ている。食品安全委員会は、ワクチン餌を食べたイノシシ肉を人が食べても、健康への影響はないとする評価書を承認しているものの、ジビエ関係者からは「風評被害」を懸念する声が出ている。

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