白球に一喜一憂夏…到来 甲子園ドラマ さあ開幕

養蜂に携わりながら再び甲子園の土を踏もうと奮闘する富山商業高校の森捕手(左)(富山市で)

トウモロコシを突き上げる応援練習を積み重ねる紀北農芸高校の生徒たち(和歌山県かつらぎ町で)

 夏の甲子園出場を懸けた全国高校野球選手権大会の地方大会が始まった。各地で熱戦が繰り広げられる中、養蜂に携わりながら再び甲子園の土を踏もうと奮闘する球児や、選手たちを奮起させようとトウモロコシを掲げ応援する農高生たちがいる。憧れの舞台を目指し、「農業」と「野球」ともに情熱を注ぐ高校生たちを追った。(前田大介)
 

生産者魂 養蜂で磨き雪辱へ 富山商3年 森陽斗捕手


 ユニホームから防護服に着替え蜂の世話をするのは夏の甲子園出場16回を誇る強豪、富山県立富山商業高校(富山市)3年の、森陽斗捕手(18)だ。12人いる蜂の世話係の一人。校舎屋上に置かれた巣箱を開け、女王蜂はいるか、働き蜂の成長はどうか目を凝らす。

 養蜂は流通経済科の科目「商品開発」の一環。蜂を育て蜂蜜を採取することで、命の尊さや農家の大変さを知るとともに、生産、流通、販売の一連の流れを学ぶ。森捕手は就職希望。卒業前に「生産者の気持ちを知りたい」と、世話係を買って出た。

 森捕手には心残りがある。1年生の春、控え捕手として甲子園の土を踏んだが、試合に出られなかったことだ。遠投は100メートルを誇り、同校トップ級の強肩が武器。「もう一度、甲子園に出場し、試合で自分の肩を試してみたい」との思いは人一倍だ。

 昨年夏の100回大会は、秋田県立金足農業高校の躍進に心を熱くした。家畜の世話をする捕手が逆転劇を演じる場面があり、縁起良く感じる農作業で「験を担ぎ勝利を呼び込む」と闘志をみなぎらせる。
 

「1勝」モロコシ踊り特訓後押し 和歌山・紀北農芸


 「大根踊り」ならぬ「モロコシ踊り」で球児を応援するのは、和歌山県立紀北農芸高校(かつらぎ町)だ。野球部長の野田真輝教諭(31)と副部長の谷晋作教諭(30)が東京農業大学出身で、ダイコンを突き上げる同大学の応援「青山ほとり」を参考に、同校生徒であれば一度は作るトウモロコシを使った応援を2017年から始めた。

 同校には応援団がないため、大会直前に農業クラブや生徒会など約30人の有志が組織を結成。放課後に集まり、校歌などに合わせトウモロコシを何度も突き上げる応援練習を積み重ねている。

 今年のトウモロコシの出来は6月の低温が響き例年より小ぶりだが、「軽くて応援がしやすい」(谷教諭)と笑う。試合前日に生徒らが約100本収穫する予定。3年ぶりの夏1勝を目指し、鮮度抜群のトウモロコシで援護射撃をする。

 3年連続で応援に参加する生産流通科3年の山田朋さん(17)は「他校から『トウモロコシ応援の農芸』と知られるようになり誇りに思う。今年こそ勝って校歌を歌いたい」と力を込める。
 

「仲間と楽しむ」大事に 金足農高躍進の立役者斉藤璃玖さんから一言


 地方大会に熱視線を送るのは、昨年夏の100回大会でサヨナラ2ランスクイズを決めるなど秋田県立金足農高(秋田市)の準優勝に貢献し、現在は大潟村カントリーエレベーター公社に勤務する斉藤璃玖さん(18)だ。米の乾燥調製などを担当し、県産「あきたこまち」を全国に届けている。

 昨年夏の秋田大会は「目標の甲子園出場がプレッシャーとなって、野球を楽しめなかった」と振り返る。球児らには「勝敗も大事だが、仲間を大切にし、楽しいと思えることが一番大事。普段通りの野球でべストを尽くしてほしい」とエールを送る。 
 

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