全道停電で北海道が闇に包まれた昨年9月

 全道停電で北海道が闇に包まれた昨年9月。わが国が初めて経験したブラックアウト。生乳2万3000トンが行き場を失い、酪農王国を揺さぶった▼あの地震の苦い教訓がやっと生かされる。明治や森永などの大手乳業メーカーが、自家発電の設置や拡充を進めるという。地震で、電力インフラのもろさと同時に、乳業メーカーの備えの甘さも露呈した。よつ葉の2工場以外、自家発電を持たないか、能力不足で生乳の受け入れができなかったことが被害を大きくした▼酪農家を襲った予想外の停電と断水。「牛の乳房は風船のように膨らみ、噴水のように生乳が吹き出した」と当時の様子を本紙が伝えている。泣き叫ぶ牛の声が今も耳に残っているという。自前の発電機を融通し合い、何とか搾乳しても捨てるしかなかった。あれから農家も発電機や飲み水の確保などの備えを進めてきた▼酪農一家を描くNHKの朝ドラマ「なつぞら」に、祖父が主人公にこう語り掛ける場面がある。「人は、人を当てにする者を助けたりはせん。逆に、自分の力を信じて働いていれば、きっと誰かが助けてくれるものだ」▼自立しながら助け合う。そんな開拓者魂が北海道酪農を育ててきた。あの災害を糧に、酪農家と乳業メーカーの関係がもっと深まればいい。

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