どうにもすっきりしない判決である

 どうにもすっきりしない判決である。「国の原子力行政を忖度(そんたく)した」と思われても仕方がない▼福島第1原発事故を巡る裁判で東京地裁は、強制起訴された東電の旧経営陣3人に無罪を言い渡した。原発を止めるほどの「予見性は認められなかった」との判断である。最大15・7メートルの津波予測の基になった国の「長期評価」も信頼性が疑わしいと退けた。社内には予測への対応を促す声があったと言う。たとえ無罪でも責任は重い▼多くの人を危険にさらす巨大企業の経営者には人一倍の危機感が求められる。にもかかわらず東電の見通しの甘さは続く。台風15号による停電の復旧予定がころころ変わり、住民の不信は募るばかり。搾乳できない酪農家は悲鳴を上げた▼さて、豚コレラである。養豚の盛んな関東にも広がり始めた。これも予見を超えた事態なのか。昨年9月の初発からの封じ込め策が次々に破られ、農水省の威信が懸かる。不安におののきながら飼育を続ける養豚農家の心境を思うと胸が締め付けられる。人が感染する「コレラ」とは全く違うのに風評被害が怖い。呼び名だけでも変えることはできないのか。「狂牛病」を「BSE」に変えた前例もある▼災害は、国への忖度などお構いなくやってくる。自らを守る備えだけは怠れない。
 

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