万葉の昔から、皇族は歌を通し時代を見つめ思いを伝えてきた。そこには歴史の悲哀やロマンが漂う

 万葉の昔から、皇族は歌を通し時代を見つめ思いを伝えてきた。そこには歴史の悲哀やロマンが漂う▼日本最初の和歌は新婚が題材だった。須佐之男命が〈八雲立つ出雲八重垣妻籠(ご)みに〉と。『日本史を動かした歌』(田中章義著)に学ぶ▼「大化の改新」を断行し天智天皇となる中大兄皇子は〈わたつ海の豊旗雲に入日さし今夜の月夜清明(あきらけく)こそ〉。大海原に旗のようにたなびく雲間に夕日が輝く。月はさぞ清く明るいだろうの意を込めた。だが発句後には唐・新羅連合軍に敗れ日本外交を一変させた「白村江(はくすきのえ)の戦い」へ▼202年前に生前退位した光格天皇は〈民草に露の情をかけよかし代々の守りの国の司は〉と詠む。「天明の大飢饉(ききん)」に際し将軍・徳川家斉に先の句を送り、民衆の救済を訴えた気骨も持つ。明治天皇は近代日本の心意気を〈あさみどり澄み渡りたる大空の広きをおのが心ともがな〉と歌う。清く果てしない大空の広さをわが心として生きたいと。〈大いなるまがのいたみに耐へて生くる人の言葉に心打たるる〉。「まが」とは災い。東日本大震災時に天皇陛下(現上皇さま)が詠まれた▼きょうの「大嘗祭(だいじょうさい)」で新天皇陛下は国家安寧と五穀豊穣(ほうじょう)を願う。国民の喜怒哀楽と歩む歌は象徴天皇の証し。「令和」でも引き継がれるだろう。
 

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