JAの寄付講座 若い「応援団」増やそう

 企業や団体が寄付金や人材を提供し、大学が研究・教育を行う寄付講座に、JAグループも一層取り組むことが求められている。直接的な利益につながらなくとも、学生の時から農業・JAについて理解を深め、正しい知識を持ってもらうことは、次代の農業・JAの「応援団」育成に重要な取り組みだ。

 JAグループの寄付講座は農林中央金庫が2008年から早稲田大学で始めたのを皮切りに、全国の大学に広がった。16年に北海道大学大学院に開いた寄付講座は「協同組合のレーゾンデートル(フランス語で存在意義)研究室」との名称で、JAだけでなく、協同組合全体を視野に入れたものになっている。

 12年にJA共済連が早稲田大学に開設した寄付講座は、農業・農村を学ぶだけでなく、東日本大震災からの復興をテーマにした。その後、18年からは大分県を舞台に、県内の特産物など特色を生かした振興策を学んでいる。

 これらの寄付講座には、現地に出向き、農家やJA役職員からも説明を聞き、課題解決の方策を探るものもある。農林中金の寄付講座では農作業や水路管理などを手伝ったり、農家から話を聞いたりして、農業・農村での体験を通じて学んだ。共済連の寄付講座では、震災被災地を訪問し、復興策を考案した。

 こうした体験や役職員による講義などを経て、受講した学生のJAに対する意識が変わっている。18年から3年間、和歌山県のJAわかやまが和歌山大学に開いている寄付講座を受講した同大学生は「今までJAのイメージは漠然としていた。講義でJAの全体像を知ることができた」「農があっての食。それを支えるJAの必要性を知ることができた」など、JAの役割に対する理解を深めた。

 寄付講座は、資金の提供だけでなく役職員や組合員も講師を務めることがある。JAの経営基盤強化が求められる中、直接収益に関わらない寄付講座を続けることは、JAにとって厳しい面もあるだろう。しかし、これから社会に出る若い学生らが、JAグループについて正しく理解する上で、寄付講座は重要な役割を果たしているといえる。財界人などから出るJAへの批判に対し、正しい認識を持ってもらうことは、JAグループが今後も農業・農村を支えるために欠かせない。

 JAだけで寄付講座を維持するのが難しいなら、他の協同組合組織と連携して取り組む手法もある。12年の国際協同組合年を契機に、県域のJAグループや生協などで構成する協同組合連携組織が協同組合に関する寄付講座を開く動きが全国に広がっている。そこで、JAや農業、農村について講義を行うことで理解を促すことができる。

 組合員や地域住民の世代交代を見据え、若い世代がJAについて学ぶ場を確保することは、今JAを支える役職員、組合員の役割ではないか。
 

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