スマートJA デジタル化改革の柱に

 事業強化や業務改善にデジタル技術がなくてはならない時代に入った。デジタル対応を自己改革の柱の一つに据え、“スマートJA”に踏み出す時だ。

 ビジネスの世界で躍起になっているのは情報通信技術(ICT)を使った事業の刷新だ。これまでの概念を覆す商品やサービス、人や物との新たなつながり、業務の大幅な効率化といった成果が続々生み出されている。

 デジタルで事業を変革することを「デジタルトランスフォーメーション(DX)」と呼ぶ。世界に後れを取っているとされる日本でも、急速に浸透してきた。特に金融分野が著しい。キャッシュレス決済、金融とICTをつなぐフィンテック、証券投資アプリなどが幅広く利用されている。「デジタルで顧客の利便性を高めた企業にしか未来はない」との言葉さえ出ている。

 農業でもデジタル化は進む。その最たるものがスマート農業だが、農産物販売サイトやファンドによる起業支援など、生産以外でもさまざまな展開が見られる。農水省は、確定申告のように補助事業申請をネットからできるようにするシステムを開発中だ。稼働すれば農業者の利便性を高めるだけでなく、ビッグデータの活用など農業に変革を生む可能性がある。

 JAグループも対応を急がなければならない。デジタル化は組合員や消費者向け事業と、職場内の業務効率化という二つの展開領域がある。現時点ではどちらも進んでいるとは言い難い。2018年9月に発表した「2025年の崖」で経済産業省は、デジタル対応に失敗すれば日本は年12兆円の損失が発生すると指摘した。「歴史の変わり目に立っている」という意識をJA指導層は持つべきだ。

 デジタル対応がうまく進まない要因として、①専門人材がいない②開発が外部事業者頼みのため組織内に知識が蓄積しない③経営層の無理解──などがある。しかし、諦めたら終わり。差は広がる一方だ。デジタル担当役員の設置や事業計画に位置付けるなど、態勢を強化して臨まなければならない。

 JAでは今後、経済事業の収支改善や支店統廃合などが進むと想定される。その際、大事なのは業務の効率化による労働生産性の向上だ。ロボティック・プロセス・オートメーション(PRA)の利用で業務を大幅に省力化したJA山口県下関統括本部が参考になる。生協の取り組みだが、コープこうべが組合員向けスマホアプリを開発し、交流や社会貢献活動への参加を促す事例も情報共有したい。

 始める際に重要なのは「スモールスタート」。一部門の改善でいい、完璧を求めない、ミスを恐れないといった具合だ。最初のハードルを下げ、意欲のある人を巻き込んで一歩を踏み出したい。JAは高齢組合員が多いのでデジタル化は難しいという声も聞く。しかし、次世代との関係を強化するにはデジタルという武器は不可欠である。
 

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