メリケントキンソウ 鋭いとげ危険 茶摘みけがに注意 鹿児島県茶園で初

茶園に生えていたメリケントキンソウ。びっしりと根を張っていて抜き取るのも一苦労だ(鹿児島県志布志市で)

“厄介者”の雑草 海越えて続々


 名古屋市で2010年に開いた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、「20年までに侵略的外来種及びその定着経路が特定される」ことを目標に掲げた。侵入防止や駆除、管理に役立たせるのが狙い。しかし、10年目を迎える現在も、侵略的外来種に限らず外来種の発見が相次ぎ、生産現場では対応に追われている。

 鹿児島県志布志市の茶畑で、外来植物の「メリケントキンソウ」が見つかった。同県で撲滅活動に取り組む専門家によると、茶園での発見は国内で初めて。一番茶を摘採する5月ごろに鋭いとげがある実を付ける。専門家は「農家を介して生息域が広がる恐れがある。実が成熟する前に除去してほしい」と訴える。

 群生していたのは、茶産地の同市有明町の茶園。畑の外縁部や通路の部分に根を張り巡らせていた。草丈は5センチぐらいで、地表を覆うように生える。小さいうちは作業の邪魔にならず、農家の目に留まらない地味な草だが、茶褐色でとげがある実を付けると危険性を増す。

 とげの中に種子が入っている。人の靴底に突き刺さり、他の場所に運ばれて広がる。実を付ける5月は一番茶の時期。作業中に農家がけがをしたり、無自覚に分布を広げてしまったりする恐れもある。

 発見したのは、環境省が任命する環境カウンセラーの窪健一さん。同市では運動場などに繁茂していたことはあったが、茶園で見つけたのは初めてという。「摘採した茶に混入するリスクは低いが、拡大を防ぐため見つけたら駆除してほしい」と呼び掛ける。実を付ける4月中旬までに抜き取ることが望ましいという。
 

県独自リストも


 鹿児島県は同省の分類とは別に、県内で危険度が高い動植物をまとめた「鹿児島県侵略的外来種番付表」を作っている。県外来種対策検討委員会が作成したリストにある、661種の動植物の中から危険度が高い43種を選んだもの。相撲の番付表をなぞらえて、危険度が高い順に「横綱」「大関」などと区分けするユニークな取り組みだ。

 番付は本土と島しょ部に分かれている。上位にはアライグマやゴケグモ類などの特定外来種が名を連ねるが、本土の「前頭」にはメリケントキンソウも選ばれている。既に県内9市町に広がっていて、さらに拡大する恐れがあるために選んだという。県自然保護課は「全国的には影響が小さくても、県単位では問題が出る場合もある。注視していく」と強調する。
 

難しい特定指定


 メリケントキンソウは、現状では国が繁殖防止に動く様子はない。環境省は、危険度の高い外来の動植物を「特定外来生物」に指定して対応する。基準目安は①生態系②人の生命・身体③農林水産業──に被害をもたらすもの。メリケントキンソウは②に該当するが、ヒアリやセアカゴケグモなど、重症をもたらす危険性がなければ、指定される可能性は低い。

 同省は「生態系被害防止外来種リスト」もまとめているが、そこに入る可能性も低いという。同省は「候補にも入ったこともなく、今のところ優先度は高くない」(外来生物対策室)と話す。
 

外来植物は200種


 COP10の一環として環境省は、15年に「生態系等に被害を及ぼす恐れのある外来種リスト」をまとめている。200種類の外来植物を掲載しており、15年以降は更新されていない。

 国外由来の外来植物は国内で未定着のものが22種、国内定着が確認されているものが154種、産業または公益的役割において重要で代替性がなく、その利用に当たって適切な管理が必要なものが14種ある。同省は、外来種に対する問い合わせに応じて特定外来種の調査を進めるが、その件数は毎年30~40件に上り、外来種の侵入が相次ぐことが浮き彫りとなった。
 

<ことば> メリケントキンソウ


 南米原産のキク科の植物で、1930年代に国内に侵入した。愛知、広島、福岡、鹿児島、宮崎県などで定着している。日本では、秋に発芽して夏に枯死する。春先までは、草丈が5センチほど。地味で目立たない無害な草だが、5月ごろに鋭いとげがある茶褐色の実を付ける。
 

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