[新型コロナ] フードバンクSOS 問い合わせ急増 足りぬ食品、人手

緊急支援用に食材を箱詰めする河野リーダー(山梨県南アルプス市で)

 新型コロナウイルス禍で収入が減ったり、失業したりする人が増えている影響で、全国のフードバンクに食料を求める問い合わせが相次いでいる。農家や企業などからの食材寄付は増えているものの、食材の箱詰めや配達などをするボランティアは密集を避けるために減らしており、提供面に支障が出ている。人手不足の中でも懸命な食の支援活動が続いている。

 山梨県南アルプス市の「フードバンク山梨」。通常は多い時でボランティアが約20人集まるが、感染拡大を防ぐため現在は約5人のボランティアと常駐スタッフで、1日約170箱に食材を詰める日もある。貧困世帯への定期的な支援に加え、3月から延べ1500世帯に緊急支援してきた。

 自治体関係者も次々にフードバンクに訪れる。自治体には仕事を失い、今日の食べ物もない状況の人が相談に来ており、窓口ですぐに食品を渡すためだ。同県笛吹市の生活援護課の担当者は「今日、明日の食料がない人だけでなく、収入が減り食費に回すお金がなくなる人が多い。食料の支援はスピードが必要」と食品が詰まった段ボール箱を車に詰め込みながら、厳しい状況を語る。

 フードバンク山梨の河野有良リーダーは「段ボール箱代も値上がりしており、まとまった数で買ったり、安い宅配業者に代えたりして何とかやりくりしている」と話す。

 全国フードバンク推進協議会によると、全国各地で、コロナの影響でボランティアが集められず人手不足に拍車が掛かる中、食材の寄付を求める需要が高まっている。

 北海道の「フードバンクイコロさっぽろ」では、コロナ発生前は1カ月で約10件だった問い合わせが、5月は、半ばで100件を超えた。寄付は2倍に増えたが「それ以上に“SOS”の声が多く、食品が尽きており、寄付に協力する農家や企業とつながりたい」と片岡有喜子代表は切望する。

 5月半ばには農家からの寄贈米が尽き、現在は寄付金で米を購入し、小分けにしてしのぐ。片岡代表は「企業の廃業や閉店も出てくる。フードバンクを求める声は今後ピークを迎えるのではないか」と危惧する。
 

<ことば> フードバンク


 食べられるのに包装の破損や規格外などの理由で廃棄される食品を企業や個人から寄贈を受け、子ども食堂などの福祉施設、困窮世帯に行政やNPOを通じて無償で食品を提供する。農水省によると、全国で120団体(2020年3月末時点)が活動する。
  
米山けい子代表
 

フードバンクの課題 全国推進協 米山けい子代表に聞く

 

 新型コロナウイルスの影響で、貧困世帯らに食材の寄付などを行うフードバンクの需要が高まっている。農家からの野菜や米の寄付も貴重な支援となっているが、人手不足や需要の急増に対応が難しい状況だ。全国フードバンク推進協議会の米山けい子代表に課題などを聞いた。

 

活動支える仕組みを


 新型コロナの影響で、親がテレワークができない仕事や非正規で勤めていた家庭の生活が一層困難になった。食材の寄付は増えているが、フードバンクはボランティアで成り立っているため、常駐スタッフが一人しかいないところや保管場所の確保が不十分なところもある。受け取る側に基盤がないために、寄付される食材を受け取れないという状況が起きている。

 食品ロス削減の観点からしても、今後、こういった不測の事態に発生するロスをどう生かすか、無駄なく活用する姿勢が大切だ。フードバンクは、食材の寄贈、配送や箱詰めにかかる人手など、さまざまな支援を必要としている。JAが持つ倉庫などを保管場所として貸してくれているところもあり、そういった大きな場所の支援も非常に助かっている。

 フードバンク活動は、孤立させない、誰も取りこぼさない社会を目指している。誰でも貧困になる可能性はあり、社会のシステムとしてフードバンク活動が当たり前になるように、活動を下支えする仕組みを、農家や地域住民、行政など多くの人が関わり、作り上げていく必要がある。(聞き手・鵜澤朋未)
 

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