[新型コロナ] 農高再開 “変化の時” 新スタイル模索

牛乳消費を呼び掛ける大阪府立農芸高校の動画

 新型コロナウイルスで休校が長期化していた全国各地の学校が1日、本格的に再開した。
大阪府堺市の府立農芸高校でも授業が再開し、生徒は約3カ月ぶりに友人や、世話をしていた乳牛などと再会を果たした。同校は3月3日から休校し、生徒の畜舎などへの立ち入りを禁止していた。同校には資源動物科があり、牛約20頭(乳牛約10頭)を飼育。休校中の世話は教員らが担当していた。
 

SNS使い指導 生徒が動画作成


 同校の生徒らは休校期間を生かして、牛乳の消費を呼び掛ける動画を作成した。牛乳の需要が落ち込んでいるニュースを受け、SNSを使った話し合いを教諭が提案。資源動物科で酪農を学ぶ生徒のうち5人が、酪農家の現状や牛乳の消費を訴える動画を作成した。

 動画には、毎日乳を絞らないと乳牛が病気になってしまうことなどを盛り込んだ。中央酪農会議の指導も受け、酪農家の現状などを理解してもらおうと、5月14日に動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で公開した。

 参加した栗崎笑瑠さん(17)は「酪農家の頑張りを多くの人に伝えることができたと思う」と話す。同校の田中怜資源動物科学科長は「誰も答えを持ち合わせていない時に、自ら考えたことで生徒の糧になったと思う」と手応えを話す。

 同校ではSNSなどを活用した遠隔指導などにも力を入れていく考えだ。休校中には、田植えなどの様子を教員が撮影し、ユーチューブで確認できるようにした。今後も、動画やデータなどを用意して自宅で取り組んでもらうことなどを検討する。田中教諭は「教育現場が変わる良いきっかけにしたい」と意気込む。
 

「3密」回避へ


 広島県立西条農業高校でも1日から、本格的な登校が始まった。5月18日から自主分散登校を始めた。休校中は教職員が農産物や家畜の世話を続け、学習環境の維持、密集、密接、密閉の3密を避ける工夫、時間割の見直しなどを進めてきた。

 2012年から取り組む「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の研究も中断を余儀なくされたが、6月から再開させる。牛や豚、鶏、馬などを飼育する畜産科は餌やりや搾乳、清掃などは生徒が授業前と放課後に当番制で担っているが、臨時休校の間は同科の教職員9人に、作業員2人を増員して対応。牧草の刈り取りは普通科の教員も加わった。

 5月中旬には、生徒に代わって教職員がひなのワクチン投与をして授業再開に備えた。同科主任の森田毅教諭は「生徒が普段通りの世話や実習ができるようになるまで、教職員で力を合わせて守っていく」と話す。

 約50本のブドウは2、3年生が木を1本ずつ担当し、冬から剪定(せんてい)など管理をする。しかし、5月は教職員が誘引作業などして管理を続けている。

 同校では3密を避けるため、以前のような授業、実習は難しい。同科主任の小倉弘士教諭は「実習がいつでも再開できるよう備えたい」と話す。
 

学校の臨時休業 8割終了


 文科省が5月11日時点で取りまとめた学校の臨時休業の実施状況では、休業終了の予定日を「5月25日から31日まで」と回答した学校は8割。6月1日に多くの学校が再開を始めた。

 全国農業高等学校校長協会によると、臨時休校中は教諭らが家畜や作物の管理を行っていたが、次第に農高生も参加できるようになってきた。このため同省は1日、政府の「新たな生活様式」に沿った実習に関する注意事項を公表した。換気や実習道具などの消毒、事前の健康観察や手洗い、除菌といった基本的な注意点を明記。この他、可能な限り生徒同士の距離を1、2メートル確保し、対面とならないように配置することなどを求めているため、農高の農業体験実習や農業クラブ活動は、大きな転換が必要となる見通しだ。

 遅れている実習や授業について、同省はオンライン上でできるものは順次実施し、場合によっては次年度に繰り越すことも可能とした。最終学年は繰り越すことが難しいため、分散登校の優先的な実施や土曜授業、夏休みの短縮などで対応する考えだ。

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