JAのデジタル化 戦略と人材育成が急務

 新型コロナウイルスの影響でデジタル社会が一段と加速する。JAグループも待ったなしだ。スマート農業にとどまらない。仕事の効率化や働き方でも対応強化が必要だ。デジタル戦略と人材育成が急務である。

 新型コロナ被害の支援対策で威力を発揮したのがデジタルだ。ふるさと納税サイトやJAタウンをはじめ、オンラインショップが伸長した。感染拡大を防ぐ「新たな生活様式」の中、非接触型の販売モデルがさらに普及するのは間違いない。

 深刻な打撃を受けた飲食店の営業変容を押さえておきたい。店内飲食から弁当や料理の持ち帰り・宅配にシフトし、「巣ごもり需要」の取り込みに活路を見い出そうとした。その際に、地方自治体や関連団体が講じた支援対策が「エール飯」や「わが家がレストラン」といった、持ち帰り・宅配が可能な飲食店を紹介する特設サイトだった。

 消費者に周知するネット広報を起点に割引クーポン、ポイント付与などの特典を付け、消費者に購入行動を促した。財源は国や自治体の財政措置だ。こうした支援策を巨大にしたのが、政府が8月上旬にも始める「Go To キャンペーン」だ。ここでもデジタル利用が目立つ。旅行に行く人に出す「地域共通クーポン」が目玉の一つだが、スマホで提示するタイプが主流になるだろう。

 経済活動だけではない。学校教育にもオンライン授業が導入された。課題は少なくないが、一方で不登校の子どもが授業を受けやすくなったとか、いじめに遭わないようになったといった点が保護者から評価されている。緊急事態宣言解除後もテレワークを続ける企業と同様、オンライン授業もオンラインショップも、普及は不可逆である。

 この流れは農業にも及ぶ。農水省の食料・農業・農村基本計画には「行政のデジタルトランスフォーメーションの推進」という1項目が入っている。施策の実施や行政手続きの事務をデジタル化し、農業者の補助金申請もネットでできるようにする。政府の地方制度調査会も、自治体の行政事務へのデジタル活用を安倍晋三首相に答申した。分権と自治の活性化に向け、事務を効率化する狙いがある。

 これは、JAグループも同様であろう。単位JA段階での人手不足と事務処理の煩雑さが問題になっている。JA全中の中家徹会長は全中会長選の所信説明で「デジタル技術の活用」に言及した。ただ、デジタル化の旗振り役として期待される全中には専門人材が不十分だ。専任部署の設置も含め推進体制を検討し、JAグループの戦略構築と人材育成に取り組むべきだ。

 総合事業体のJAグループは活用可能な情報をたくさん持っている。だが、デジタル化されなければ宝の持ち腐れになる。急がなければならない。准組合員とのコミュニケーションや意思反映にも使える。生協や自治体の先発事例は参考になる。

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