[あんぐる] ドライがうまい 食用花の加工に挑む(滋賀県東近江市)

「87farm」が販売する食用花の押し花。家庭で作る菓子のトッピング素材として人気だ(滋賀県東近江市で)

 食べられる花(エディブルフラワー)の押し花やドライフラワーで普段の食卓を彩り、「おうち時間」の食を楽んで──。

 提案するのは滋賀県東近江市の「87farm(ハナファーム)」代表の増田健多さん(32)。トレニアやナデシコ、ベゴニア、ビオラといった約10種類の食用花の生産から、全国でも数少ない加工まで手掛ける。“視覚調味料”として日常的に利用されるようになるまで挑戦を続けていく。
 
 増田さんは、約60平方メートルのビニールハウス4棟で食用花を専門に栽培する。豊富な地下水をたっぷりと用い、温度管理に細心の注意を払う。化学合成農薬は使わない。花が最も美しい状態で収穫し、すぐに水にぬらした筆で花に付いた不純物を取り除く。

 加工作業を自ら行うのが増田さんの経営の特徴だ。乾燥機で水分を飛ばしてドライフラワーにしたり、押し花にしたりすると、保存しやすくなって付加価値が高まる。装飾性の高いパッケージに詰め込めるメリットもある。「贈り物にぴったり」と消費者の評価は高い。プラスチックケースが必要な生花に比べ、流通コストも安くなる。

 

ハウスで食用花を収穫する増田さん
 押し花やドライフラワーは主にインターネットで販売し、生花は地元の洋菓子店やレストランを中心に出荷する。最近では、家庭向けの押し花やドライフラワーが伸びている。「新型コロナウイルスを避けようと、自宅で料理を作る家庭が増えたからだろう」と分析する。
 
 食用花の生産は、地域おこし協力隊の隊員として市内の商店街に立ち上げたカフェのメニューに食用花をトッピングしたところ、「味までおいしくなった」と言われたことがきっかけ。農家視察などで研究を深めてから、園芸店を営む実家のハウスで栽培をスタート。2018年に「87farm」を立ち上げた。

 活動の原動力は「食用花を身近な存在にしたい」という一念。より手軽さを追求しようと、フリーズドライ加工の研究も進める。「食べるという側面から、花が持つ癒やしの力を引き出せば、日常の食生活がもっと豊かになるはずだ」と力を込める。(釜江紗英)

「あんぐる」の写真(全4枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます
 

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