[未来人材] 29歳。14代続く農家を継ぐ IT企業と農業体験注力 消費者の反応 原動力 埼玉県狭山市 安藤雅広さん

刈り取った稲をはざ掛けする安藤さん。手間をかけて作った米は「おいしい」と評判だ(埼玉県狭山市で)

 埼玉県狭山市でサトイモやエダマメなど年間60品目の野菜を両親と作る安藤雅広さん(29)。近隣3カ所の直売所への出荷を担当する傍ら、若手農業者でつくる「アワビレッジ」の一員として、主に都市部の親子を対象とした農業体験イベントを企画・運営し、農業の素晴らしさを広める活動に取り組んでいる。

 実家は14代続く農家だが、高校時代まで農業は嫌いだったという安藤さん。「貧乏、臭い、田舎っぽい、という固定観念があった」と振り返る。

 しかし2008年、所属する聖望学園高校野球部が第80回選抜高校野球大会に出場したことが転機になった。控えの捕手だったが、大歓声の甲子園でヒットを放つなどチームの準優勝に貢献。この時、スタンドで両親が声援を送ってくれた。大切なホウレンソウの収穫時期であるにもかかわらず、自分のために甲子園まで応援に来てくれたことから「農家を継ぐことで恩返しをしたい」との思いが強くなったという。

 高校卒業後は北海道の拓殖大学北海道短期大学に進学。農業の基礎を2年間学んだ後、就農した。当初の3年間はやめたくなることもあったが、仕事ができるようになると、次第に農業の楽しさが分かってきたという。

 現在はキャベツやブロッコリーを近隣の直売所に出荷。「自分たちが作った野菜の売れ行きや消費者の反応を知ることができ、やりがいを感じる」と笑顔を見せる。

 安藤さんは、東京都内のインターネット企業などと連携し、都市部の家族が農業を体験する取り組みをしている。「野菜作りに懸ける思い、取れたて野菜ならではの新鮮な味、香り、みずみずしさを伝えたい」と力を入れる。

 現在は新型コロナウイルスの感染拡大で、たくさんの人が集まるイベントは難しくなっている。そこで8月下旬、初めてオンラインでホウレンソウの植え付け体験を企画した。スマートフォン越しに苗の植え付けを説明。画面越しの子どもたちが真剣な表情でうなずく様子に手応えを感じたという。

 今後は生産規模を広げ、直売所に出す農作物を増やすことと、農業体験の活動継続に力を入れる考えだ。「自分たち若い世代が、地域農業の担い手となって頑張りたい」と意欲を見せる。
 

農のひととき


 知り合いの飲食店に卸した野菜が、料理として美しく彩られると感動を覚えるという。それを食べた人から「おいしかったよ」と声を掛けてもらったり、料理人から「良い野菜だった」と評価されたりするとうれしい。「野菜をどんどん売り込みたい」と目を輝かせる。

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