JA農業関連事業 信頼が収支改善の鍵に

 農林中金総合研究所が、米の主産地で農業関連事業が黒字の3JAを分析し、報告をまとめた。米の集荷率や事業利用率を高め、JA施設の集約を進める上で「組合員の信頼」をポイントに挙げている。組合員の負託に応えるため、JAの原点を大切にし、経営基盤の強化に取り組む必要がある。

 農業者の所得増大や農業生産の拡大など自己改革を進めるJAにとって、経営基盤強化は改革を持続させるため避けて通れない課題だ。特に、経済事業をはじめ農業関連事業の収支改善は焦点の一つ。農中総研は2018年度までの10年の多くで同事業が黒字の3JAを分析し、収支改善のヒントを探った。

 対象は、北海道のJAピンネ、秋田県のJA秋田しんせい、富山県のJAみな穂。いずれも販売高の7、8割を米が占める。報告によれば、黒字の要因には共通点がある。営農指導や販売、購買など各事業がよく連携し、JAが組合員の信頼を得て、高い事業利用率を実現している点だ。

 JAピンネは主業農家が多く、平均経営面積は14・5ヘクタール。家庭用の高価格帯の米を中心に「選ばれる米づくり」を推進する。組合員ごとの土壌、食味データによる営農指導や、米の品質で加算金や精算金に差を設けることで生産意欲を向上させた。その結果、米の集荷率は9割以上となり、資材購買や施設などJAの事業利用率も高い。

 一方、残る2JAは比較的小規模な兼業農家が主体だ。JA秋田しんせいは平均経営面積が2・8ヘクタール。JAの専用肥料を使う「土づくり実証米」をブランド化し、主食用米を売り切ることを重視する。小売り・業務用として安定した販売実績があり、それで組合員の信頼を得た。

 JAみな穂も平均経営面積が3・8ヘクタール。JAが生産調整を先導し、「管内一圃場(ほじょう)」を掲げる。米粉や輸出用など、用途によって価格が異なる新規需要米の精算金を一定にして組合員の公平性を確保。肥料では銘柄を集約し、早期注文による値引きを実現している。

 3JAは、黒字化の戦略で異なる点もある。農業関連の事業総利益が維持・増加傾向のJAピンネは、農家訪問で営農相談に対応するなど組合員との接点を強化し、集荷量・事業の利用増を目指す。一方、JA秋田しんせいやJAみな穂は、事業総利益が減少傾向にある。そこで、店舗や施設の集約、資材配送の合理化などを通じた事業管理費の削減に力を入れる。

 「JAの財務データを組合員と共有し、組合員にJA利用や手数料引き上げの理解を得る」(秋田しんせい)などJAに結集する取り組みも進め、3JAは事業拡大、管理費の削減を問わず、黒字化のため組合員との関係を強化している。成功例を踏まえれば、経営基盤強化でJAには、組合員の信頼と協力を基に地域実態にあった収支改善の戦略づくりが求められる。

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