都心と農村結ぶ オンラインで直売所 新宿・飲食店に大型ビジョン 「新しいPRに」

ブドウ農家の池田さんと画面越しに会話する河野さん夫妻(中)(東京都新宿区で)

 新型コロナウイルス禍で農家が都心部に赴いて売り込むのが難しい中、都心と農村をインターネットで結ぶ交流イベント「オンライン直売所」が始まった。農産物物流コンサルタントを手掛けるアップクオリティが、東京の飲食施設の一角に設備を用意。農家と来店客が画面越しに会話できる。移動時間をかけずに大消費地でPRできる新たな手法として、定着させたい考えだ。

 東京都新宿区の繁華街にある「バスあいのり3丁目テラス」。全国の産地から高速バスのトランクを使って食材を直送。料理を提供する店だ。店内の一角には大型ビジョンを備える。

 画面に映るのは甲府市のブドウ畑に立つ農家、池田容子さん(39)。たわわに実ったブドウも映しながら「山梨でしか作っていない品種もある。ぜひ食べ比べてみて」などと画面越しにPRする。店内の直売スペースには池田さんのブドウも並び、来店客が次々と購入していた。

 画面を通じて池田さんと今年の出来栄えなどについて話した東京都中野区の主婦、河野まゆみさん(57)は「コロナの混乱の中、食べ物を作ってくれる人への感謝の思いが芽生えた」と顔をほころばせる。夫で会社員の達也さん(65)も「画面越しでも農家の話を聞くと応援したくなる」と話す。

 「畑を見てもらいながら話せるのがうれしい。交流の機会があるだけで刺激になる」と池田さんは実感する。

 「オンライン直売所」は、農家に発信の機会を提供するため、9月上旬に始まった。週末を中心に開いており、池田さんら山梨県の農業女子グループが参加した。今後は同県以外にも、バス路線でつながる全国の産地と交流の場を定期的に設ける予定だ。

 今後コロナが収束したとしても、遠隔地から都心にPRするための新たな手法として続ける方針だ。産地とバス路線でつながっている点も生かし、状況を見ながら産地ツアーも検討していく。

 アップクオリティの泉川大社長は「コロナ禍で当たり前になったリモート技術を使えば、距離のハンディキャップは小さくなり、農家側の負担は減る」と期待。「ピンチをチャンスに変えて、都心の消費者と農家が、お互いをより身近に感じることができるように後押ししたい」と語る。
 

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