生産緑地の貸借 JAが仲介し存在感を

 生産緑地の貸し借りをしやすくする都市農地貸借円滑化法の施行から2年がたった。JAが仲介役となり貸借を成立させるケースが生まれている。取り組みを広げ、都市農業への理解を促しJAの存在感を高めたい。

 農地貸借には、農地法に基づき自動的に契約が更新される「法定更新」の仕組みがある。しかし、一度貸し出すと返してもらえなくなるとの懸念から、貸し渋る所有者もいる。

 そこで2018年9月1日に施行されたのが同法だ。生産緑地について、法定更新の例外を設け、契約期間が終われば所有者に返す仕組みを創設した。さらに税制措置の特例を設け、生産緑地を貸し出した場合も相続税納税猶予は打ち切られず、継続できるようにした。

 この制度変更を追い風に、生産緑地の貸借はじわり進んできた。農水省によると、同法に基づき貸借された生産緑地は20年3月末時点で174件、30・6ヘクタール。目立ち始めたのが、JAが仲介役を務めるケースだ。

 モデルケースの一つが、大阪府のJA大阪中河内だろう。同JAは19年度、11件の生産緑地1・2ヘクタールで貸借を成立させた。

 核となるのは17年に立ち上げた「農地保全チーム」だ。農地を適切に管理してもらえるのか──。ここに貸し手の最大の不安があることに着目、「きちんと管理できる人にしか貸さない」という方針を徹底する。例えば農地の視察や聞き取りで、借り手の農業技術や人柄の見極めに力を注ぐ。貸借成立後のトラブルを防ぐため、月1回ほどの農地巡回を欠かさない。きめ細かな取り組みが安心感につながり、貸し付け希望者は増えているという。

 一方、営農継続が難しい生産者から生産緑地を自ら借りて活用するJAもある。JA大阪市は生産緑地2件、26アールを借りて市民農園を開設した。

 同法は生産緑地の仲介役について、市町村や農業委員会を想定しているが、取り組みに温度差もある中、JAが主導的な役割を果たしている格好だ。

 今こそ、こうしたJAの取り組みを広げたい。新型コロナウイルス禍で、直売所や体験農園など身近な農に触れる機会が増え、都市の農地の価値は見直されている。その要の生産緑地の保全に貢献することは、JAに対する国民理解を深めることにもつながる。

 22年には、生産緑地の約8割が指定から30年を迎える。生産緑地と同じ税制優遇措置を引き続き受けるには、「特定生産緑地」の指定手続きをしなければならず、ここでもJAの役割発揮が期待されている。

 農地の貸借には専門的な知識が必要で、トラブルが起きるリスクもある。JA全中は、同法を活用する研修会やJAに向けた体験農園の開設手引などを作成している。国も専門家を派遣するなどの事業を展開している。こうした支援策を継続・充実してほしい。
 

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