農業Week開幕 スマート農機最前線 千葉
2020年10月15日

果樹園などに向く農業用無人車(14日、千葉市で)
日本最大の農業・畜産資材の展示会「農業Week(ウイーク)」が14日、千葉市で始まった。同時開催の「国際ガーデンEXPO」などを含め、500社が出展。最新のスマート農業製品や資材をアピールした。新型コロナウイルス対策として、検温やマスク着用を徹底する他、オンライン参加にも対応した。リードエグジビションジャパン主催。16日まで。
会場では小型無人飛行機(ドローン)や自動運搬台車、草刈り機など、人手不足に対応して作業を省力・軽労化するロボット農機が目立った
ドローンメーカーのXAG JAPANは、農薬散布や収穫物の運搬を自動化する農業用無人車「R150」を発表した。バッテリー式で、フル充電で4時間の走行が可能。ドローンが使いにくい果樹園などに向く。
薬剤散布用のタンク容量は100リットル。二つの散布スプレーは上下に200度、左右に290度回転し、幅広く噴霧できる。
同社のドローンと同じ自動運転機能を採用した。位置情報を基にルートを設定して自動で走行する他、リモコン操作や作業者に追随する機能もある。傾斜15度まで対応する。バッテリーを15分でフル充電にする急速充電器も紹介。2021年内の発売を予定する。
北菱電興は、来春発売予定の水田用自動水門「アクアポート」を紹介した。水田の水位調整に機能を絞り、3万円台に価格を抑えた。
二つの水位センサーを水田内に設置し、給水口の塩ビパイプに本体を接続。自動で給水と止水を切り替えて設定水位を維持する。単1電池4本で稼働するため、電源がない場所でも使える。
本体は高さ42センチ、幅23センチ、奥行き19センチで重さは5・5キロ。価格は3万8000円ほど。同社は「取り付けも簡単。水管理の省力化に役立ててほしい」と期待を込める。
スピリッツは、ヤガ類などを寄せつかせない発光ダイオード(LED)照明「害虫くん退散1号」を出展した。畑や施設内に設置して害虫が活動しにくい波長の光で寄せ付けない仕組みだ。農薬散布回数の削減による省力化やコスト削減を期待する。
本体は長さ約1・2メートル、直径25ミリ。10メートルほど光が届く。同社によると、施設カーネーションや露地のネギやタマネギ、キャベツなど20戸以上の農家が利用しているという。消費電力は18ワットで、家庭用電源が必要。価格は1本4万5000円(税別)。
段差を越えられる台車や、荷物を載せたまま階段を昇降できる台車の出展も目立った。物流資材を扱うテイモーは、段差乗り越え台車「ロイターバウル」を実演。台車前方の二つの車輪が動いて最高4センチの段差をスムーズに越えられる仕組みになっている。同社は「ちょっとした段差で困っていたらぜひ試してほしい」と勧める。価格は5、6万円とし、別途送料が必要だ。
シシクアドクライスは、階段を昇降できるゴムクローラー台車「HTーCUー1」で、試作品のハンドストッパータイプを紹介した。ストッパーで階段からのずれ落ちを防止できる。硬い平地なら2輪台車として使える。車輪タイプもある。同社は「荷物を載せたまま安定して階段の上り下りができる」と強調する。価格は9万4000円(税別)。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=B2LmMhdLqoU
会場では小型無人飛行機(ドローン)や自動運搬台車、草刈り機など、人手不足に対応して作業を省力・軽労化するロボット農機が目立った
散布や運搬 お任せ
ドローンメーカーのXAG JAPANは、農薬散布や収穫物の運搬を自動化する農業用無人車「R150」を発表した。バッテリー式で、フル充電で4時間の走行が可能。ドローンが使いにくい果樹園などに向く。
薬剤散布用のタンク容量は100リットル。二つの散布スプレーは上下に200度、左右に290度回転し、幅広く噴霧できる。
同社のドローンと同じ自動運転機能を採用した。位置情報を基にルートを設定して自動で走行する他、リモコン操作や作業者に追随する機能もある。傾斜15度まで対応する。バッテリーを15分でフル充電にする急速充電器も紹介。2021年内の発売を予定する。
自動水門や防虫照明
北菱電興は、来春発売予定の水田用自動水門「アクアポート」を紹介した。水田の水位調整に機能を絞り、3万円台に価格を抑えた。
二つの水位センサーを水田内に設置し、給水口の塩ビパイプに本体を接続。自動で給水と止水を切り替えて設定水位を維持する。単1電池4本で稼働するため、電源がない場所でも使える。
本体は高さ42センチ、幅23センチ、奥行き19センチで重さは5・5キロ。価格は3万8000円ほど。同社は「取り付けも簡単。水管理の省力化に役立ててほしい」と期待を込める。

左から、北菱電興が来春発売予定の「アクアポート」。スピリッツの「害虫くん退散1号」。シシクアドクライスの階段昇降台車(14日、千葉市で)
本体は長さ約1・2メートル、直径25ミリ。10メートルほど光が届く。同社によると、施設カーネーションや露地のネギやタマネギ、キャベツなど20戸以上の農家が利用しているという。消費電力は18ワットで、家庭用電源が必要。価格は1本4万5000円(税別)。
段差を越えられる台車や、荷物を載せたまま階段を昇降できる台車の出展も目立った。物流資材を扱うテイモーは、段差乗り越え台車「ロイターバウル」を実演。台車前方の二つの車輪が動いて最高4センチの段差をスムーズに越えられる仕組みになっている。同社は「ちょっとした段差で困っていたらぜひ試してほしい」と勧める。価格は5、6万円とし、別途送料が必要だ。
シシクアドクライスは、階段を昇降できるゴムクローラー台車「HTーCUー1」で、試作品のハンドストッパータイプを紹介した。ストッパーで階段からのずれ落ちを防止できる。硬い平地なら2輪台車として使える。車輪タイプもある。同社は「荷物を載せたまま安定して階段の上り下りができる」と強調する。価格は9万4000円(税別)。
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https://www.youtube.com/watch?v=B2LmMhdLqoU
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未活用の土地使い コインランドリー提案 地域の利便性向上へ JA三井リース
JA三井リースは地域の利便性向上のため、JAや組合員に、未活用の土地でコインランドリーを設置・運営する提案を始めた。農家や高齢世帯の家事負担を軽減できる他、直売所などの施設に併設することによる相乗効果、遊休施設の有効利用が期待できる。初の店舗が1日、東京都のJA町田市管内でオープンした。
同社が提案するコインランドリーをJAなどが導入する際は、同社と機械のリース契約を締結する。……
2021年03月02日

吾妻の手作りいちごジャム 長崎県雲仙市
長崎県雲仙市吾妻町の吾妻農産加工組合が製造販売する。製造を始めて38年目。味と品質が認められ2012年からは、カステラで有名な文明堂総本店(長崎市)のイチゴ味のカステラ巻きで原料に使われている。
JA島原雲仙総合集荷場から、青果用のイチゴを仕入れる。イチゴの形を残して仕上げる「プレザーブスタイル」。その他の原材料は国産のグラニュー糖と近隣の町で栽培したレモンだけ。添加物は使っていない。
加工場横の直売所で1個(280グラム)500円(税別)で販売する。町内外のスーパー、JA直売所に卸している。地方発送もする。問い合わせは吾妻農産加工組合、(電)0957(38)6008。
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2021年03月01日

[米のミライ](6)加工用米 産地と地元実需 協力 活用の裾野広げる 新潟、熊本県
「パンやカップ麺のように、手軽に食べてもらえる商品にしたい」。JA熊本経済連は、県産の加工用米を使った冷凍米飯を売り込む。ご飯を炊く手間から国内の精米消費量が落ち込む中でも、電子レンジで調理できる商品ならば、消費者の簡便ニーズに応えられると商機をみる。
2009年から冷凍米飯事業に乗り出し、現在の「熊本県産こだわり炒飯」は、焼き豚やニンジンなど県産品の利用にこだわった5種類を展開。……
2021年03月04日

歌い奏で 農家にエール 活躍する北海道のミュージシャン
新型コロナウイルス禍で農産物の販売が苦境に立つ中、歌の力で農作物や農山村、JAを応援しようという機運が、北海道で高まっている。「北海道米」を題材に歌う音楽家、オホーツク発の音楽を奏でる“半農半ミュージシャン”、観光応援大使として市町村の楽曲を作るグループ――“道産”の音楽が地域を盛り上げている。(坂本俊二、関山大樹、望月悠希)
米の魅力ボサノバで 木村ゆうさん 札幌市
ボサノバ調の「お米のボッサ」で北海道米をPRするのは、札幌市の木村ゆうさん(30)。5歳の頃からピアノを習い、市内の大学で音楽を学んだ後、会社員との兼業で作詞作曲や演奏活動をしている。
2020年8月、食育イベントに参加した時に米の消費が落ちている現状を知った。ご飯が大好きで演奏前に欠かさず食べるという木村さんは、もっとお米を食べてもらおうと、歌を作ることにした。
歌では「指を立ててやさしく 何度も何度も何回も研いできれいにするの」と米のとぎ方を描写。「おいしいご飯をあの人と食べたいな 炊き立てを準備して帰りを待つの」とまとめた。
こだわったのが、品種名を盛り込むこと。「ななつぼし」は北斗七星、「おぼろづき」「ほしのゆめ」はきれいな風景をイメージ。「ゆめぴりか」の「ぴりか」はアイヌ語で「美しい」という意味だった。名前の由来について調べると、ますます愛着が湧いた。
単純に並べるのではなく、意味を持たせて「北に光るななつぼし ほしのゆめを見る 夜を照らすおぼろづき きらら397」と流れるように仕上げた。
各種音楽配信サイトで発表して以来、歌は好評で、演奏会でもリクエストがあるという。木村さんは「歌を通して多くの品種を知って、北海道米をたくさん食べてほしい」と願っている。
麦育てつつライブ 遠藤正人さん 北見市
「音農家」の遠藤さん(遠藤さん提供)
北見市の遠藤正人さん(40)は小麦などを35ヘクタールで栽培する傍ら、ギタリストとして精力的に活動する。自ら「音農家(おんのうか)」と名乗り、東京でもライブをして、オホーツク地方や農業の魅力を発信している。
2008年にメジャーデビューしてCD2枚、DVD4枚を発売。東京で10年間、ライブ活動やバックバンドなどをした後、32歳で畑作農家の後継者としてUターンした。今は高齢者施設や教育施設での演奏など、農作業の合間に音楽活動を展開。スタジオミュージシャンとして録音にも携わる。遠藤さんは「“音農家”として、農業の魅力や格好良さを広げていきたい」と語る。
JAとMVを制作 ハンバーガーボーイズ 札幌市
北海道観光応援大使を務めるハンバーガーボーイズ
2012年に結成された札幌市の3人組ユニット「ハンバーガーボーイズ」は、道内の各市町村と連携した楽曲を作り、地域や農家、JAを応援する。
北海道観光応援大使も務めており昨年はJAそらち南のイメージソング「NOU NOU NOUKA(ノウノウノウカ)」を制作した。ミュージックビデオ(MV)にはJAの役員や農家らが出演。新しいJAの魅力を幅広い層に発信することに大きく貢献している。
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2021年03月06日

和田秀樹さん(精神科医) 一番おいしい方法を探求
私の好きな食べ物は、エビとカニ。新型コロナ禍のため、今はよく弁当を買うんですけど、エビフライとかカニクリームコロッケが入ったものを選んでしまいます。最近はエビカツが好きになりました。
格別だったエビ
エビ好きに関しては、母親の兄のおかげです。伯父は特攻隊に行くはずで死を覚悟しましたが、結局、行かなかったそうです。戦後、精神的に不安定な時期もありましたが立ち直り、魚の卸売市場の親方に気に入られて、私が子どもの頃は店を任されていました。
伯父はよく私の母親に「持ってけ」といって、氷付けになっているエビを1箱くれたんですよ。クルマエビくらいの大きさでした。
当時は流通や冷凍技術の関係で、どんな魚を食べても生臭かったんです。でも伯父からもらったエビは臭みがなくおいしかった。
エビが本当に高い時代でしたからね。友達がうらやましがるのを横目に食べたんです。豊かさの象徴のように感じられました。
カニについては、父が京都府の丹後出身で、冬場に父の実家に帰ると大量のカニを食べました。
カニというと福井と鳥取が有名ですが、今、東京で最も高額で取引されているのは、生きたまま空輸される間人(たいざ)のカニ。丹後半島で捕れるものです。私は知らずに、雌とはいえ最高のブランドカニを食べていたわけです。
30代のはじめ、米国のカンザスに留学していました。向こうでもエビやカニはスーパーにあるので不自由はなかったんですが、唯一困ったのがカニクリームコロッケ。ずっと飢えていました。
学会出席のため、ニューヨークに行った時。日本の商社や銀行、日本食レストランが並んでいる一角に、居酒屋を見つけたんです、入ってみたら、メニューの中にカニクリームコロッケがあって。すごくおいしくいただきました。
食べ物については、もう一つ思い出があります。やはり米国でのことです。私は基本的に日本食派ですが、世界三大珍味の一つ、白トリュフは大好きなんです。
これをパスタや肉の上に削りかけると値段がグンと上がるわけですが、それほどの価値があるのか疑問に感じていました。
白トリュフの謎
15年くらい前、白トリュフの謎が解けたんです。精神分析の師匠を訪ねて米国に行った時、サンタモニカの高級イタリアンレストランに入ったんですよ。そこは冬場に、世界一高い白トリュフを出すというんです。
白トリュフのカルパッチョがあり、ものすごく高い値段でしたが観光気分で頼んでみました。
これは生まれてこの方、食べた料理で、一番おいしかったです。
何が違うかというと、肉の上から掛けるんではなく、肉を白トリュフの漬けにしたんです。白トリュフを絡めたオイルに、生肉を漬けた料理だったんですね。
一口食べて発見しました。「これは世界一高いかつお節だ」と。かつお節も、上から掛けるよりも、だしにして食材に味を染み込ませる方がうまいじゃないですか。それと同じことを白トリュフでやっていたわけです。
それで感じたのが、食材には一番おいしい食べ方があるということ。カニクリームコロッケにしても白トリュフ漬けにしても、最高においしく食べるための工夫なんです。こうした工夫のおかげでよりおいしく食べられれば、食材を作った方への感謝の気持ちも一段と強くなると思っています。(聞き手=菊地武顕)
わだ・ひでき 1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒後、同付属病院精神神経科、老人科、神経内科で研修。現在は国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長などを務める。心理学や受験指導に関する書籍を多数執筆。近著は『感情的にならない心の整理術』(プレジデントムック)。
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2021年02月27日
動画ニュースの新着記事

ニンジン葉切断機開発 1分で最大130本処理 千葉・八街洋らん園
千葉県八街市でニンジンなどを栽培する八街洋らん園は、ニンジンの葉の切断機「CHC─1」を開発した。ベルトコンベヤーにニンジンを載せるだけで自動で葉を切れる装置で、調製作業の省力化を見込む。同社の調べで、人手だけの作業に比べ約6倍速く調製できるという。霜や寒さに当たって葉が枯れたニンジンの調製作業を大幅に省力化できると期待する。
開発した切断機の大きさは、高さ1・1メートル、幅1・3メートル、奥行き60センチ。ベルトコンベヤーで運ばれたニンジンをローラーで押さえて、カッターで切る仕組みだ。
同社によると、1分間に最大130本を処理できるという。100ボルトの電源電圧で稼働する。
地域では、11月~翌年3月の5カ月間でニンジンを出荷する。葉を引っ張って地面から抜く専用のニンジン収穫機を使えば、葉が自動で切り取られるが、1月以降は霜に当たって葉が枯れ、機械が使えない。そのため手作業で枯れた葉を切る必要がある。
2020年に特許を取得した。葉だけでなく、ニンジンの先端から伸びた細い根も切れるよう改良を進める。ニンジン1ヘクタールを栽培する同社の井啓代表は「調製作業は時間がかかり、精神的に負担が大きい。省力化が強く求められている」と指摘する。
価格は38万円(税別)。問い合わせは八街洋らん園、(電)043(445)2214。
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2021年02月23日

生育測定スマホで完結 データ蓄積管理に活用 IT企業アプリ開発
名古屋市のIT企業「ITAGE(アイテージ)」は、トマトやナス、キュウリの茎径や葉幅などの生育データをスマートフォンのカメラで測定するアプリを開発した。データをインターネット上に保存して生育の推移を把握でき、栽培管理などに生かせるとみる。2021年度の実用化を目指す。
開発したアプリ「生育ナビ」は、長さ15センチほどの測定マーカー板を測定する箇所にかざして、スマホで撮影する。定規や筆記具などを持ち歩かずに、省力的に測定と記録、グラフ化ができる。現在は試用版で、評価モニターを募っている。
測定できるのは茎径や葉幅の他、トマトの場合は頂点開花位置、茎伸長、着果数、葉色など。スマホで撮影した画像に画面上で簡単な操作をすれば、長さを測れる。葉数や段数は手入力できる。
測定データはアプリ上で確認できる。前年との比較も可能だ。データは共有でき、生産者部会やグループで使えば、自身と他の農家の生育データを比べられる。施設トマトの栽培試験で活用する愛知県農業総合試験場は「データを基にした普及・営農指導につなげられる可能性がある。収量予測に必要なデータとしても生かせるだろう」とみる。
同社によると、県内だけでなく関東や九州の産地で現在60人ほどが試用し、測定精度や使いやすさの向上を進めている。同社は「生産者同士が生育データの数値を参考にしながら、栽培の改善策などを話し合えるようになる」と見込む。
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https://www.youtube.com/watch?v=ytsQSjnr0yg
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2021年02月08日

[あんぐる] 今こそ冬の手仕事 豊穣祈る北欧の装飾「ヒンメリ」(山梨県北杜市)
長い冬が続く北欧フィンランドに伝わる、室内で光をめでる麦わらの装飾「ヒンメリ」が、近年日本でも注目を集めている。農閑期にヒンメリ作家として活動する山梨県北杜市の農家、佐藤享子さん(49)は、新型コロナウイルス禍でのおうち時間を楽しめるツールとして魅力を発信している。
ヒンメリという名前は、「天」を意味する単語に由来する。冬に夜が長いフィンランドでは、昔から冬至を「太陽が生まれる日」とし、麦わらでヒンメリを作って冬至から夏まで食卓の上につるして豊穣(ほうじょう)を祈った。
光が当たるとキラキラと反射し、室内に幾何学模様の影を描くヒンメリは、「麦わらのシャンデリア」とも呼ばれる。
12本の麦わらを組み合わせた正八面体が基本の形で、麦わらと糸さえあれば誰でも手軽に作れるのが特徴だ。近年日本でも子どもの知育教材やクリスマスの装飾として人気が高まっている。
ヒンメリ作家として活動する佐藤さん。古民家を改装した自宅のアトリエには、たくさんの作品が飾られている
佐藤さんは2010年に神奈川県から家族で移住し新規就農した。耕作放棄地だった棚田など約70アールを再生し、夏野菜を栽培している。16年に始めた小麦の出来が良く、麦わらを余すところなく使う方法を探し、ヒンメリと出合った。現在は棚田の約1アールで小麦を育て、わらを傷めないよう収穫などは手作業にこだわる。
麦わらは乾燥後に表皮をむき、節ごとにカット。脱色などせず、自然な風合いを生かして制作している。この麦わらの穴に糸を通して結び、立体に仕上げる。
以前は地元のマルシェなどでヒンメリのワークショップを開いていたが、新型コロナの感染拡大で全て中止に。インターネット上に活動の場を移し、動画での制作指導や、必要な材料をそろえた制作キットの販売を通じて魅力を全国に発信している。
佐藤さんは「フィンランドでは長く厳しい冬を楽しく過ごすために作られるヒンメリ。コロナ禍でおうち時間が増えた今こそぴったり」と話している。(釜江紗英)
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https://www.youtube.com/watch?v=fm3X3Gy242U
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2021年02月08日

[活写] “最辛”の熊対策
青森県中泊町で木炭の生産を手掛けるツリーワークは、インド原産の激辛トウガラシ「ブート・ジョロキア」と木酢液を使った熊の忌避剤を開発した。熊の出没が多い2020年は、全国から問い合わせが相次ぎ、受注が前年の10倍に増えたという。
商品名は「熊にげる」。ジョロキアから抽出した辛味成分と木酢液を混ぜた黒い液体だ。臭いが漏れ出るよう上部に穴を開けたペットボトルに入れ、畑の近くにつるして使う。
炭・木酢液を研究する谷田貝光克東京大学名誉教授の助言を受け16年に開発。青森や秋田、長野県などのトウモロコシ畑やリンゴ園で試験し、熊や猿に対する効果を確認した。
ジョロキアの施設栽培にも取り組み、製品のコストダウンに成功した。現在はハウス2棟で、製品2トン分の原料を収穫する。価格は1リットル入りで1万円。1ヘクタールの畑で約1年間使える量という。
同社代表の佐々木嘉幸さん(82)は「注文が増えている。原料が足りないので、栽培に協力してくれるよう農家に呼び掛けたい」と話す。
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2021年01月17日

原動機1台で内張り2層を同時展張 茨城・施設ピーマン栽培の須之内さん
茨城県神栖市でピーマンを施設栽培する須之内康至さん(66)は、内張りカーテン2枚をビニール巻き取り用の原動機1台で張る方法を取り入れ、省力化につなげている。2枚のカーテンの端を固定し、同時に展張する仕組みだ。
カーテンの端固定
須之内さんは、栽培面積95アールのうち、促成作型の30アールで10年ほど前から取り入れている。カーテンを展張する仕組みは、親戚に改良してもらったものだ。
ワイヤ巻き上げ式の内張りカーテンを、3重に被覆する。屋根側の2層のビニールの端を、直径約1センチの鉄パイプにパッカーで固定。下層のビニールは、たるむほどの余裕をもたせてある。
張ったカーテンを確実にしまうために、ビニールを固定した鉄パイプと、下層のビニールを支えるワイヤをひもでつないだ。
カーテンの操作は手で電動スイッチを押すタイプ。午前8、9時に下層のカーテンから開け、午後4時ごろにカーテンを閉める。
「カーテンの開閉は毎日の作業。電動だが操作が一つ減るだけでも、省力的に感じる」と須之内さんは実感する。
ビニールを巻き上げるワイヤが伸びて長くなり、巻き上げが不十分になることがあるため注意が必要という。
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https://www.youtube.com/watch?v=R_dqGEomQ4w
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2021年01月12日

リンゴ、梨収穫はロボにお任せ 速度は人と同等で適期も見極め 農研機構など開発
農研機構と立命館大学、デンソーは23日、リンゴや梨を自動で収穫するロボットを開発したと発表した。果実の認識、収穫、コンテナへの収納が自動でできる。収穫速度は人とほぼ同じ、果実1個当たり11秒。今後2年かけて実証試験を続け、実用化を目指す。
はさみを使わずに収穫できるリンゴ、梨、西洋梨が対象。樹形は着果面が平面になるV字樹形に対応する。
収穫ロボットは、自動走行車両がけん引する。人工知能を活用。アームの土台にある2個の高性能なカメラによって果実を認識し、着果位置を把握する。3本爪のハンドが果実をつかみ、回転させて収穫する。
リンゴと西洋梨は、カメラで認識した全ての果実を収穫する。高さ80~200センチに着果した果実に対応。梨は果頂部の色を認識し、収穫適期の果実だけを選んで取る。試験では夜間でも精度90%で熟度を判定できた。収穫する果実がなくなれば走行車両を動かし、自動で次の果実に移動する。
収穫後の果実は、走行車両の荷台にある、収納システムのベルトコンベヤーに優しく落とす。2本爪のハンドが運ばれた果実をつかみ、コンテナに置く。満杯になったら自動で荷台に移動。荷台には5段重ねのコンテナが4山置ける。
収穫スピードの1個当たり11秒は、1時間で300個を収穫できる速さだ。自動走行車両を使った薬剤散布や除草も含め年間の作業時間を50%削減できるという。
農研機構果樹茶業研究部門は「海外の吸引型の収穫機と異なり、果実に傷が付きにくく、収穫適期が見極められるのが特徴」と説明する。他の果樹への応用も検討する。
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https://www.youtube.com/watch?v=z9pVKn_F7SQ
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2020年12月24日

[旬菜物語] リンゴ「ピンクレディー」 長野・JAあづみ
小ぶりでも輝く魅力
長野県は全国2位のリンゴ生産量を誇ります。県内有数の産地のJAあづみ管内で栽培される「ピンクレディー」は小ぶりで甘酸っぱさが特徴の希少なリンゴです。「ピンクレディー」の特徴と地域のご当地グルメ「安曇野林檎(りんご)ナポリタン」を紹介します。
色鮮やか 貯蔵に強み
リンゴ「ピンクレディー」は商標名で、正式な品種名は「クリプスピンク」です。オーストラリアの試験場で誕生したリンゴで、世界各国で栽培されています。栽培の権利はオーストラリアの組織が管理しており、苗木生産と商標使用に対して使用料を支払う必要があります。
日本で生産する場合は、農家がオーストラリアの組織と契約し、日本の「ピンクレディー」の生産者組織、日本ピンクレディー協会に所属することが必要です。
同協会は2006年に発足しました。当初は所属する生産農家は長野県内の9人でしたが、20年3月時点では県内外の44人まで増えました。19年度は同協会で年間130トンを生産しました。長野県のJAあづみ管内では7人の農家が生産。同協会で生産する「ピンクレディー」の半分以上を占め、生産量は全国トップです。
「ピンクレディー」の果皮はピンク色を帯びた鮮やかな赤色をしています。1個180グラム前後の小ぶりなリンゴで、強い酸味がありながら甘さもある濃厚な味で、食べるとしゃきっとした歯応えがあります。生食はもちろん、加熱しても煮崩れしにくい特徴を生かして、アップルパイやタルトなどの調理にも最適です。
収穫時期はJA管内で主力のサンふじとほぼ同じ、11月中・下旬です。収穫した「ピンクレディー」は1月末まで貯蔵することで強い酸味が和らぎ、香り高い風味が楽しめます。サンふじの出荷時期を避けることができるのも利点です。
葉摘み作業念入りに
同協会の会長を務める、安曇野市のリンゴ農家、中村隆宣さん(62)は「ピンクレディー」の貯蔵性の高さを「冷蔵庫で保存すれば収穫から1年ほどは食感や味を維持できる」と紹介します。
栽培時は「ピンクレディー」独特の鮮やかな色味が付くように葉摘み作業を念入りに行います。また、料理に使いやすいように、他の品種よりも摘果を少なくすることで小ぶりなサイズに仕上げます。
中村さんは自身の農園では「ピンクレディー」のドライフルーツやジャム、ジュースの販売などの6次産業化に取り組む他、「ピンクレディー」をPRする曲を作詞・作曲するなどして認知度の向上にも力を入れています。
中村さんは「日本は欧米に比べてリンゴの消費量が少ない。消費者が『ピンクレディー』のような新しいリンゴに出合うことで、リンゴ全体の消費が拡大してくれたらうれしい」と笑顔で話します。
<JAあづみ>
安曇野市と松本市の一部を管内に持ちます。降水量も少なく、豊富な日照量に加えて、600~700メートル前後の標高が生み出す寒暖差を生かしてリンゴを中心に栽培する果樹の産地。他にも、稲作や野菜、キノコ、花きの栽培も盛んです。
<ショッピングメモ>
JAあづみ管内の生産者はJAを通じて東京や大阪などの市場に出荷します。JA農産物直売所「安曇野スイス村ハイジの里」(長野県安曇野市豊科南穂高5566の1)などでも販売しています。
甘酸っぱさが隠し味 安曇野林檎ナポリタン
長野県安曇野市には、ご当地グルメ「安曇野林檎ナポリタン」があります。2011年に市が取り組んだ事業がきっかけとなり、調理師会や大学、商工会などと連携して開発しました。条件は具やソースに同市産のリンゴを使うことだけで、提供店舗ごとに個性があります。14年には市内の飲食店5店で提供を開始。20年には市内外の14店まで拡大し、ご当地グルメとして、浸透しつつあります。
「安曇野林檎ナポリタン」
同市の「食事処(どころ)美里」では、トッピングに千切りにした「ピンクレディー」を使います。同店のオーナーシェフの北林智紀さん(43)は「『ピンクレディー』は、酸味とうま味がナポリタンと相性が良い上に、保存が利くので通年で商品を提供できる。千切りにした時に色が変化しにくいので見栄えもいい」と魅力を語ります。
ソースには酸味が特徴の「紅玉」のジャムも使います。北林さんは「『ピンクレディー』や『紅玉』のジャムがない時は、酸味や香りが強い品種のリンゴやジャムで代用が可能」とアドバイスします。
<食事処美里>
1977年創業。長野自動車道安曇野インターチェンジから車で15分ほど。営業時間は昼が午前11時半~午後2時、夜は午後5時半~9時半。水曜日が定休日。長野県安曇野市堀金烏川5059の10。(電)0263(72)6952。
<レシピ>
■材料(1人分)
ピンクレディー4分の1個、紅玉のジャム30グラム、乾麺のスパゲティ100~120グラム、ブナシメジ30グラム、タマネギ40グラム、ベーコン45グラム、ニンニク3分の1かけ、ケチャップ90ミリリットル、オリーブ油・モッツァレラチーズ・パセリ・塩・こしょう・ナツメグ・シナモン・各適量
■作り方
①強火で熱したフライパンに多めのオリーブ油とスライスしたニンニクと短冊切りにしたベーコンを入れて炒める
②フライパンに入れたベーコンの外側がくびれてきたら①とタマネギとブナシメジを加え炒める
③具に火が通ったらケチャップを入れて油とよく絡ませる。焦がさないように気を付けながらケチャップの色につやが出るまで炒めたら火を止めて、好みでナツメグとこしょうを入れる
④スパゲティを5%の塩分濃度の塩水(分量外)に常温で5時間漬けておく。それを1分間ゆでる
⑤③のソースと「紅玉」のジャム、④のスパゲティをあえて、皿に盛り付ける
⑥⑤に溶かしたモッツァレラチーズとシナモンを掛ける。その上から千切りにした「ピンクレディー」を盛り付けて、仕上げにパセリを振り掛ける
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https://www.youtube.com/watch?v=-atIIwSQoOY
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2020年12月12日

熊手型除草機(ホウキング)が自走式に 農家の発明を商品化 福岡・古野さんとオーレック
1時間の作業1分で
福岡県桂川町の農家、古野隆雄さん(69)が自作したアイデア農機具「ホウキング」の仕組みを応用した「株間除草セット」を、農機メーカーのオーレックが商品化した。同社の自走式小型管理機「ACE ROTOR(エースローター)」に取り付けて使う。野菜や乾田直播(ちょくは)の水稲など、幅広い品目で草取りの労力を減らせる。青ネギを栽培する100メートル畝での試用では、くわの手作業で1時間かかる除草が1、2分でできた。
古野さんの元祖「ホウキング」は、針金製の熊手を改造して作る。畝の上で引くと針金の先が雑草だけを根ごと抜く。雑草の根は作物よりも細く浅く張るため、土をひっかくだけで取り除ける。作物は針金の間をすり抜け、傷まない。新商品も原理は同じだ。熊手型で、1連で20センチ幅をカバーできる。
「ホウキング」は針金の数を増やすときは縦に取り付けないとバランスが取れないのに対し、株間除草セットは、横に針金の数を増やしても安定する。同社開発部が麦畑で実証したところ、最大で4条を一度に除草できた。除草する幅や針金が入り込む深さなどは苗や雑草の生育状況に応じて変えられる。
同社は、作物の根がしっかり張ってから使うのを勧める。発芽後1、2週間が目安だ。苗定植の場合も同様。再び雑草が生えるので7~10日置きに除草する。
古野さんは「複数の条での除草や速度を踏まえると、大規模の有機農家は特に導入する価値がある」と評価。ただ、「ホウキングに比べコストはかかる」とも指摘する。
「株間除草セット」の価格は、2連型が5万2800円、4連型が9万6800円。取り付ける作業機のエースローターは、2連用の「AR650」が24万2000円、4連用の「AR300」は20万6800円。農機具店で購入できる。
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https://www.youtube.com/watch?v=epTqVCtchYg
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2020年10月20日

農業Week開幕 スマート農機最前線 千葉
日本最大の農業・畜産資材の展示会「農業Week(ウイーク)」が14日、千葉市で始まった。同時開催の「国際ガーデンEXPO」などを含め、500社が出展。最新のスマート農業製品や資材をアピールした。新型コロナウイルス対策として、検温やマスク着用を徹底する他、オンライン参加にも対応した。リードエグジビションジャパン主催。16日まで。
会場では小型無人飛行機(ドローン)や自動運搬台車、草刈り機など、人手不足に対応して作業を省力・軽労化するロボット農機が目立った
散布や運搬 お任せ
ドローンメーカーのXAG JAPANは、農薬散布や収穫物の運搬を自動化する農業用無人車「R150」を発表した。バッテリー式で、フル充電で4時間の走行が可能。ドローンが使いにくい果樹園などに向く。
薬剤散布用のタンク容量は100リットル。二つの散布スプレーは上下に200度、左右に290度回転し、幅広く噴霧できる。
同社のドローンと同じ自動運転機能を採用した。位置情報を基にルートを設定して自動で走行する他、リモコン操作や作業者に追随する機能もある。傾斜15度まで対応する。バッテリーを15分でフル充電にする急速充電器も紹介。2021年内の発売を予定する。
自動水門や防虫照明
北菱電興は、来春発売予定の水田用自動水門「アクアポート」を紹介した。水田の水位調整に機能を絞り、3万円台に価格を抑えた。
二つの水位センサーを水田内に設置し、給水口の塩ビパイプに本体を接続。自動で給水と止水を切り替えて設定水位を維持する。単1電池4本で稼働するため、電源がない場所でも使える。
本体は高さ42センチ、幅23センチ、奥行き19センチで重さは5・5キロ。価格は3万8000円ほど。同社は「取り付けも簡単。水管理の省力化に役立ててほしい」と期待を込める。
左から、北菱電興が来春発売予定の「アクアポート」。スピリッツの「害虫くん退散1号」。シシクアドクライスの階段昇降台車(14日、千葉市で)
スピリッツは、ヤガ類などを寄せつかせない発光ダイオード(LED)照明「害虫くん退散1号」を出展した。畑や施設内に設置して害虫が活動しにくい波長の光で寄せ付けない仕組みだ。農薬散布回数の削減による省力化やコスト削減を期待する。
本体は長さ約1・2メートル、直径25ミリ。10メートルほど光が届く。同社によると、施設カーネーションや露地のネギやタマネギ、キャベツなど20戸以上の農家が利用しているという。消費電力は18ワットで、家庭用電源が必要。価格は1本4万5000円(税別)。
段差を越えられる台車や、荷物を載せたまま階段を昇降できる台車の出展も目立った。物流資材を扱うテイモーは、段差乗り越え台車「ロイターバウル」を実演。台車前方の二つの車輪が動いて最高4センチの段差をスムーズに越えられる仕組みになっている。同社は「ちょっとした段差で困っていたらぜひ試してほしい」と勧める。価格は5、6万円とし、別途送料が必要だ。
シシクアドクライスは、階段を昇降できるゴムクローラー台車「HTーCUー1」で、試作品のハンドストッパータイプを紹介した。ストッパーで階段からのずれ落ちを防止できる。硬い平地なら2輪台車として使える。車輪タイプもある。同社は「荷物を載せたまま安定して階段の上り下りができる」と強調する。価格は9万4000円(税別)。
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https://www.youtube.com/watch?v=B2LmMhdLqoU
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2020年10月15日

姿変えず1世紀 今も農の要
JAおおいたが運営する中津市の農産物直売所「オアシス耶馬洞門」は、1923年にできた米倉庫を改装した建物だ。右から書かれた「農業倉庫」の文字が、100年の歴史を今に伝え、赤れんがが道行く人の目を引き付ける。
かつて直売所の付近にはコンビニエンスストアやスーパーなど食材を販売する店舗がなかった。そこで合併前のJA中津下毛が、地域活性化と組合員の生活が便利になるように、遊休施設だった倉庫を直売所に改装。れんが造りの見た目はそのままに、2004年にオープンした。
店は観光地・耶馬渓にある「青の洞門」に近く、新型コロナウイルスの感染拡大前は、多くの観光客でにぎわった。今は特産の干しシイタケや栗、梨など秋の味覚を求め、地元客が訪れる。
オープン当時から働く米農家の楢原津由子さん(58)は「地元の人にとって昔からのなじみの建物。新鮮な野菜が並ぶので、観光で来た時には立ち寄ってほしい」と話す。
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https://www.youtube.com/watch?v=RaWq60cR9iU
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2020年10月14日