リンゴ、梨収穫はロボにお任せ 速度は人と同等で適期も見極め 農研機構など開発
2020年12月24日

2本のアームで果実を収穫するロボット(23日、東京都中央区で)
農研機構と立命館大学、デンソーは23日、リンゴや梨を自動で収穫するロボットを開発したと発表した。果実の認識、収穫、コンテナへの収納が自動でできる。収穫速度は人とほぼ同じ、果実1個当たり11秒。今後2年かけて実証試験を続け、実用化を目指す。
はさみを使わずに収穫できるリンゴ、梨、西洋梨が対象。樹形は着果面が平面になるV字樹形に対応する。
収穫ロボットは、自動走行車両がけん引する。人工知能を活用。アームの土台にある2個の高性能なカメラによって果実を認識し、着果位置を把握する。3本爪のハンドが果実をつかみ、回転させて収穫する。
リンゴと西洋梨は、カメラで認識した全ての果実を収穫する。高さ80~200センチに着果した果実に対応。梨は果頂部の色を認識し、収穫適期の果実だけを選んで取る。試験では夜間でも精度90%で熟度を判定できた。収穫する果実がなくなれば走行車両を動かし、自動で次の果実に移動する。
収穫後の果実は、走行車両の荷台にある、収納システムのベルトコンベヤーに優しく落とす。2本爪のハンドが運ばれた果実をつかみ、コンテナに置く。満杯になったら自動で荷台に移動。荷台には5段重ねのコンテナが4山置ける。
収穫スピードの1個当たり11秒は、1時間で300個を収穫できる速さだ。自動走行車両を使った薬剤散布や除草も含め年間の作業時間を50%削減できるという。
農研機構果樹茶業研究部門は「海外の吸引型の収穫機と異なり、果実に傷が付きにくく、収穫適期が見極められるのが特徴」と説明する。他の果樹への応用も検討する。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=z9pVKn_F7SQ
はさみを使わずに収穫できるリンゴ、梨、西洋梨が対象。樹形は着果面が平面になるV字樹形に対応する。
収穫ロボットは、自動走行車両がけん引する。人工知能を活用。アームの土台にある2個の高性能なカメラによって果実を認識し、着果位置を把握する。3本爪のハンドが果実をつかみ、回転させて収穫する。
リンゴと西洋梨は、カメラで認識した全ての果実を収穫する。高さ80~200センチに着果した果実に対応。梨は果頂部の色を認識し、収穫適期の果実だけを選んで取る。試験では夜間でも精度90%で熟度を判定できた。収穫する果実がなくなれば走行車両を動かし、自動で次の果実に移動する。
収穫後の果実は、走行車両の荷台にある、収納システムのベルトコンベヤーに優しく落とす。2本爪のハンドが運ばれた果実をつかみ、コンテナに置く。満杯になったら自動で荷台に移動。荷台には5段重ねのコンテナが4山置ける。
収穫スピードの1個当たり11秒は、1時間で300個を収穫できる速さだ。自動走行車両を使った薬剤散布や除草も含め年間の作業時間を50%削減できるという。
農研機構果樹茶業研究部門は「海外の吸引型の収穫機と異なり、果実に傷が付きにくく、収穫適期が見極められるのが特徴」と説明する。他の果樹への応用も検討する。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=z9pVKn_F7SQ
おすすめ記事
米国の大寒波で必需品不足 燃料・食 頼れるのは? 特別編集委員 山田優
米国南部が100年ぶりという寒波に襲われている。米メディアによると、被害の中心地テキサス州では、400万人以上が停電の中、猛烈な寒さや吹雪にさらされた。水道管は破裂。物流や交通は乱れ、小売り店頭から食料や水などの日用品が消えて混乱が続く。
農業被害も出ている。以前、取材で訪ねた同州ダラス近郊の「WAGYU」繁殖農家に連絡すると、牛が雪の中に閉じ込められ、出産直後の子牛が凍死の瀬戸際に追い込まれていた。火で雪を溶かし、飲み水を確保しつつ牧場の片隅までくまなく回り、大切な子牛の保護に追われていると話した。
同州に数カ月間住んでいたことがある。夏の激しい暑さの代わりに、冬の寒さはそれほどでもない。家畜は全て放牧され、舎飼いがなかったことが被害を拡大した。地球温暖化が記録破りの寒波をもたらしたと米メディアは解説する。
住民の命や財産が脅かされ、同州のアボット知事は先週の水曜日、発電燃料となる天然ガスの州外移送を停止し、地元発電所に優先して回すことを命じた。同州は天然ガスや石油が豊富。普段は地下資源ビジネスで潤っているものの、いざとなれば身内が最優先だ。
あおりを受けたのが国境線を挟んだメキシコだ。ただでさえ寒波で天然ガス輸入が混乱していたところに、テキサス州の輸出規制が追い打ちを掛けた。停電で主要産業の自動車工場の操業が止まるなど、メキシコ経済への打撃も広がった。
木曜日に記者会見したメキシコのロペスオブラドール大統領の口調は思ったより穏やかだった。
「寒さに震えるテキサス州の人たちの事情はよく分かる。私たちは報復なんかしない」と静かに語り掛けた。国民には「夜の明かりを減らしてほしい」などと冷静に節電を求めた。
左派に属する同大統領は、以前から地下資源産業の行き過ぎた規制緩和が国民生活を脅かすとして、長く続いた外資優先の政策転換を主張してきた。非常時に相手国が自分本位の行動をするのは想定の範囲だったのだろう。国民の不満をあおるのではなく、理詰めでエネルギー部門の安全保障の大切さを説明しようとする姿勢には好感が持てた。
関係の結び付きが強い隣国であっても、生活必需品不足が深刻になれば、「持てる国」は全く遠慮なく自分たちの事情を優先する。天然ガスであれ、ワクチンであれ、マスクであれ、そして食料であれ、本当に不足した時に頼りになるのは誰か。地球規模で相次ぐ気象災害や感染症の拡大が止まらない中、私たちはよく考える必要がある。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月23日

榎本牧場チーズ 山口県岩国市
山口県岩国市の榎本牧場のチーズ工房の自家製チーズ。新鮮な生乳と塩だけを原料に粘りと滑らかさにこだわり「モッツァレラ」、サクランボ大に成型して小分けした「チェリー」、裂けるチーズの「ストリング」の3種類がある。循環型酪農で飼養する牛の搾りたての牛乳から作るチーズは味わい深く、癖がないので食べやすい。お勧めの食べ方は、「モッツァレラ」にトマトを合わせてオリーブオイルを掛けたカプレーゼ。
100グラム入り540円(チェリーは572円)。JA山口県の直売所FAM’Sキッチンいわくにで販売する。問い合わせは榎本牧場、(電)0827(74)0955。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月25日

[活写] 丹精5色 敷き詰めて
福井市美山地区で、地元産の野菜を使ったカラフルな「かき餅」の乾燥作業が進んでいる。
かき餅は北陸地方で農家などが冬に作る保存食。薄く切った餅を寒風で乾燥させて作る。これを、地元産の野菜でアレンジしたのが、同地区の主婦7人でつくる加工グループ「美山そば工房木ごころ」だ。使う野菜は全て地元産で、5種の味を開発。赤色は地域の伝統野菜「河内赤かぶら」の粉末を練り込んだ。緑色はヨモギで黄色はカボチャ、ゴマ、トウガラシもある。
通常、ひもでつるして干すかき餅を、同グループは、乾燥時の割れや曲がりを防ぐため、乾燥台に並べて干す。
代表の田中康子さん(74)は「昨年はイベントの中止が相次ぎ販売に苦戦した。今年はコロナが落ち着いて多くの人に食べてほしい」と話している。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月21日
国連食料サミット 国民合意の日本提案に
国連食料システムサミットが9月、米国ニューヨークで開かれる。新型コロナウイルス禍で脆弱(ぜいじゃく)性を露呈した食料の生産供給網の再構築や、気候変動対応などがメインテーマになる。今後の貿易ルールに影響を及ぼすことが考えられる。日本は国民合意の提案を策定し、積極的に関与すべきだ。
同サミットは持続可能な開発目標(SDGs)を2030年までに達成するための「行動の10年」の一環。グテレス国連事務総長が主催する。各国の首脳や閣僚、有識者、科学者、市民代表らが参加する。
SDGsには17の目標があるが、「貧国をなくす」と「飢餓の撲滅」はコロナ禍で達成が危ぶまれる状況だ。飢餓人口は増加に転じた。国連は同サミットを「全てのSDGsを達成するための世界の旅の分岐点になる」と協力を呼び掛ける。
主な課題は①量・質両面からの食料安全保障②食品ロスの削減など食料消費の持続可能性③環境に調和した農業生産の推進④農村地域の収入確保⑤食料供給システムの強靭(きょうじん)化──だ。それぞれでゲームチェンジャー(状況を変える突破口)となる提案を各国に求めている。日本は現在、農水省が「みどりの食料システム戦略」の取りまとめ作業を進める。夏にローマで開かれる準備会合に向け、5月の策定を目指す。
多岐にわたる課題の中で、特に注視すべきなのは環境対応だ。地球温暖化の国際ルール「パリ協定」と連動する形で、農業・食料分野での積極的な貢献を意識した議論になりそうだ。米国の同協定復帰や日米の温室効果ガス「2050年実質ゼロ」表明により弾みがつき、その波は農業にも及ぶとみるべきだ。世界の同ガス排出量の4分の1を農林業関連が占めている。
気候変動対応で世界をリードする欧州連合(EU)の動きが出色だ。昨年5月、「農場から食卓へ(Farm to Fork)」と題した新戦略を打ち出した。肥料農薬の使用抑制や畜産飼料の脱輸入依存、有機農業の拡大などで数値目標を設定、一段と環境重視型農政にかじを切った。「地球の健康を守りながら食の安全を保障する新しいシステム」(欧州保健衛生・食の安全総局)とし、市民の支持を得られると自信を見せる。
EUはこうした規律を2国間貿易協定などに適用する姿勢だ。これに対し米国は「農業生産を低下させ小売価格の上昇をもたらす」(農務省)と批判、さや当てが始まっている。日本も「諸外国が環境や健康に関する戦略を策定し、国際ルールに反映させる動きが見られる」(農水省)と注視。みどりの食料システム戦略づくりを急ぐ。
その際重要なのは、国民の関心の高まりだ。政府は農業者、消費者、企業、市民社会を巻き込んで、望ましい食料生産流通の将来像について合意形成に尽くすべきだ。それでこそ日本の提案に「魂」が入るだろう。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月23日

コロナ禍で需要減 豚レバーで薫製 消費拡大へ 家庭向け人気 千葉県食肉公社
新型コロナウイルス禍による需要減少で廃棄処分されていた豚レバーが、薫製加工をした商品として人気を集めている。食肉出荷・加工を手掛ける千葉県食肉公社(千葉県旭市)が、独自の熟成法と薫製で味を改良した「豚レバースモーク」を道の駅などで販売。緊急事態宣言の解除を見据え飲食店ではメニュー開発も進んでおり、地域を挙げて消費拡大に向けて動き始めた。
豚レバーは串焼きやレバニラ炒めの材料として、居酒屋やレストランを中心とした外食産業に需要があった。しかしコロナ禍で外食需要が低迷。同公社では最大約9割が廃棄処分になったという。
「一般家庭向けに豚レバーを使えないか」。同公社の若松重伸取締役営業部長らは、昨年7月ごろから新商品の開発に着手。独自の調味液に漬けて零下2~0度前後で氷温熟成し、桜チップでいぶして香り付けをした「豚レバースモーク」(約100グラム330円)を作った。若松部長は「ねっとりとした食感を味わってもらいたかった。豚レバースモークを通じて消費を拡大したい」と期待する。
千葉県は豚の飼養頭数が全国5位の60万3800頭(2019年2月1日時点)と豚は身近な存在だが、若松部長によると「豚レバーのスモークはなじみがない」という。昨年11月、千葉市の商業施設でテスト販売をしたところ、見込みの20個を大幅に上回る約100個を売り上げた。
今年1月に旭市の道の駅季楽里あさひや旭食肉協同組合本店の他、県内の道の駅や直売所で販売を始めたところ、評判を聞き付けた客が相次ぎ、売り切れの店も出た。季楽里あさひの江本伸二駅長は「これまで聞いたことのない商品だったが、いまではスモーク目当てで来店する人もいるほどの人気だ」と驚く。
メニュー開発 飲食店も意欲
市内では新たな豚レバーメニューの開発も進む。ハンバーグとケーキの専門店「キッチンツナグ」は、ハンバーガーに豚レバースモークを加えるなどメニュー開発に余念がない。2月からメニューで目立つように「旭市豚さんのレバーパテ」「スモークレバー」と記載したところ、店内や持ち帰りで注文する客が増えたという。豊田維代表は「コロナ禍で来店客は減っているが、豚レバーのメニューは反応が良い。今後も新たなメニューを出して千葉から豚レバーを広めたい」と意気込む。
同公社では学校給食への提供を目指し、ソーセージなども開発中だ。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月27日
動画ニュースの新着記事

ニンジン葉切断機開発 1分で最大130本処理 千葉・八街洋らん園
千葉県八街市でニンジンなどを栽培する八街洋らん園は、ニンジンの葉の切断機「CHC─1」を開発した。ベルトコンベヤーにニンジンを載せるだけで自動で葉を切れる装置で、調製作業の省力化を見込む。同社の調べで、人手だけの作業に比べ約6倍速く調製できるという。霜や寒さに当たって葉が枯れたニンジンの調製作業を大幅に省力化できると期待する。
開発した切断機の大きさは、高さ1・1メートル、幅1・3メートル、奥行き60センチ。ベルトコンベヤーで運ばれたニンジンをローラーで押さえて、カッターで切る仕組みだ。
同社によると、1分間に最大130本を処理できるという。100ボルトの電源電圧で稼働する。
地域では、11月~翌年3月の5カ月間でニンジンを出荷する。葉を引っ張って地面から抜く専用のニンジン収穫機を使えば、葉が自動で切り取られるが、1月以降は霜に当たって葉が枯れ、機械が使えない。そのため手作業で枯れた葉を切る必要がある。
2020年に特許を取得した。葉だけでなく、ニンジンの先端から伸びた細い根も切れるよう改良を進める。ニンジン1ヘクタールを栽培する同社の井啓代表は「調製作業は時間がかかり、精神的に負担が大きい。省力化が強く求められている」と指摘する。
価格は38万円(税別)。問い合わせは八街洋らん園、(電)043(445)2214。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=3x6lFYTYPto
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月23日

生育測定スマホで完結 データ蓄積管理に活用 IT企業アプリ開発
名古屋市のIT企業「ITAGE(アイテージ)」は、トマトやナス、キュウリの茎径や葉幅などの生育データをスマートフォンのカメラで測定するアプリを開発した。データをインターネット上に保存して生育の推移を把握でき、栽培管理などに生かせるとみる。2021年度の実用化を目指す。
開発したアプリ「生育ナビ」は、長さ15センチほどの測定マーカー板を測定する箇所にかざして、スマホで撮影する。定規や筆記具などを持ち歩かずに、省力的に測定と記録、グラフ化ができる。現在は試用版で、評価モニターを募っている。
測定できるのは茎径や葉幅の他、トマトの場合は頂点開花位置、茎伸長、着果数、葉色など。スマホで撮影した画像に画面上で簡単な操作をすれば、長さを測れる。葉数や段数は手入力できる。
測定データはアプリ上で確認できる。前年との比較も可能だ。データは共有でき、生産者部会やグループで使えば、自身と他の農家の生育データを比べられる。施設トマトの栽培試験で活用する愛知県農業総合試験場は「データを基にした普及・営農指導につなげられる可能性がある。収量予測に必要なデータとしても生かせるだろう」とみる。
同社によると、県内だけでなく関東や九州の産地で現在60人ほどが試用し、測定精度や使いやすさの向上を進めている。同社は「生産者同士が生育データの数値を参考にしながら、栽培の改善策などを話し合えるようになる」と見込む。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=ytsQSjnr0yg
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月08日

[あんぐる] 今こそ冬の手仕事 豊穣祈る北欧の装飾「ヒンメリ」(山梨県北杜市)
長い冬が続く北欧フィンランドに伝わる、室内で光をめでる麦わらの装飾「ヒンメリ」が、近年日本でも注目を集めている。農閑期にヒンメリ作家として活動する山梨県北杜市の農家、佐藤享子さん(49)は、新型コロナウイルス禍でのおうち時間を楽しめるツールとして魅力を発信している。
ヒンメリという名前は、「天」を意味する単語に由来する。冬に夜が長いフィンランドでは、昔から冬至を「太陽が生まれる日」とし、麦わらでヒンメリを作って冬至から夏まで食卓の上につるして豊穣(ほうじょう)を祈った。
光が当たるとキラキラと反射し、室内に幾何学模様の影を描くヒンメリは、「麦わらのシャンデリア」とも呼ばれる。
12本の麦わらを組み合わせた正八面体が基本の形で、麦わらと糸さえあれば誰でも手軽に作れるのが特徴だ。近年日本でも子どもの知育教材やクリスマスの装飾として人気が高まっている。
ヒンメリ作家として活動する佐藤さん。古民家を改装した自宅のアトリエには、たくさんの作品が飾られている
佐藤さんは2010年に神奈川県から家族で移住し新規就農した。耕作放棄地だった棚田など約70アールを再生し、夏野菜を栽培している。16年に始めた小麦の出来が良く、麦わらを余すところなく使う方法を探し、ヒンメリと出合った。現在は棚田の約1アールで小麦を育て、わらを傷めないよう収穫などは手作業にこだわる。
麦わらは乾燥後に表皮をむき、節ごとにカット。脱色などせず、自然な風合いを生かして制作している。この麦わらの穴に糸を通して結び、立体に仕上げる。
以前は地元のマルシェなどでヒンメリのワークショップを開いていたが、新型コロナの感染拡大で全て中止に。インターネット上に活動の場を移し、動画での制作指導や、必要な材料をそろえた制作キットの販売を通じて魅力を全国に発信している。
佐藤さんは「フィンランドでは長く厳しい冬を楽しく過ごすために作られるヒンメリ。コロナ禍でおうち時間が増えた今こそぴったり」と話している。(釜江紗英)
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=fm3X3Gy242U
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月08日

[活写] “最辛”の熊対策
青森県中泊町で木炭の生産を手掛けるツリーワークは、インド原産の激辛トウガラシ「ブート・ジョロキア」と木酢液を使った熊の忌避剤を開発した。熊の出没が多い2020年は、全国から問い合わせが相次ぎ、受注が前年の10倍に増えたという。
商品名は「熊にげる」。ジョロキアから抽出した辛味成分と木酢液を混ぜた黒い液体だ。臭いが漏れ出るよう上部に穴を開けたペットボトルに入れ、畑の近くにつるして使う。
炭・木酢液を研究する谷田貝光克東京大学名誉教授の助言を受け16年に開発。青森や秋田、長野県などのトウモロコシ畑やリンゴ園で試験し、熊や猿に対する効果を確認した。
ジョロキアの施設栽培にも取り組み、製品のコストダウンに成功した。現在はハウス2棟で、製品2トン分の原料を収穫する。価格は1リットル入りで1万円。1ヘクタールの畑で約1年間使える量という。
同社代表の佐々木嘉幸さん(82)は「注文が増えている。原料が足りないので、栽培に協力してくれるよう農家に呼び掛けたい」と話す。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=1MJ-IJGQgDc
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月17日

原動機1台で内張り2層を同時展張 茨城・施設ピーマン栽培の須之内さん
茨城県神栖市でピーマンを施設栽培する須之内康至さん(66)は、内張りカーテン2枚をビニール巻き取り用の原動機1台で張る方法を取り入れ、省力化につなげている。2枚のカーテンの端を固定し、同時に展張する仕組みだ。
カーテンの端固定
須之内さんは、栽培面積95アールのうち、促成作型の30アールで10年ほど前から取り入れている。カーテンを展張する仕組みは、親戚に改良してもらったものだ。
ワイヤ巻き上げ式の内張りカーテンを、3重に被覆する。屋根側の2層のビニールの端を、直径約1センチの鉄パイプにパッカーで固定。下層のビニールは、たるむほどの余裕をもたせてある。
張ったカーテンを確実にしまうために、ビニールを固定した鉄パイプと、下層のビニールを支えるワイヤをひもでつないだ。
カーテンの操作は手で電動スイッチを押すタイプ。午前8、9時に下層のカーテンから開け、午後4時ごろにカーテンを閉める。
「カーテンの開閉は毎日の作業。電動だが操作が一つ減るだけでも、省力的に感じる」と須之内さんは実感する。
ビニールを巻き上げるワイヤが伸びて長くなり、巻き上げが不十分になることがあるため注意が必要という。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=R_dqGEomQ4w
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年01月12日

リンゴ、梨収穫はロボにお任せ 速度は人と同等で適期も見極め 農研機構など開発
農研機構と立命館大学、デンソーは23日、リンゴや梨を自動で収穫するロボットを開発したと発表した。果実の認識、収穫、コンテナへの収納が自動でできる。収穫速度は人とほぼ同じ、果実1個当たり11秒。今後2年かけて実証試験を続け、実用化を目指す。
はさみを使わずに収穫できるリンゴ、梨、西洋梨が対象。樹形は着果面が平面になるV字樹形に対応する。
収穫ロボットは、自動走行車両がけん引する。人工知能を活用。アームの土台にある2個の高性能なカメラによって果実を認識し、着果位置を把握する。3本爪のハンドが果実をつかみ、回転させて収穫する。
リンゴと西洋梨は、カメラで認識した全ての果実を収穫する。高さ80~200センチに着果した果実に対応。梨は果頂部の色を認識し、収穫適期の果実だけを選んで取る。試験では夜間でも精度90%で熟度を判定できた。収穫する果実がなくなれば走行車両を動かし、自動で次の果実に移動する。
収穫後の果実は、走行車両の荷台にある、収納システムのベルトコンベヤーに優しく落とす。2本爪のハンドが運ばれた果実をつかみ、コンテナに置く。満杯になったら自動で荷台に移動。荷台には5段重ねのコンテナが4山置ける。
収穫スピードの1個当たり11秒は、1時間で300個を収穫できる速さだ。自動走行車両を使った薬剤散布や除草も含め年間の作業時間を50%削減できるという。
農研機構果樹茶業研究部門は「海外の吸引型の収穫機と異なり、果実に傷が付きにくく、収穫適期が見極められるのが特徴」と説明する。他の果樹への応用も検討する。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=z9pVKn_F7SQ
日本農業新聞の購読はこちら>>
2020年12月24日

[旬菜物語] リンゴ「ピンクレディー」 長野・JAあづみ
小ぶりでも輝く魅力
長野県は全国2位のリンゴ生産量を誇ります。県内有数の産地のJAあづみ管内で栽培される「ピンクレディー」は小ぶりで甘酸っぱさが特徴の希少なリンゴです。「ピンクレディー」の特徴と地域のご当地グルメ「安曇野林檎(りんご)ナポリタン」を紹介します。
色鮮やか 貯蔵に強み
リンゴ「ピンクレディー」は商標名で、正式な品種名は「クリプスピンク」です。オーストラリアの試験場で誕生したリンゴで、世界各国で栽培されています。栽培の権利はオーストラリアの組織が管理しており、苗木生産と商標使用に対して使用料を支払う必要があります。
日本で生産する場合は、農家がオーストラリアの組織と契約し、日本の「ピンクレディー」の生産者組織、日本ピンクレディー協会に所属することが必要です。
同協会は2006年に発足しました。当初は所属する生産農家は長野県内の9人でしたが、20年3月時点では県内外の44人まで増えました。19年度は同協会で年間130トンを生産しました。長野県のJAあづみ管内では7人の農家が生産。同協会で生産する「ピンクレディー」の半分以上を占め、生産量は全国トップです。
「ピンクレディー」の果皮はピンク色を帯びた鮮やかな赤色をしています。1個180グラム前後の小ぶりなリンゴで、強い酸味がありながら甘さもある濃厚な味で、食べるとしゃきっとした歯応えがあります。生食はもちろん、加熱しても煮崩れしにくい特徴を生かして、アップルパイやタルトなどの調理にも最適です。
収穫時期はJA管内で主力のサンふじとほぼ同じ、11月中・下旬です。収穫した「ピンクレディー」は1月末まで貯蔵することで強い酸味が和らぎ、香り高い風味が楽しめます。サンふじの出荷時期を避けることができるのも利点です。
葉摘み作業念入りに
同協会の会長を務める、安曇野市のリンゴ農家、中村隆宣さん(62)は「ピンクレディー」の貯蔵性の高さを「冷蔵庫で保存すれば収穫から1年ほどは食感や味を維持できる」と紹介します。
栽培時は「ピンクレディー」独特の鮮やかな色味が付くように葉摘み作業を念入りに行います。また、料理に使いやすいように、他の品種よりも摘果を少なくすることで小ぶりなサイズに仕上げます。
中村さんは自身の農園では「ピンクレディー」のドライフルーツやジャム、ジュースの販売などの6次産業化に取り組む他、「ピンクレディー」をPRする曲を作詞・作曲するなどして認知度の向上にも力を入れています。
中村さんは「日本は欧米に比べてリンゴの消費量が少ない。消費者が『ピンクレディー』のような新しいリンゴに出合うことで、リンゴ全体の消費が拡大してくれたらうれしい」と笑顔で話します。
<JAあづみ>
安曇野市と松本市の一部を管内に持ちます。降水量も少なく、豊富な日照量に加えて、600~700メートル前後の標高が生み出す寒暖差を生かしてリンゴを中心に栽培する果樹の産地。他にも、稲作や野菜、キノコ、花きの栽培も盛んです。
<ショッピングメモ>
JAあづみ管内の生産者はJAを通じて東京や大阪などの市場に出荷します。JA農産物直売所「安曇野スイス村ハイジの里」(長野県安曇野市豊科南穂高5566の1)などでも販売しています。
甘酸っぱさが隠し味 安曇野林檎ナポリタン
長野県安曇野市には、ご当地グルメ「安曇野林檎ナポリタン」があります。2011年に市が取り組んだ事業がきっかけとなり、調理師会や大学、商工会などと連携して開発しました。条件は具やソースに同市産のリンゴを使うことだけで、提供店舗ごとに個性があります。14年には市内の飲食店5店で提供を開始。20年には市内外の14店まで拡大し、ご当地グルメとして、浸透しつつあります。
「安曇野林檎ナポリタン」
同市の「食事処(どころ)美里」では、トッピングに千切りにした「ピンクレディー」を使います。同店のオーナーシェフの北林智紀さん(43)は「『ピンクレディー』は、酸味とうま味がナポリタンと相性が良い上に、保存が利くので通年で商品を提供できる。千切りにした時に色が変化しにくいので見栄えもいい」と魅力を語ります。
ソースには酸味が特徴の「紅玉」のジャムも使います。北林さんは「『ピンクレディー』や『紅玉』のジャムがない時は、酸味や香りが強い品種のリンゴやジャムで代用が可能」とアドバイスします。
<食事処美里>
1977年創業。長野自動車道安曇野インターチェンジから車で15分ほど。営業時間は昼が午前11時半~午後2時、夜は午後5時半~9時半。水曜日が定休日。長野県安曇野市堀金烏川5059の10。(電)0263(72)6952。
<レシピ>
■材料(1人分)
ピンクレディー4分の1個、紅玉のジャム30グラム、乾麺のスパゲティ100~120グラム、ブナシメジ30グラム、タマネギ40グラム、ベーコン45グラム、ニンニク3分の1かけ、ケチャップ90ミリリットル、オリーブ油・モッツァレラチーズ・パセリ・塩・こしょう・ナツメグ・シナモン・各適量
■作り方
①強火で熱したフライパンに多めのオリーブ油とスライスしたニンニクと短冊切りにしたベーコンを入れて炒める
②フライパンに入れたベーコンの外側がくびれてきたら①とタマネギとブナシメジを加え炒める
③具に火が通ったらケチャップを入れて油とよく絡ませる。焦がさないように気を付けながらケチャップの色につやが出るまで炒めたら火を止めて、好みでナツメグとこしょうを入れる
④スパゲティを5%の塩分濃度の塩水(分量外)に常温で5時間漬けておく。それを1分間ゆでる
⑤③のソースと「紅玉」のジャム、④のスパゲティをあえて、皿に盛り付ける
⑥⑤に溶かしたモッツァレラチーズとシナモンを掛ける。その上から千切りにした「ピンクレディー」を盛り付けて、仕上げにパセリを振り掛ける
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=-atIIwSQoOY
日本農業新聞の購読はこちら>>
2020年12月12日

熊手型除草機(ホウキング)が自走式に 農家の発明を商品化 福岡・古野さんとオーレック
1時間の作業1分で
福岡県桂川町の農家、古野隆雄さん(69)が自作したアイデア農機具「ホウキング」の仕組みを応用した「株間除草セット」を、農機メーカーのオーレックが商品化した。同社の自走式小型管理機「ACE ROTOR(エースローター)」に取り付けて使う。野菜や乾田直播(ちょくは)の水稲など、幅広い品目で草取りの労力を減らせる。青ネギを栽培する100メートル畝での試用では、くわの手作業で1時間かかる除草が1、2分でできた。
古野さんの元祖「ホウキング」は、針金製の熊手を改造して作る。畝の上で引くと針金の先が雑草だけを根ごと抜く。雑草の根は作物よりも細く浅く張るため、土をひっかくだけで取り除ける。作物は針金の間をすり抜け、傷まない。新商品も原理は同じだ。熊手型で、1連で20センチ幅をカバーできる。
「ホウキング」は針金の数を増やすときは縦に取り付けないとバランスが取れないのに対し、株間除草セットは、横に針金の数を増やしても安定する。同社開発部が麦畑で実証したところ、最大で4条を一度に除草できた。除草する幅や針金が入り込む深さなどは苗や雑草の生育状況に応じて変えられる。
同社は、作物の根がしっかり張ってから使うのを勧める。発芽後1、2週間が目安だ。苗定植の場合も同様。再び雑草が生えるので7~10日置きに除草する。
古野さんは「複数の条での除草や速度を踏まえると、大規模の有機農家は特に導入する価値がある」と評価。ただ、「ホウキングに比べコストはかかる」とも指摘する。
「株間除草セット」の価格は、2連型が5万2800円、4連型が9万6800円。取り付ける作業機のエースローターは、2連用の「AR650」が24万2000円、4連用の「AR300」は20万6800円。農機具店で購入できる。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=epTqVCtchYg
日本農業新聞の購読はこちら>>
2020年10月20日

農業Week開幕 スマート農機最前線 千葉
日本最大の農業・畜産資材の展示会「農業Week(ウイーク)」が14日、千葉市で始まった。同時開催の「国際ガーデンEXPO」などを含め、500社が出展。最新のスマート農業製品や資材をアピールした。新型コロナウイルス対策として、検温やマスク着用を徹底する他、オンライン参加にも対応した。リードエグジビションジャパン主催。16日まで。
会場では小型無人飛行機(ドローン)や自動運搬台車、草刈り機など、人手不足に対応して作業を省力・軽労化するロボット農機が目立った
散布や運搬 お任せ
ドローンメーカーのXAG JAPANは、農薬散布や収穫物の運搬を自動化する農業用無人車「R150」を発表した。バッテリー式で、フル充電で4時間の走行が可能。ドローンが使いにくい果樹園などに向く。
薬剤散布用のタンク容量は100リットル。二つの散布スプレーは上下に200度、左右に290度回転し、幅広く噴霧できる。
同社のドローンと同じ自動運転機能を採用した。位置情報を基にルートを設定して自動で走行する他、リモコン操作や作業者に追随する機能もある。傾斜15度まで対応する。バッテリーを15分でフル充電にする急速充電器も紹介。2021年内の発売を予定する。
自動水門や防虫照明
北菱電興は、来春発売予定の水田用自動水門「アクアポート」を紹介した。水田の水位調整に機能を絞り、3万円台に価格を抑えた。
二つの水位センサーを水田内に設置し、給水口の塩ビパイプに本体を接続。自動で給水と止水を切り替えて設定水位を維持する。単1電池4本で稼働するため、電源がない場所でも使える。
本体は高さ42センチ、幅23センチ、奥行き19センチで重さは5・5キロ。価格は3万8000円ほど。同社は「取り付けも簡単。水管理の省力化に役立ててほしい」と期待を込める。
左から、北菱電興が来春発売予定の「アクアポート」。スピリッツの「害虫くん退散1号」。シシクアドクライスの階段昇降台車(14日、千葉市で)
スピリッツは、ヤガ類などを寄せつかせない発光ダイオード(LED)照明「害虫くん退散1号」を出展した。畑や施設内に設置して害虫が活動しにくい波長の光で寄せ付けない仕組みだ。農薬散布回数の削減による省力化やコスト削減を期待する。
本体は長さ約1・2メートル、直径25ミリ。10メートルほど光が届く。同社によると、施設カーネーションや露地のネギやタマネギ、キャベツなど20戸以上の農家が利用しているという。消費電力は18ワットで、家庭用電源が必要。価格は1本4万5000円(税別)。
段差を越えられる台車や、荷物を載せたまま階段を昇降できる台車の出展も目立った。物流資材を扱うテイモーは、段差乗り越え台車「ロイターバウル」を実演。台車前方の二つの車輪が動いて最高4センチの段差をスムーズに越えられる仕組みになっている。同社は「ちょっとした段差で困っていたらぜひ試してほしい」と勧める。価格は5、6万円とし、別途送料が必要だ。
シシクアドクライスは、階段を昇降できるゴムクローラー台車「HTーCUー1」で、試作品のハンドストッパータイプを紹介した。ストッパーで階段からのずれ落ちを防止できる。硬い平地なら2輪台車として使える。車輪タイプもある。同社は「荷物を載せたまま安定して階段の上り下りができる」と強調する。価格は9万4000円(税別)。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=B2LmMhdLqoU
日本農業新聞の購読はこちら>>
2020年10月15日

姿変えず1世紀 今も農の要
JAおおいたが運営する中津市の農産物直売所「オアシス耶馬洞門」は、1923年にできた米倉庫を改装した建物だ。右から書かれた「農業倉庫」の文字が、100年の歴史を今に伝え、赤れんがが道行く人の目を引き付ける。
かつて直売所の付近にはコンビニエンスストアやスーパーなど食材を販売する店舗がなかった。そこで合併前のJA中津下毛が、地域活性化と組合員の生活が便利になるように、遊休施設だった倉庫を直売所に改装。れんが造りの見た目はそのままに、2004年にオープンした。
店は観光地・耶馬渓にある「青の洞門」に近く、新型コロナウイルスの感染拡大前は、多くの観光客でにぎわった。今は特産の干しシイタケや栗、梨など秋の味覚を求め、地元客が訪れる。
オープン当時から働く米農家の楢原津由子さん(58)は「地元の人にとって昔からのなじみの建物。新鮮な野菜が並ぶので、観光で来た時には立ち寄ってほしい」と話す。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=RaWq60cR9iU
日本農業新聞の購読はこちら>>
2020年10月14日