[新型コロナ] 緊急事態再宣言 1都3県、来月7日まで 飲食店午後8時まで一斉休校は要請せず
2021年01月08日

政府は7日、新型コロナウイルス感染症対策本部を首相官邸で開き、東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県を対象に、コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令を決めた。期間は8日から2月7日までで、感染リスクが高いとされる飲食店などへの営業時間の短縮要請が柱。小中高校の一斉休校は求めないが、外食やイベント需要の減少などで農産物の価格に影響が出る可能性がある。
宣言発令は昨年4月以来2回目。首都圏の感染拡大が止まらず、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)していることを踏まえた。菅義偉首相は対策本部後の記者会見で「何としても感染拡大を食い止め、減少傾向に転じさせるため、緊急事態宣言を決断した」と述べた。
コロナ対策の新たな基本的対処方針では、飲食店に対し、営業時間を午後8時までに短縮し、酒類の提供は午前11時から午後7時までとするよう要請。応じない場合は店名を公表する一方、応じた場合の協力金の上限は、現行の1日当たり4万円から6万円に引き上げる。宅配や持ち帰りは対象外とした。
大規模イベントの開催は「収容人数の50%」を上限に「最大5000人」とする。午後8時以降の不要不急の外出自粛も求める。出勤者数の7割削減を目指し、テレワークなどの推進を事業者らに働き掛ける。
宣言解除は、感染状況が4段階中2番目に深刻な「ステージ3」相当に下がったかなどを踏まえ「総合的に判断」するとした。西村康稔経済再生担当相は同日の衆院議院運営委員会で、東京に関しては、新規感染者数が1日当たり500人を下回ることなどが目安との認識を示した。
政府は対策本部に先立ち、専門家による基本的対処方針等諮問委員会を開き、西村氏が宣言の内容などを説明し、了承された。その後、西村氏は衆参両院の議院運営委員会で発令方針を事前報告した。
政府は昨年4月7日、東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、16日には全国に拡大した。5月25日に全面解除したが、農畜産物では、飲食店やイベントの需要の激減で、牛肉や果実、花などの価格が下落した。
政府は、コロナ対策を強化するため、特措法の改正案を18日召集の通常国会に提出する方針だ。
緊急事態宣言が再発令されることを受け、流通業界や産地では農畜産物取引への影響が懸念されている。飲食店向けや高級商材はさらに苦戦する様相。一方、家庭消費へのシフトが進んでおり、対象地域が限られることから、前回宣言時ほどの打撃にはならないとの声もある。品目、売り先で影響の大きさが異なる展開になりそうだ。
米は、春先のようなスーパーでの買いだめは現状、起きていない。しかし、飲食店の営業縮小で業務用販売は厳しさが増す見通しで、JA関係者は「今も前年水準に戻り切れていない。在宅勤務が増え、米を多く使う飲食店の昼食需要までなくなる」と警戒する。
青果物は、飲食店の時短営業で仕入れに影響が出てきた。
東京都の仲卸業者は「7日から注文のキャンセルが出た。多くの店が休んだ前回の宣言時ほどでなくても、1件当たりの注文量はがくっと減る」と懸念する。果実は、大手百貨店が営業縮小する方針で、メロンなど高級商材を中心に販売が厳しくなるとの見方で出ている。
鶏卵は加工・業務需要が全体の5割を占めるため、飲食店の時短営業の拡大による販売環境の悪化が予想される。
切り花は、葬儀や婚礼の縮小、飲食店の休業や成人式などイベントの中止で業務需要が冷え込むため、「相場は弱もちあいの展開が避けられない」(花き卸)見通し。長引けばバレンタインデーの商戦に影響するとの懸念もある。
一方、牛乳・乳製品は家庭用牛乳類の販売好調が続く。緊急事態宣言再発令で業務需要はさらに減少する恐れがある。だだ、「前回のような全国一斉休校がなければ加工処理量の大幅な増加はない」(業界関係者)との観測も広がる。
食肉は各畜種ともに内食需要の好調が継続しそうだ。豚肉、鶏肉は前回の緊急事態宣言以降、価格が前年を上回って推移しており「国産は在庫も少なく、引き続きスーパー向け中心に引き合いが強まりそう」(市場関係者)。
和牛は外食から内食へのシフトが進んでおり、「外食向けの上位等級は鈍化するものの、3、4等級は前回のような大きな落ち込みはない」(都内の食肉卸)との見通しだ。
宣言発令は昨年4月以来2回目。首都圏の感染拡大が止まらず、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)していることを踏まえた。菅義偉首相は対策本部後の記者会見で「何としても感染拡大を食い止め、減少傾向に転じさせるため、緊急事態宣言を決断した」と述べた。
コロナ対策の新たな基本的対処方針では、飲食店に対し、営業時間を午後8時までに短縮し、酒類の提供は午前11時から午後7時までとするよう要請。応じない場合は店名を公表する一方、応じた場合の協力金の上限は、現行の1日当たり4万円から6万円に引き上げる。宅配や持ち帰りは対象外とした。
大規模イベントの開催は「収容人数の50%」を上限に「最大5000人」とする。午後8時以降の不要不急の外出自粛も求める。出勤者数の7割削減を目指し、テレワークなどの推進を事業者らに働き掛ける。
宣言解除は、感染状況が4段階中2番目に深刻な「ステージ3」相当に下がったかなどを踏まえ「総合的に判断」するとした。西村康稔経済再生担当相は同日の衆院議院運営委員会で、東京に関しては、新規感染者数が1日当たり500人を下回ることなどが目安との認識を示した。
政府は対策本部に先立ち、専門家による基本的対処方針等諮問委員会を開き、西村氏が宣言の内容などを説明し、了承された。その後、西村氏は衆参両院の議院運営委員会で発令方針を事前報告した。
政府は昨年4月7日、東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、16日には全国に拡大した。5月25日に全面解除したが、農畜産物では、飲食店やイベントの需要の激減で、牛肉や果実、花などの価格が下落した。
政府は、コロナ対策を強化するため、特措法の改正案を18日召集の通常国会に提出する方針だ。
業務需要減加速の恐れ
緊急事態宣言が再発令されることを受け、流通業界や産地では農畜産物取引への影響が懸念されている。飲食店向けや高級商材はさらに苦戦する様相。一方、家庭消費へのシフトが進んでおり、対象地域が限られることから、前回宣言時ほどの打撃にはならないとの声もある。品目、売り先で影響の大きさが異なる展開になりそうだ。
米は、春先のようなスーパーでの買いだめは現状、起きていない。しかし、飲食店の営業縮小で業務用販売は厳しさが増す見通しで、JA関係者は「今も前年水準に戻り切れていない。在宅勤務が増え、米を多く使う飲食店の昼食需要までなくなる」と警戒する。
青果物は、飲食店の時短営業で仕入れに影響が出てきた。
東京都の仲卸業者は「7日から注文のキャンセルが出た。多くの店が休んだ前回の宣言時ほどでなくても、1件当たりの注文量はがくっと減る」と懸念する。果実は、大手百貨店が営業縮小する方針で、メロンなど高級商材を中心に販売が厳しくなるとの見方で出ている。
鶏卵は加工・業務需要が全体の5割を占めるため、飲食店の時短営業の拡大による販売環境の悪化が予想される。
切り花は、葬儀や婚礼の縮小、飲食店の休業や成人式などイベントの中止で業務需要が冷え込むため、「相場は弱もちあいの展開が避けられない」(花き卸)見通し。長引けばバレンタインデーの商戦に影響するとの懸念もある。
一方、牛乳・乳製品は家庭用牛乳類の販売好調が続く。緊急事態宣言再発令で業務需要はさらに減少する恐れがある。だだ、「前回のような全国一斉休校がなければ加工処理量の大幅な増加はない」(業界関係者)との観測も広がる。
食肉は各畜種ともに内食需要の好調が継続しそうだ。豚肉、鶏肉は前回の緊急事態宣言以降、価格が前年を上回って推移しており「国産は在庫も少なく、引き続きスーパー向け中心に引き合いが強まりそう」(市場関係者)。
和牛は外食から内食へのシフトが進んでおり、「外食向けの上位等級は鈍化するものの、3、4等級は前回のような大きな落ち込みはない」(都内の食肉卸)との見通しだ。
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津波被災地の宮城から サツマイモ 香港へ 安定供給、販路拡大に期待 やまもとファームみらい野と九州の商社
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2月下旬、前年に収穫した「べにはるか」と「シルクスイート」を約3トンを出荷。……
2021年03月02日
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2021年03月02日

[震災10年 復興の先へ] 「戻らない」5割 避難先での生活定着 復興庁など 福島県4町住民意向調査
東京電力福島第1原子力発電所事故の影響を受ける双葉、大熊、富岡、浪江4町の住民のうち、避難先から「戻らない」と考える人が5割を占めることが復興庁などの2020年度調査で分かった。19年度と比べて4町とも帰還した住民は増えているが、戻らない人の割合の方が依然高い。既に避難先での生活が定着し、帰還しにくい人が多いことが背景にある。
「戻らない」の割合を町別にみると、双葉町が62・1%、大熊町が59・5%、富岡町が48・9%、浪江町が54・5%。いずれも19年度調査とほぼ同じ水準のまま変わっていない。
帰還しない理由は、富岡町では「既に生活基盤ができている」が最多の60・1%。大熊、浪江各町も同様に最多だった。双葉町も「避難先で自宅を購入し、今後も住む予定」がトップだった。避難生活が長期化する中、仕事が定着したり、友人が増えたりしたことで、元の町に戻るのを見合わせるケースは多い。
一方、4町とも帰還するかどうか「まだ判断がつかない」が2割程度いた。帰還を判断するのに必要な条件として多く挙がったのが医療・介護施設の確保。「医療・介護の復旧時期のめど」が最多の56・8%だった浪江町を含め、各町とも同様の回答がトップだった。
避難指示が一部解除された大熊、富岡、浪江各町は、いずれも10%未満ながら「戻っている」との回答があった。最も高かったのは富岡町の9・2%で、前年度から1・7ポイント増えた。各町とも19年度を上回った。
帰還を決めた理由は「(帰還先の)生活は気持ちが安らぐ」が多く、浪江町は68・8%、富岡町は52・4%だった。大熊町は「役場機能が再開した」が最多の43・5%。故郷を思う気持ちに加えて、行政機関が機能していることが帰還の動機になっている。
今回の調査は4町に加えて、川俣町山木屋地区も対象。「戻っている」との回答は37・8%で、19年度調査と同様に一定数が帰還している。避難指示区域が解除されていることも影響しているとみられる。
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2021年03月03日
文章を一字一句違わず正しく写すのは、思った以上に難しい
文章を一字一句違わず正しく写すのは、思った以上に難しい▼昔の人は仏教の経典を書き写す写経に苦労したようで、間違いを犯した写経生には罰金を科したとの記録が残っている。ちゃんと校正係がいて、誤字脱字をチェックしていた。大事な教えを正しく伝えるには、正確な写経が欠かせなかったのだろう▼確かに1文字の違いが、真逆の意味になったりする。織田正吉さんの『ことば遊びコレクション』から引く。日本たばこ産業が専売公社時代に使ったキャッチフレーズ「きょうも元気だ、たばこがうまい」。「が」の濁点を忘れると、「きょうも元気だ、たばこ買(か)うまい」と禁煙文句に変わる▼正しく伝えることは、人の寿命にも係る。細胞にそれぞれの働きを指示する機能「エピゲノム」が混乱し、正しい指示が伝わらないと老化することが分かってきた。その“故障”を治療する研究が進んでいる。医学の最先端では、今世紀末までに寿命が150歳に延びることも夢ではない。「老化は病気だ」とする世界的科学者シンクレア氏の『ライフスパン 老いなき世界』に学ぶ▼秦(しん)の始皇帝が求めた不老不死とまではいかないが、延命薬を手にする日は、そう遠くないかも知れぬ。それが幸せにつながるかどうかは、別問題ではあるが。
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2021年03月02日
いつも物忘れをする旦那たちが、集まって相談した
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2021年03月05日
新型コロナの新着記事
[新型コロナ] 「食料安保に関心」6割 “国産派”も増 コロナで高まる 全中調査
新型コロナウイルス禍を経て、国民の約6割が食料安全保障に関心を持っていることがJA全中の調査で分かった。うち約7割は国産食品を積極的に買っていた。以前からそうした考えを持っていた人に加え、コロナ禍を機に考えが変わった人も一定数いて、国民の食料への意識が高まっていることが鮮明になった。
全中は食や農業、JAに関する世論を知るため2011年から毎年調査をしている。対象は全国の20~60代の男女2500人。20年11月の最新調査では、初めてコロナ禍について聞いた。
「以前に比べ、国内で食料を生産する大切さ(食料安全保障)に対する関心が高まったか」という問いでは、18・4%が「以前は関心を持っていなかったが、コロナ禍で関心を持つようになった」と答えた。「コロナ禍で、さらに関心が高まった」(19・6%)、「コロナ禍以前から引き続き関心は高い」(22・7%)と合わせ60・7%が食料安全保障に関心を持っていた。
食料安全保障に関心を持つ人の割合は、女性で特に高かった。年代別に見ると、以前から関心が高い人の割合は男女とも高い年代ほど上昇する傾向にあった。新たに関心を持ったり、高めたりした人の割合は年代に比例しなかった。
食料安全保障に関心を持つ人に対し「国産の食品を多く(外国産から切り替えて)買うようになったか」を聞いたところ、72・6%が国産食品を積極的に購入していた。
内訳は「コロナ禍以前から積極的に買っている」が37・5%で最多。「コロナ禍以前から買っているが、さらに買おうと思った」(22・1%)、「コロナ禍で関心を持ち積極的に買うようになった」(12・9%)と続いた。
全中は、食料安全保障への関心が高い割合で行動に結び付いていると指摘。「引き続き『国消国産』の重要性を発信し、食料安全保障の確立につながれば」(広報部)とする。
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2021年03月02日

コロナ下で地域医療守る北海道厚生連 全国から励まし700件 「皆様の勇気に感謝」「私たちのヒーロー」
各病院で新型コロナウイルスの感染者の治療に当たっているJA北海道厚生連に、感謝の手紙や農作物の寄付など700件を超える支援が全国から届いている。旭川厚生病院では全国最大規模の感染クラスターが発生するなど、感染拡大で先行きが見えず厳しい状況が続いていた。道厚生連の役職員は「“善意の輪”にどれだけ救われたか分からない」と感謝している。(尾原浩子)
職員の心救う
同厚生連は15カ所の病院・クリニックを経営し、特別養護老人ホームやデイサービスなど介護施設も運営。近くに薬局がない組合員や地域住民らのため配置薬業務も行う。地域に密着し農村に軸足を置く同厚生連に対して、全国のJAや組合員、患者、地域住民、関係団体、学校などからの励ましやねぎらいの言葉が書かれた寄せ書きや寄贈・寄付が届いた。
その数は全体で700件以上に上り「この街を支えてくれてありがとう」「みんなが元気になりますように」「感謝の気持ちでいっぱい」「いつも守ってくれてありがとう」といった言葉が多数添えられていた。特に医療従事者に対して「皆さんは私たちのヒーロー」「皆様の勇気に感謝」「いつも応援しています」と感謝の言葉をつづる手紙が多かった。中には手形を桜の木のように仕立てたものもあった。
心温まるメッセージが、時には家にも帰れず、涙を流しながら病院で働く医療従事者の励みになり、勇気につながったという。同厚生連では送られてきた手紙などは大切に保管している。
同厚生連の中瀬省会長は「温かいお言葉でどれほどの職員の心が救われたか分からない。日々励まされ、現在もなお対応に当たることができている」と感謝している。
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2021年03月02日
コロナ下販促支援 2次募集 7月末分まで対象に 農水省
農水省は、新型コロナウイルス禍で売り上げが2割以上落ち込んだ農産物の販売促進活動を支援する「国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業」の2次募集を行う。近く募集を始め、締め切りは4月上旬とする方針。4月中下旬から7月末までの取り組みを対象とする。
2020年度第3次補正予算で250億円を計上した事業だが、緊急事態宣言の再発令による影響なども踏まえ、21年度も支援することにした。……
2021年03月02日
緊急宣言 食品業界に明暗 宅配伸び外食苦境 1月売上高
食料品を扱う各業界の1月売上高がまとまった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言再発令で、家庭内で調理する内食傾向が強まり、食品宅配やスーパーの好調ぶりが目立った。特に宅配は大きく伸びた。一方、外食や百貨店は外出自粛による客足減が響き、落ち込みが大きくなった。……
次ページに食料品を扱う業界の売上高に関する表があります。
2021年02月28日

コロナ禍で需要減 豚レバーで薫製 消費拡大へ 家庭向け人気 千葉県食肉公社
新型コロナウイルス禍による需要減少で廃棄処分されていた豚レバーが、薫製加工をした商品として人気を集めている。食肉出荷・加工を手掛ける千葉県食肉公社(千葉県旭市)が、独自の熟成法と薫製で味を改良した「豚レバースモーク」を道の駅などで販売。緊急事態宣言の解除を見据え飲食店ではメニュー開発も進んでおり、地域を挙げて消費拡大に向けて動き始めた。
豚レバーは串焼きやレバニラ炒めの材料として、居酒屋やレストランを中心とした外食産業に需要があった。しかしコロナ禍で外食需要が低迷。同公社では最大約9割が廃棄処分になったという。
「一般家庭向けに豚レバーを使えないか」。同公社の若松重伸取締役営業部長らは、昨年7月ごろから新商品の開発に着手。独自の調味液に漬けて零下2~0度前後で氷温熟成し、桜チップでいぶして香り付けをした「豚レバースモーク」(約100グラム330円)を作った。若松部長は「ねっとりとした食感を味わってもらいたかった。豚レバースモークを通じて消費を拡大したい」と期待する。
千葉県は豚の飼養頭数が全国5位の60万3800頭(2019年2月1日時点)と豚は身近な存在だが、若松部長によると「豚レバーのスモークはなじみがない」という。昨年11月、千葉市の商業施設でテスト販売をしたところ、見込みの20個を大幅に上回る約100個を売り上げた。
今年1月に旭市の道の駅季楽里あさひや旭食肉協同組合本店の他、県内の道の駅や直売所で販売を始めたところ、評判を聞き付けた客が相次ぎ、売り切れの店も出た。季楽里あさひの江本伸二駅長は「これまで聞いたことのない商品だったが、いまではスモーク目当てで来店する人もいるほどの人気だ」と驚く。
メニュー開発 飲食店も意欲
市内では新たな豚レバーメニューの開発も進む。ハンバーグとケーキの専門店「キッチンツナグ」は、ハンバーガーに豚レバースモークを加えるなどメニュー開発に余念がない。2月からメニューで目立つように「旭市豚さんのレバーパテ」「スモークレバー」と記載したところ、店内や持ち帰りで注文する客が増えたという。豊田維代表は「コロナ禍で来店客は減っているが、豚レバーのメニューは反応が良い。今後も新たなメニューを出して千葉から豚レバーを広めたい」と意気込む。
同公社では学校給食への提供を目指し、ソーセージなども開発中だ。
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2021年02月27日

緊急事態延長で飲食限界 倒産増加 止まらず
新型コロナウイルス感染症対策で政府が10都府県の緊急事態宣言を3月7日まで延長したことで、飲食店などの外食業界にとどまらず、食材の卸業者や生産農家への一層の打撃は避けられない。2020年の企業の休廃業と飲食業の倒産は2000年以降最多に上り、緊急事態宣言延長で外食業界は限界が迫っている。
東京商工リサーチによると、20年に休廃業・解散した企業は、2000年の調査開始以来最多の4万9698件だった。……
2021年02月05日
花ある暮らし推進 需要喚起へ発信強化 コロナで農水省
緊急事態宣言の再発令で販売が低迷する花きの需要喚起に向け、農水省は29日、花を飾ったり、贈ったりして楽しむことを呼び掛ける「花いっぱいプロジェクト2021」を始めると発表した。昨年行った取り組みをリニューアル。消費者向けに花きの情報を集めた特設サイトを同省ホームページに新設し、花飾りや花贈りの機運を高める国民運動も新たに行う。
同プロジェクトは、新型コロナウイルス禍を受けて昨年3月に開始。自治体や企業に花の活用を提案し、消費者に花の購入を呼び掛けてきた。同省は取り組みにより、「(花き業界から)通販などで家庭での需要が伸びたとの声が聞かれた」(園芸作物課)とする。
緊急事態宣言の再発令で、業務用を中心に販売が再び低迷する中、同省はプロジェクトをリニューアル。新設したサイトでは、身近にある花屋などを紹介した「応援ショップリスト」、飾り方や長持ちさせる方法などを伝える「花飾りお役立ち情報」などを掲載。企業や団体によるキャンペーン情報なども発信する。
国民運動は、同省が消費者や企業などから募り、「花いっぱいプロジェクト応援隊」をつくる。応援隊がインターネット交流サイト(SNS)を通じて活動を紹介し、花飾りや花贈りの機運を高める。取り組みの課題などを話し合うオンライン意見交換会も実施。活動の質が高まるようにすることを見込む。
野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で、「国民の皆さまには、家庭で花を飾ったり、大切な人に花を贈っていただければ」と述べた。
同省でも正面玄関や記者会見場を花で飾ることや、バレンタインデーやホワイトデーに合わせた職員による花の購入などを予定している。
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2021年01月30日

クラスター発生2カ月 北海道・旭川厚生病院 地域医療の要 再開へ 組合員、住民ら安堵
新型コロナウイルスで全国最大規模の311人の感染クラスターが発生した北海道旭川市のJA旭川厚生病院が、診療を再開した。国立感染症研究所や保健所などの指導で徹底した感染対策を講じ、終息したと判断された。外来は予約制で対応し、2月から施設内健診も再開する。道北地帯の地域医療の要だっただけに、JA組合員や地域住民は安堵(あんど)している。(尾原浩子)
ホテル通勤、「風評」耐える
同病院は旭川市だけでなく、道北各地の自治体から住民らが頼りにする地域の基幹病院だ。医師や看護師らおよそ1000人の医療スタッフが働く。市内の他病院で感染が広がり、転院患者を受け入れるなど、コロナ禍の地域医療を守るために対応してきた。
専門家が「最高レベルの感染対策」をしてきたと評価する同病院だったが、昨年11月20日に陽性者を確認した。その後感染に歯止めがかからず、外来を停止するなど診療制限をせざるを得ない異例の事態となった。中でも、道北各地から多くの人が頼りにしていた産婦人科の外来診療と、年間800件を担ってきた分娩(ぶんべん)の休止は地域医療に深刻な影響を与えた。
同病院は対策本部を立ち上げ、国や北海道のクラスター対策班、保健所、近隣病院やJA北海道厚生連の他の病院の協力を得て、事態の収束を目指した。
その間、病院の職員は苦しい生活を強いられた。一部の職員は感染拡大を防ぐため自宅に帰らず、同厚生連が契約したホテルから通った。家族に会えない中でも使命感で医療に従事し、涙を流しながら働く職員もいた。職員自身が陽性者でないにもかかわらず、家族や子どもが職場や保育園に通えなくなるなど、厳しい状況が続いたという。
12月下旬には感染拡大の歯止めにめどが付いた。同月22日には旭川医大との連携で救急母体搬送、新生児救急搬送の一部再開に踏み切った。同月30日以降は陽性者の発生はなく、1月26日、森達也院長が記者会見で終息を宣言した。
北海道厚生連 中瀬省会長に聞く 懸命の対策効かず ウイルスと壮絶な闘い
JA北海道厚生連の中瀬省会長に28日、終息までの経緯や受け止めを聞いた。
JA北海道厚生連の中瀬省会長
──クラスターが発生した理由は。
発生した理由はまだ分かっていない。しかし、感染者を最初に確認した時はほぼ満床状態で、市内の他の医療機関でもクラスターが発生していた。転院も難しく、陽性患者と感染していない患者を分けるのが困難だった。
目に見えないウイルスの感染防止は非常に難しく、国立感染症研究所や保健所の指導を受けながら対応したが、感染者数が多いこともあり、感染に歯止めがかからなかった。クラスターが発生した時点で一部の診療を残し、診療を休止した。北海道厚生連のネットワークで他の厚生病院、本部からも応援スタッフが対応に当たった。
感染拡大は医師や看護師が悪いわけでは決してない。森院長が会見や会議で「申し訳ない」と謝罪する姿を見て、とてもつらかった。ある職員が泣きながら感染症の専門家である恩師に「どこが悪かったのか」と訴えていたと聞いて、自分も涙が出た。一生懸命やっているのに、それでも抑えきれない。ウイルスとの闘いは壮絶だった。
──診療再開をどう受け止めますか。
診療制限で地域住民ら多くの人に迷惑をかけ、本当に申し訳なかった。ゾーニング対策や検査の拡充など徹底し終息に至り、ここまで来られた。
私はもち米を作る農家で、病院に精通しているわけではない。今回、命を預かる病院職員の使命感と存在の大きさを、改めて知った。毎日の朝夕のウェブ会議で、森院長、看護部長、事務部長らがどうやって終息させるかを真剣議論しているのを聞き、心が震えた。病院は単なる建物ではなく、たくさんの立場の人が集まって地域医療を守っていることを痛感した。
地元(JA北はるか)から病院までは車で2時間かかるが、診療再開で地元の組合員から「ほっとした」「待ち望んでいた」と聞き、本当にこの病院は道北の地域を守っているのだと痛感した。まだ受け入れの制限はしているが、再開を伝えられてよかった。
上川地区13JAの組合長会をはじめとする全道各地のJA、組合員、子どもたち、地域住民、職員OB、厚生連にお世話になったという患者、関係者ほか、多くの人から支援を頂いた。物資や寄せ書きなど、温かい支援に心から感謝している。
──改めて国や組合員に伝えたいことは。
厳しい状況だが、国や道、自治体からの支援のおかげで経営が成り立っている。長期戦なので、息の長い支援を国や道などにお願いしたい。
組合員や住民には、ちょっと油断すれば感染が広まることを知ってほしい。多人数の会食を控え、マスクや手洗いは徹底し、みんながちょっとずつ辛抱する。流行させないという努力をみんなですることが、コロナ対策の一歩になる。
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2021年01月29日

コロナ下節分に葉物や実 魔よけ飾り試験販売 大田花き
花き卸の大田花きは、2月2日の節分に向けて葉物や実を使った魔よけ飾りを初めて開発した。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、「疫病退散」の意図を込めた。首都圏のスーパー限定で試験販売する。店頭価格は500~600円を想定し、来年以降の本格販売を視野に入れる。
縁起物の植物を束ねて壁に飾るタイプで、大きさはA4サイズ。厄よけに用いられるヒイラギに加え、古来、神聖なものとされるヒカゲノカズラ、一部地域で豆まきに使われるラッカセイ、「難を転じて福となす」ナンテンの実などを合わせた。
大田花きと買参人の加工業者とで、計400個を手作りした。首都圏に展開するスーパーのサミットとヤオコーで限定販売する。今後は業者の加工ラインで効率よく生産できるよう、花材や組み方などを工夫していく。
同社は「花業界の物日ではなかった節分に、新しい需要をつくる」と今後を見据える。
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2021年01月29日

[農と食のこれから 二つの学校から]後編(下) 引きこもり生活一変 新たな居場所 たくましく歩む
「自信はまだないけれど、怖いほど迷いがない。きっと僕は農業が好きなんだと思う」。新型コロナウイルス禍の2020年度に日本農業実践学園に入校した18人の中で最年少、28歳の雙田貴晃さんが、ナスを促成栽培する温床を作ろうと土壌を掘り返しながら、白い歯を見せた。
挫折からしばらく引きこもりの生活が続いた。外の世界に連れ出してくれたのが農業だった。
諦めた司法試験
「理系一家」の末っ子だ。……
2021年01月21日