江戸時代の俳諧師井原西鶴が残した言葉に、「人間は欲に手足のついたるものぞかし」がある
2021年01月19日
江戸時代の俳諧師井原西鶴が残した言葉に、「人間は欲に手足のついたるものぞかし」がある▼人間誰にでも欲望があり、その欲望を満たしたい誘惑に駆られる。そんな人間の「さが」を表した。無理難題でも、大金を積まれれば、心を動かさない人はそういない。〈地獄の沙汰も金次第〉という格言まで残っている。きれい事だけの世の中ではなかろうが、閻魔(えんま)様の裁きも金次第では正義が廃る▼民主政治の健全な発達が害されてはならない。そんな目的で、戦後、政治腐敗を懸念したGHQ主導で、政治資金規正法が作られた。そして、不祥事のたびに規制が強化された。まるでいたちごっこだが、またぞろ「政治とカネ」が絡む疑惑である▼安倍前政権下で農相を務めた吉川貴盛氏が、収賄罪で東京地検に在宅起訴された。在任中に、大手鶏卵業者「アキタフーズ」前代表から、現金500万円を受け取ったとされる。前代表は、家畜のストレスを減らす国際基準案が国内業者に不利にならないように働き掛けた、という。大臣室を現ナマの受け渡しに使うとは、言語道断。まさか、農林行政がゆがめられたとは思いたくないが、国会での究明が必要だろう▼新型コロナ禍でも、必死に食料を供給する農業者が見詰める。自民党は、襟を正すしかない。
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外食売上高21%減 1月、時短営業で客足激減
日本フードサービス協会が25日発表した1月の外食売上高は、前年同月比21・0%減となり、3カ月連続で前月より悪化した。新型コロナウイルス感染再拡大に伴う緊急事態宣言が再発令され、飲食店の時短による客足激減が響いた。
同協会の調査(有効回収222事業者、3万7475店)によると、ファストフードは1・4%減と、2カ月連続でマイナスだった。好調なハンバーガーなど「洋風」は2桁増と、全業態で唯一プラスだった。
ファミリーレストランは34・6%減と、前月より悪化した。このうち「焼き肉」は32・0%減と、下落幅が前月の約3倍に拡大した。
パブ・居酒屋は74・9%減と、最初の緊急事態宣言が発令された昨年5月並みの低水準だった。このうちパブ・ビアホールは79・0%減、居酒屋は73・5%減と、前月より大幅に悪化した。
同協会は「2度目の緊急事態宣言で、対象地域は酒類提供が午後7時まで制限され、飲酒業態は営業にならなかった。休業を選ぶ事業者も出ている」と、危機感を示した。
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2021年02月26日

「仙台牛」盛り上げよう 統一ジャンパー作製 JA全農みやぎ
【宮城】JA全農みやぎは、宮城県のブランド牛「仙台牛」の若手肥育農家が集う「仙台牛Revolutions(レボリューションズ)」の統一ジャンパーを作製した。新型コロナウイルスの影響で厳しい状況が続き、後継者不足も懸念されている中で、全農みやぎと担い手が一丸となって「仙台牛」のこれからを担っていくことへの証しとして企画した。
ジャンパーには、牛の絵と、……
2021年02月22日

東海桜 挿し木で生産期間短縮 岐阜県立国際園芸アカデミー2年 西村さん
岐阜県可児市の県立国際園芸アカデミー花き生産コース2年生、西村莉穂さんが、鉢植えで開花期が早い東海桜を挿し木し、生産期間を大幅に短縮させることに成功した。桜は実生苗や接ぎ木苗が使われることが多く、商品化までに数年かかる。ソメイヨシノより……
2021年02月26日

[米のミライ](2) 政策フル活用 飼料用軸に安定経営 10アール15万円めざす 青森県五所川原市豊心ファーム
転作の要となる飼料用米は、高収益を実現できるのか──。全国的に飼料用米の生産量が減少する中で、青森県五所川原市で大規模水田農業を展開する(有)豊心ファームは、飼料用米を基幹作物に位置付け、生産を拡大している。
同社の経営面積は水稲70ヘクタール、大豆50ヘクタール。……
2021年02月25日
今季狩猟期前半 鹿、イノシシ捕獲14%増 集中キャンペーン奏功
今シーズンの狩猟期の前半に当たる2020年秋から20年末までに、鹿とイノシシの捕獲頭数の合計が前年より14%増えたことが農水省の調査で分かった。20年度から始めた、重点地域を設定して捕獲への取り組みを強化する「集中捕獲キャンペーン」に一定の効果があったとみられる。鹿の捕獲数は全国的に増えたが、イノシシには地域差もある。対策を一層強化し、捕獲頭数を底上げできるかが課題になる。
半減目標へ強化課題
同省が20年秋の狩猟期開始から20年末までの鹿、イノシシの捕獲数を都道府県から聞き取った。……
2021年02月25日
四季の新着記事
〈男は黙って…〉。かつてのビールの宣言文句もいまなら物議を醸すかも
〈男は黙って…〉。かつてのビールの宣言文句もいまなら物議を醸すかも。ことさら男を強調するのはいかがなものかと▼おしゃべりな人、口数少ない人。人それぞれ。別段男だから女だからと限定するのはおかしい。もちろん女性だから会議での話が長いわけでもない。ただコロナ禍で会話が減っているのは確か。知人は、長いマスク生活で「声が出にくくなった」とこぼしていた▼会話を極力しないことが良しとされるご時世である。「黙食にご協力ください」と呼び掛ける飲食店も現れた。食事の楽しさは、気心の知れた人との会話も調味料になる。例えば恋人同士が、2重マスクとアクリル板越しに、黙々と箸を運ぶ。時折、スマホのLINEで“筆談”。これではどんなごちそうでも味気ないだろう▼「賢者は黙して語らず」のことわざが示すように、日本では往々にして沈黙は美徳とされる。「沈思黙考」は、黙して熟慮するさま。不平不満を言わず黙々と働く人も好まれる。しかし「沈黙は金」も時と場合による。菅首相のご子息に絡む接待疑惑の渦中にある総務省幹部は当初「黙秘」を決め込み、会話記録が出ると「記憶力不足」と釈明した▼永田町や霞が関の住人たちには、政権を守るため沈黙を守り通せば出世する「黙約」でもあるのだろうか。
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2021年02月26日
きょうは茂吉忌
きょうは茂吉忌。医者にしてわが国を代表する歌人である。斎藤茂吉の代表作は「死にたまふ母」の連作であろう▼〈みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる〉。山形県の農家の三男に生まれ、早くして養子に出された。東京で精神科医として名を成したが、母への思慕はやみ難い。母危篤の知らせを受け詠んだ歌である。死の床にある母への絶唱歌は〈死に近き母に添寢のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる〉。カエルの鳴き声は茂吉の慟哭(どうこく)である▼コロナ禍で、親の死に目にも会えない人の心中はいかばかりか。茂吉は若い頃、スペイン風邪にかかった。発熱や肺炎に加え、せきや倦怠(けんたい)感の後遺症に悩まされた。同郷の歌人に宛てた手紙は医者らしい予防策をつづる。「直接病人に近づかざること」に始まり、マスク着用、塩水うがいなどを列挙。熱が出たら絶対安静とある▼茂吉のもう一つの顔が旺盛な食欲。作家の嵐山光三郎さんは「もの食う歌人」と称した。大のウナギ好きで知られた。病院の焼失、夫婦関係など私生活では苦労が絶えなかった。嵐山さんは、食べることを生きる力に変えたと書く▼〈あたたかき飯(いい)くふことをたのしみて今しばらくは生きざらめやも〉。食べて生きて歌に昇華させた70年の人生だった。
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2021年02月25日
若い頃、援農先で「ヒヤリ・ハット」を経験した
若い頃、援農先で「ヒヤリ・ハット」を経験した▼耕運機で畑を耕していた。慣れない作業、注意はしていたつもりだ。折り返そうとした時、バランスを崩し耕運機ごと横転した。幸い擦り傷で済んだが、一歩間違えれば沢に落ちるところだった。あの時、転落や下敷きで大けがを負っていたら。そう思うといまでもあわ立つ▼3月からの春の農作業安全運動を前に、農水省が初の試みで、農林水産業、食品産業が一体となった「作業安全推進Week」を26日まで開いている。シンポなどで多くの先進事例を聞けたが、痛ましい報告もあった。71歳の男性は昨年5月、離れた農地にトラクターで向かう途中、8メートル下の沢に転落し命を落とした▼2019年、農作業事故で死亡した人は281人。9割近くが高齢者で、農機事故死が65%を占める。毎年300人前後が農作業事故で亡くなっている。この半世紀変わらぬ日本農業の現実だ。数字も重いが、愛する者にとってはかけがえのない1人だ。数字の背後にある家族の悲嘆、経営の危機、地域の損失を思う時、暗たんとなる▼農水省が掲げたポスターに「『安全』こそ、何よりの収穫だ」の言葉がある。命を守る経営は全てに優先する。「ただいま」「おかえり」。毎日がそんな言葉で終われますように。
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2021年02月24日
「サステナブル」
「サステナブル」。数年前、欧州の若い農家にどんな農業をしたいのかと本紙記者が尋ねた時、大概の人からこの言葉が返ってきた▼国連のSDGsのSで「持続可能な」と訳される。何にでもくっつく便利な形容詞であり、行政やビジネスの世界でもよく目にする。政治家が「持続可能な農業」と訴えたら、それらしく聞こえるから不思議だ。昔の「断固農業を守ります」が大挙引っ越してきた感がある。試しに年内に行われる衆院選をご覧あれ▼このサステナブルにEU農政がかじを切った。昨年5月、〈農場から食卓へ〉の新戦略を打ち出した。商品のキャッチコピーみたいだが、掲げた数値目標が農業者を大いに刺激している。2030年までに化学農薬を50%、肥料を20%減らす、有機農業を全農地の25%に拡大する。昆虫やマメ科植物の飼料利用を進める。これはアマゾンの森林を開発して生産した輸入大豆への依存をやめるという意思表示である▼欧州ではサステナブルは明確に環境とつながっている。この考えから食料の生産流通に新たな規律を設けようとの国際潮流がある。9月には国連食料システムサミットがニューヨークで開かれる▼米国がパリ協定に復帰。農業も巻き込んで世界は動く。遅れているのは男女平等だけではない。
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2021年02月23日
金印「漢委奴国王」の実物を福岡市博物館で見た
金印「漢委奴国王」の実物を福岡市博物館で見た。1辺2センチほどの最も小さな国宝である▼江戸中期、志賀島の農民が田んぼの溝の大きな石を持ち上げたら出てきたという。サイズを知って、発見こそ奇跡だったと実感する。後漢の光武帝が紀元57年に下賜した金印とされ、現存するはんこで国内最古になる▼欧州や中国で衰退したのに、極東の島国ではんこ文化が花開いたのも奇跡かもしれない。日本国憲法の原本には昭和天皇のご署名と御璽の押印がある。厳かさを感じさせる。組織では位が上がるほど押す機会が増え、そこに存在感を覚えるご仁もいる。リタイアすれば宅配便の受け取りぐらいしか使わない▼身近な存在ながら知らないことが多い。正しい名称は印章であり、印鑑とは押印してできる印影のこと。役所に印鑑登録したものが実印、それ以外を認め印という。安い三文判で通帳を作ると、どのはんこか分からなくなることがままある。はんこは新型コロナウイルスの犠牲者である。テレワークを邪魔する無駄の代表に扱われ、押印廃止のパフォーマンスをした河野規制改革相は業界からの猛抗議を受けた▼実印には立ち止まらせる力が宿る。契約を寸前でやめた経験をお持ちの人は少なくあるまい。無形文化遺産に申請してはどうか。
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2021年02月22日
日経平均株価がバブル期以来の3万円台に乗った
日経平均株価がバブル期以来の3万円台に乗った。コロナ禍にあえぐ実体経済を尻目に兜町が沸く▼この町名の由来になった兜岩のそばに東京証券取引所がある。その前身をつくったのが渋沢栄一で、大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公だ。ネットで見る渋沢の老け顔とイケメン・吉沢亮さんがどうにもつながらない。「なつぞら」の早世画家・天陽君の残像もまだ引きずる▼渋沢の実家は今の埼玉県深谷市で、米、養蚕、藍玉の製造・販売を営んでいた。ペリー来航から始まる〈大転換〉の風を全身で受け、生死紙一重の幕末を生き残った。運の良さだけでなく、農工商で育んだ精神のたおやかさがあったのだろう。終生のライバル・三菱の岩崎弥太郎は50歳でこの世を去り、渋沢は91歳の天寿を全うした。1万円札の肖像にどちらがなるかを分けた境目だろう▼〈論語とそろばん〉の影響で聖人君子のイメージが強いが、花柳界に名をはせ、賭け事も強かった。射幸心をあおると反対論が根強い商品先物取引を政府に公認させたのも渋沢である。数々の名言がある。株価好調の折、押さえておきたいのはこれ。〈名を成すは毎(つね)に窮苦の日に在り、事の敗るは多く得意の時〉▼福は禍の伏す所ともいう。ドラマが終わる時、株価はどうなっているやら。
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2021年02月21日
海の向こうではGAFA(ガーファ)が過去最高益を上げ、国内でもソフトバンクがトヨタを利益で上回った
海の向こうではGAFA(ガーファ)が過去最高益を上げ、国内でもソフトバンクがトヨタを利益で上回った▼何事にも光と影は付き物だが、コロナ禍の勝ち組筆頭はIT企業。元々強いがさらに躍進した。この1年に体験したこと。テレワーク、オンラインの会議、セミナー、講演、コンサート、居酒屋。旅行、診療、結婚式もいけそうだが、葬式にはためらいがある。〈新しいつながりの形〉と割り切るべきか。一方でつながらない現実もある▼昨年の自殺者数はリーマン・ショック以降11年ぶりに増えた。女性や10、20代の増加が目立つ。痛ましいことに小中高校生の自殺者は440人に上り、1980年以降で最も多い。若い世代に何が起こっているのか。〈「いいね」より君の味方はそばにいる〉▼よつ葉乳業の牛乳パックに書かれた標語に立ち止まる。北海道教育委員会の「絆づくりメッセージコンクール」の最優秀作品(高校生部門)である。子どもたちの目に留まりやすい牛乳パックで、いい関係づくりを呼び掛ける。筆者の世代は〈遠くの親戚より近くの他人〉と教えられた。SNSの隆盛でこの常識が通じなくなった。近くが遠い▼菅首相が孤独・孤立対策担当に坂本哲志少子化相を任命した。不祥事続きにさぞ孤独が深まっているとお察しする。
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2021年02月20日
決断はたいがい苦しさを伴う
決断はたいがい苦しさを伴う▼中国のことわざに、「人は流水に鑑みるなくして、止水に鑑みる」(荘子)がある。流れる川は人の姿を映すことはできず、静止した水こそあるがままの姿を映す。人が冷静な判断をするには、静止した水のような澄み切った心境が必要だ、との教えにつながる。守屋洋著『中国古典「一日一話」』に学ぶ▼雑念を打ち払った「明鏡止水」の心境での決断はできたか。男女共同参画担当相で五輪相の橋本聖子氏が、東京五輪・パラ大会組織委員会の会長に決まった。いろいろな候補者が出ては消える、激流の中での決定である。女性蔑視発言で辞任に追い込まれた森喜朗前会長の後を継ぐ。政治の「父」と仰ぐ人の尻拭いでもあり、気持ちはさぞ揺れたろう▼先の東京五輪直前に北海道に生まれ、聖火にちなみ聖子と名付けられた、という。五輪メダリストで女性初のJOC強化本部長を務めるなど、スポーツ界に影響力を持つ。政界との調整役もこなせるとあって、「資格には申し分ない」と期待の声が上がる。新型コロナ禍の中、島根県知事からは聖火リレーの中止検討発言まで飛び出し、平和の祭典は追い詰められつつある▼「五輪の申し子」が、闇に包まれた“森”に聖火の光をともせるのか、正念場の決断である。
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2021年02月19日
「種」は全ての源である
「種」は全ての源である▼詩人吉野弘さんの詩〈種子について〉から引く。〈固い種子―「現在」の評判や関心から無視され それ故、流行に迎合する必要もなく 己を守り 「未来」への芽を 安全に内蔵している種子。人間の歴史にも 同時代の味覚に合わない種子があって 明日をひっそり担っていることが多い。〉。多様な種は、豊かさにつながる▼その種が海外に流れては大変と、流出を食い止める改正種苗法が4月に施行される。育成者が認めた以外の国に故意に持ち出すと、罰則の対象になる。農家からの流出も防ぐ。登録品種の収穫物から種や苗を採って次の作付けに使う自家増殖は、来年4月から許諾が必要になる。伝統的権利を縛ることにならないか不安が渦巻く。グローバル時代の種の権利はどうなるのか▼きょうは雨水。「うすい」と読む。雪が雨へと変わり、雪解けが始まる頃を指す。雪解け水が田畑を潤し、昔から、農耕の準備を始める目安とされてきた。大雪の今冬は、雪国はまだ深い雪に覆われる。それでも、この時季の末候は、「草木(そうもく)萌動(めばえいずる)」。柔らかな春の日差しに、草木が芽吹く▼新型コロナワクチンの先行接種が始まった。あまねく国民に行き渡るまで、“希望の種”を枯らすような事態があってはならない。
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2021年02月18日
「口の狭い瓶に手を突っ込んで、たくさんのお菓子をつかんだまま手が抜けなくて、困っている子どものようだ」
「口の狭い瓶に手を突っ込んで、たくさんのお菓子をつかんだまま手が抜けなくて、困っている子どものようだ」▼かつてウルグアイラウンドで交渉の最前線にいた元農林水産審議官で、昨年亡くなった塩飽二郎さんが語っていた。当時、農水省は食料安全保障の観点に立って、米などの基礎的食料の関税化回避に孤軍奮闘していた。どうにか米はしのいだが、その代償も大きかった。義務輸入の受け入れである▼程なく日本政府は、輸入量を抑制するため、自ら関税化に踏み出した。それでも義務量は年76・7万トンに及ぶ。そして、今、生産調整に苦しむ。中国と米国の貿易紛争が激化し、世界は新たな貿易秩序を模索しなければならない。難しい局面での事務方トップに、女性の登壇である▼世界貿易機関(WTO)の新事務局長に、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相が決まった。世界銀行での長い経験と財務相としての実績がある。バイデン政権に代わった米国からも支持を得た。つらい貧困を知るアフリカ出身者の出番は、地球温暖化や貧困問題の解決を目指すSDGs時代の要請でもあろう▼機能不全に陥るWTOは、いくつもの難問を抱える。欲張って手を突っ込めば抜け出せなくなる事態も。経験豊富な手腕に期待したい。
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2021年02月17日