首相、輸出拡大に意欲 初の施政方針 産地支援を強調 通常国会召集
2021年01月19日
第204通常国会が18日、召集された。就任後初の施政方針演説に臨んだ菅義偉首相は、農業政策の柱に農林水産物・食品の輸出を改めて提起し、「27の重点品目を選定し、国別に目標金額を定めて、産地を支援する」と強調。2030年に輸出額を5兆円とする政府目標に向けた実行戦略の着実な推進に意欲を示した。
昨年9月に就任した菅首相にとって、初の通常国会。新型コロナウイルスの感染拡大防止や、農業を含めコロナで影響を受けた経済への対策が論戦の最大の焦点となる。
首相は演説で、地方活性化に向けた政策の柱に農林水産業の成長産業化を提起した。「地域をリードする成長産業とすべく、改革を進める」と強調。輸出拡大策の他、主食用米から高収益作物への転換などを挙げた。農業分野の規制改革については言及しなかった。
農産物輸出については20年の輸出額が「新型コロナの影響にもかかわらず、過去最高となった19年に迫る水準」と述べ、今後の拡大に向けた自信を示した。実行戦略の推進に加え、「農業に対する資金供給の仕組みも変えていく」とも語った。政府は通常国会で輸出への投資が進むよう、「農業法人投資円滑化特別措置法」を改正し、同法の対象を現行の農業法人以外にも広げる方針だ。
外交を巡っては、通常国会に承認案を提出する地域的な包括的経済連携(RCEP)や、今年1月に発効した日英経済連携協定(EPA)を成果として強調。21年は日本が環太平洋連携協定(TPP)議長国であることを踏まえ「着実な実施と拡大に向けた議論を主導していく」と述べた。20日に就任する米国のバイデン次期大統領については「早い時期に会い、日米の結束をさらに強固にする」と語った。
通常国会の会期は6月16日までの150日間。施政方針演説など政府4演説に対する代表質問は、20日の衆院本会議から始まる。
昨年9月に就任した菅首相にとって、初の通常国会。新型コロナウイルスの感染拡大防止や、農業を含めコロナで影響を受けた経済への対策が論戦の最大の焦点となる。
首相は演説で、地方活性化に向けた政策の柱に農林水産業の成長産業化を提起した。「地域をリードする成長産業とすべく、改革を進める」と強調。輸出拡大策の他、主食用米から高収益作物への転換などを挙げた。農業分野の規制改革については言及しなかった。
農産物輸出については20年の輸出額が「新型コロナの影響にもかかわらず、過去最高となった19年に迫る水準」と述べ、今後の拡大に向けた自信を示した。実行戦略の推進に加え、「農業に対する資金供給の仕組みも変えていく」とも語った。政府は通常国会で輸出への投資が進むよう、「農業法人投資円滑化特別措置法」を改正し、同法の対象を現行の農業法人以外にも広げる方針だ。
外交を巡っては、通常国会に承認案を提出する地域的な包括的経済連携(RCEP)や、今年1月に発効した日英経済連携協定(EPA)を成果として強調。21年は日本が環太平洋連携協定(TPP)議長国であることを踏まえ「着実な実施と拡大に向けた議論を主導していく」と述べた。20日に就任する米国のバイデン次期大統領については「早い時期に会い、日米の結束をさらに強固にする」と語った。
通常国会の会期は6月16日までの150日間。施政方針演説など政府4演説に対する代表質問は、20日の衆院本会議から始まる。
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記録的な大雪 ハウス279棟が損壊 北海道・JAふらの管内
記録的な大雪となっている北海道のJAふらの管内で、4日までに118戸・279棟のビニールハウスが損壊する被害が出ている。JAは「作付けを諦める人が出る可能性もある」と危惧。修繕に向けて、資材の確保などの対応を進める。
前線を伴う低気圧が発達し、北海道を通過した。札幌管区気象台によると、富良野市の2日の最深積雪は119センチで、1979年の統計開始以降、最も大きかった。農家はハウスがつぶれないよう懸命に除雪し、ハウス内に支柱を立てるなど対策を講じたが、降雪量が多過ぎたという。
JA職員が目視で確認した管内3市町(富良野市、中富良野町、上富良野町)の被害件数は3日午後4時時点で、全壊が279棟。農家への調査も進めており、被害はさらに広がる可能性がある。被災したのは、ハウスの苗床を確保する時期を迎えていたメロン農家が最も多かった。アスパラガスや水稲の農家も被害を受けた。
JAの武田達樹常務は「作付けの維持に向けて、実態を把握し修繕に向けた資材の確保を進めたい」と強調する。
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2021年03月05日
食料安保など重点に 中国の全人代が開幕
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は5日、北京で開幕された。2021年からの14次5カ年計画に加え、35年までの長期目標も議論し、食料安全保障などを柱に政策を定める見通しだ。食料安全保障では、種子と耕地が重要と強調。種子の遺伝資源の保護や優良品種の選抜、普及を強化し、農家支援も拡大する。……
2021年03月06日

津波被災地の宮城から サツマイモ 香港へ 安定供給、販路拡大に期待 やまもとファームみらい野と九州の商社
東日本大震災の津波被災地で営農する宮城県山元町のやまもとファームみらい野は、JA宮崎経済連などが出資する商社、九州農水産物直販を通して香港へサツマイモの輸出を始めた。販路確保を目指すファーム側と、九州のサツマイモ基腐病の影響で数量確保が課題となっていた商社の思惑が一致。地域の垣根を越えた連携で、農産物の輸出拡大を目指す。
2月下旬、前年に収穫した「べにはるか」と「シルクスイート」を約3トンを出荷。……
2021年03月02日

[米のミライ](7) 消費拡大 米卸・ミツハシ 「ご飯食=健康」発信 アスリートに照準
米の消費減少の要因の一つが、「米は太る」といった健康に関するマイナスイメージだ。しかし、米は健康的な体づくりには欠かせない食べ物。スポーツ選手をターゲットとし、米を売り込む動きが出てきた。
米卸のミツハシ(横浜市)は、大学の運動部などスポーツチーム向けの米飯宅配事業を2019年から始めた。運動前後に不足する栄養を補う「補食」に、米の需要を見いだしたためだ。……
2021年03月05日
コロナと食料安保 感染症リスクに備えよ
国際的な穀物需給に異変が生じている。中国の「爆買い」などで価格が上昇。新型コロナウイルス禍で生産・供給体制が不安定化していることも食料争奪に拍車を掛ける。人口増、気候変動に加え、感染症リスクに備え、わが国の食料安全保障政策を抜本的に強化すべきだ。
コロナ禍は、医療体制だけでなく食や農の分野にも深刻な影を落とし始めている。
新型コロナワクチンの世界的な争奪が過熱。先進国中心の供給で国連主導の公平な分配が機能せず、世界保健機関(WHO)は「ワクチン・ナショナリズム」に警鐘を鳴らす。
貧富の差が「命の格差」につながるように、食料もまた同様の危機に直面している。国連食糧農業機関(FAO)は、世界的な食料供給システムが新型コロナの脅威にさらされていると危機感を強める。新型コロナの流行前でさえ約6億9000万人もいた飢餓人口が、コロナ禍によってさらに1億3000万人も増えかねないと警告する。
事実、コロナ禍の中、一部の国は輸出規制に走り、感染拡大で生産・物流が滞る事態も起きた。グローバルなフードサプライチェーン(供給網)のもろさを突きつけた。生産基盤が弱体化し、海外への食料依存度の高い日本も無縁ではない。
資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表も医療危機の次に食料危機が訪れるのではと危惧する。日本農業新聞の「論点」(3月1日付)で同氏はコロナがあぶり出した日本の医療の脆弱(ぜいじゃく)性を指摘し、同じことが食と農の分野でも起こりかねないと警告。国際穀物価格は年明け以降、一段と騰勢を強める。供給・在庫は潤沢にあるにもかかわらず異例の高騰を続ける背景には、中国の「爆買い」があるという。その中国は、コロナ禍や米中貿易摩擦を念頭に食料安全保障の強化を今年の最重要課題に掲げる。
ただでさえ、気候変動や人口増、生産基盤の劣化などの危機に直面している時、コロナ禍と食料ナショナリズムが結び付けば、国際的な食料リスクは一段と高まるだろう。
食料安全保障の要諦は、国内農業生産の強化を第一に、輸入、備蓄を組み合わせ、不測の事態でも国民が必要とする食料を安定的に届けることに尽きる。
農水省は1月、緊急事態食料安全保障指針の一部を改正し、新型コロナなど感染症リスクへの対応強化を盛り込んだ。また政府は、こうした新たな事態を踏まえ、6月までに食料安全保障施策の強化策を策定することにしており、同省は有識者による議論を始めた。
そこで大事なのは、危うい食と農の現状を包み隠さず情報提供し、各界各層を巻き込んだ国民的な議論の場を設けることだ。食料安全保障への関心が高まっている今こそ、1人1人が「自分ごと」として、農業と食卓、日本と世界の関係の在り方を考える好機にしたい。
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2021年03月05日
農政の新着記事
規制会議議論始まる 准組利用「組合員の判断」 農水省が方向性表明
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、改正農協法施行5年後の見直しに向けた議論を始めた。農水省やJA全中などから意見を聴取。同省は今後の検討の方向性として、JA准組合員の事業利用については「組合員の判断に基づく」との考えを示した。WG側は、農家所得増大に向けたJAの自己改革の成果を詳細に示すよう求め、数値目標による進捗(しんちょく)管理の必要性も指摘した。
WG 所得増「数値目標を」
会合は非公開。同省は各分野の改革の実施状況を総括し、方向性を示した。……
次ページに農水省が示した農協改革の検討方向の表があります
2021年03月06日
有機農業 50年に100万ヘクタール 新戦略中間案 環境負荷軽減へ 農水省
農水省は5日、環境負荷の軽減と農業生産力向上の両立を目指す中長期的な政策方針「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめ案を公表した。2050年までに①化学農薬の使用量半減②化学肥料の使用量3割減③有機農業を全農地の25%に拡大──といった意欲的な数値目標を提示。技術革新や農家・消費者らの理解などを前提とし、生産体系を大きく転換する方針を打ち出した。
次ページに新戦略のポイントの表があります
2021年03月06日
食料安保など重点に 中国の全人代が開幕
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2021年03月06日
農地所有適格法人 現行要件 「支障」2割 規制会議に調査示す 農水省
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、農地所有適格法人の議決権要件緩和を巡り、農水省に意見を聞いた。同省は、現行要件では資金調達などに「支障がある」とする法人が約2割だったとの調査結果を提示。農業関係者が今後も経営権を確保する必要性を示しつつ、一定の条件下で出資による資金調達の在り方についても検討する必要があるとの考えを示した。
同会議は、「農業者の資金調達の円滑化」を名目に、同法人の議決権要件緩和に関心を示す。……
次ページに調査結果の表があります
2021年03月06日

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2021年03月05日
広域捕獲 国が支援 鳥獣特措法改正で骨子案
自民党が議員立法に向けて検討している鳥獣被害防止特別措置法改正案の骨子案が4日、判明した。都道府県が市町村の枠を超えて広域的に捕獲を進める際に、国が財政支援を行うことを明記。猟銃所持許可を更新する際に必要な技能講習の免除特例の延長や、捕獲した鳥獣の有効利用の促進強化も盛り込んだ。
特措法は2007年に議員立法で成立し、今国会で4回目の改正を目指している。……
次ページに骨子案のポイントの表があります
2021年03月05日

[米のミライ](6)加工用米 産地と地元実需 協力 活用の裾野広げる 新潟、熊本県
「パンやカップ麺のように、手軽に食べてもらえる商品にしたい」。JA熊本経済連は、県産の加工用米を使った冷凍米飯を売り込む。ご飯を炊く手間から国内の精米消費量が落ち込む中でも、電子レンジで調理できる商品ならば、消費者の簡便ニーズに応えられると商機をみる。
2009年から冷凍米飯事業に乗り出し、現在の「熊本県産こだわり炒飯」は、焼き豚やニンジンなど県産品の利用にこだわった5種類を展開。……
2021年03月04日

[米のミライ](5) 地産地消 生産者自ら積極PR 官民連携で手応え 北海道深川市 ふかがわまい生産組合
米の消費量が落ち込む中、各主産地が販路拡大を模索する。北海道は、府県産米から北海道米への消費の切り替えを進める「米チェン!」運動など、地産地消を強力に展開してきた。現在、道民の9割近くが地元の米を食べている。
ふかがわまい生産組合は、JAきたそらちや深川市と連携し、生産者自らが米の営業活動に力を入れる。減農薬・特別栽培の「ゆめぴりか」「ななつぼし」「ふっくりんこ」の地産地消を推進。「産地一丸で深川産の米をPRしよう」と、2019年9月に水稲農家の統一組合を設立した。……
2021年03月03日

[震災10年 復興の先へ] 「戻らない」5割 避難先での生活定着 復興庁など 福島県4町住民意向調査
東京電力福島第1原子力発電所事故の影響を受ける双葉、大熊、富岡、浪江4町の住民のうち、避難先から「戻らない」と考える人が5割を占めることが復興庁などの2020年度調査で分かった。19年度と比べて4町とも帰還した住民は増えているが、戻らない人の割合の方が依然高い。既に避難先での生活が定着し、帰還しにくい人が多いことが背景にある。
「戻らない」の割合を町別にみると、双葉町が62・1%、大熊町が59・5%、富岡町が48・9%、浪江町が54・5%。いずれも19年度調査とほぼ同じ水準のまま変わっていない。
帰還しない理由は、富岡町では「既に生活基盤ができている」が最多の60・1%。大熊、浪江各町も同様に最多だった。双葉町も「避難先で自宅を購入し、今後も住む予定」がトップだった。避難生活が長期化する中、仕事が定着したり、友人が増えたりしたことで、元の町に戻るのを見合わせるケースは多い。
一方、4町とも帰還するかどうか「まだ判断がつかない」が2割程度いた。帰還を判断するのに必要な条件として多く挙がったのが医療・介護施設の確保。「医療・介護の復旧時期のめど」が最多の56・8%だった浪江町を含め、各町とも同様の回答がトップだった。
避難指示が一部解除された大熊、富岡、浪江各町は、いずれも10%未満ながら「戻っている」との回答があった。最も高かったのは富岡町の9・2%で、前年度から1・7ポイント増えた。各町とも19年度を上回った。
帰還を決めた理由は「(帰還先の)生活は気持ちが安らぐ」が多く、浪江町は68・8%、富岡町は52・4%だった。大熊町は「役場機能が再開した」が最多の43・5%。故郷を思う気持ちに加えて、行政機関が機能していることが帰還の動機になっている。
今回の調査は4町に加えて、川俣町山木屋地区も対象。「戻っている」との回答は37・8%で、19年度調査と同様に一定数が帰還している。避難指示区域が解除されていることも影響しているとみられる。
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2021年03月03日
コロナ下販促支援 2次募集 7月末分まで対象に 農水省
農水省は、新型コロナウイルス禍で売り上げが2割以上落ち込んだ農産物の販売促進活動を支援する「国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業」の2次募集を行う。近く募集を始め、締め切りは4月上旬とする方針。4月中下旬から7月末までの取り組みを対象とする。
2020年度第3次補正予算で250億円を計上した事業だが、緊急事態宣言の再発令による影響なども踏まえ、21年度も支援することにした。……
2021年03月02日