営業先で食事どころをぶらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを気兼ねなく食べる
2021年01月21日
営業先で食事どころをぶらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを気兼ねなく食べる。その至福の表情がいい▼食通に人気の「孤独のグルメ」(テレビ東京)である。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎を演じる松重豊さんの食べっぷりと、“独り言”が人気に火を付けた。和洋なんでもあるが、入るのは庶民的な店。9年前に始まったグルメドキュメンタリーは、韓国や台湾など海外でも好評を博す▼放送後は、並ばないと入れなくなるので、「じっくり味わうには、放送前がいい」との知人の紹介で、昨年末、大みそかに放送される直前の店に入った。東京・虎ノ門のビル街の一角に、撮影舞台となった西洋料理「平五郎」はあった。ステーキもおいしいが、福島産を使ったというご飯に、舌鼓を打つ。肉と米。相性の良さの再発見である。五郎さんも高菜の油炒めを載せ、「何杯でもいける」▼こんなにおいしい米の消費が減って、生産者は36万トンもの減産に頭を悩ます。理由はいろいろある。とぐのが面倒だとか、おかずがいるだとか、他に食べるものがあるとか。飢餓に苦しむ人々から見ればぜいたくな悩みだろうが、日本の主食の現実である▼食卓の向こうで水田が荒れる。こんな時こそ、みんなでご飯をもう一杯。きっと農村が救われる。
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営農技術アイデア大賞 黒壁さん(北海道)に栄冠
日本農業新聞は24日、「営農技術アイデア大賞2020」の審査会をオンラインで開き、大賞に北海道新篠津村の黒壁聡さん(64)が考案した、水稲育苗箱の運搬器具「はこらく」を選んだ。自作した金属の枠で3、4枚重ねた育苗箱を挟み込み、まとめて持ち運ぶ仕組み。機械化できていなかった育苗箱の運搬に、効率化の道を開いた点が評価された。
黒壁さんは水稲農家でシーズンには約8000枚の育苗箱を使う。……
2021年02月25日

[米のミライ](1) 低コスト稲作 生産費 60キロで1万円 全面積直播、効率を追求 岩手県一関市 おくたま農産
米の生産費削減は稲作農家に共通する課題だ。持続的な稲作経営に欠かせない。政府は2023年までに、担い手の米生産費を11年平均の60キロ1万6000円から9600円へと、4割削減する目標を掲げている。生産現場では作業方法の見直しや、直播(ちょくは)などの技術を駆使してコスト削減に奮闘する。
岩手県一関市で水稲を約128ヘクタール栽培する農事組合法人おくたま農産は、米の生産費60キロ1万円を達成する。……
2021年02月24日

産地直送サイト開設 巣ごもり需要に焦点 JAグループ高知、県など
JAグループ高知、高知県などで構成する高知県直販流通外商拡大協議会は、県産農産物の販売サイト「とさごろ」を開設した。「土佐の旬の食べごろ」をコンセプトに、JAが取り扱う県産の新鮮な野菜や果物、加工品などを産地直送する。
「とさごろ」は、食べ比べ企画など特集コンテンツで商品の魅力を伝える他、JA高知県のホームページと連携。JAは「品目やレシピのサイトなどからスムーズに販売サイトに誘導し、消費者の『食べたい』欲求から『買いたい』につなげたい」としている。
贈答用から家庭用、業務用まで幅広い用途に応じた農産物や加工品などをそろえていく。コロナ禍による消費者の“巣ごもり需要”の高まりにも対応する。
JA営農販売事業本部特産販売課の山下三鈴課長は「年間を通じて魅力的な商品を取りそろえ、県産農畜産物のブランド力を高めていきたい」と語る。
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2021年02月25日

豪にイチゴ初輸出 施設条件クリア 岐阜県・全農
【ギフ】岐阜県、JA全農岐阜、JAぎふは25日、国内トップを切って県産イチゴをオーストラリアへ輸出を始めた。昨年に同国が日本産イチゴの輸入を解禁したのを受け、進めてきた生産や選果梱包(こんぽう)施設の登録などがこのほど完了。同日、岐阜市内の県JA会館前で出発式を開いた。
輸出されるのは(株)本丸いちご本圃(本巣市)が生産した……
2021年02月26日

乳幼児向けようかん発売 県産野菜ふんだんに 松山市の和菓子会社
松山市の薄墨羊羹(ようかん)が県内産野菜をふんだんに使った乳幼児向けようかん「おやおやようかん」を発売した。「とまと」「かぼちゃ」「ほうれん草」「紫いも」「みかん」の5種類。もなか皮で作った食べられるスプーンや、かわいい動物を描いたパッケージも楽しいおやつの時間を演出する。県内直営店とオンラインで販売している。……
2021年02月28日
四季の新着記事
我田引水
我田引水。官邸の政策会議の議事録で、一般企業の農地所有を解禁したい人たちの発言を読むと、そう思えてならない▼昨年末の国家戦略特区諮問会議では、兵庫県養父市で認めている農地所有特例の扱いを議論。竹中平蔵パソナグループ会長ら民間メンバーは全国展開を強硬に主張した。「大成功」というのが根拠である▼本当か。6社が農地を取得したが、経営面積のほとんどがリースで所有は7%。しかも1社は休業中だ。民間メンバーは耕作放棄や産廃置き場になっていないと強調するが、自ら望んだ特区なのだから、そうならないよう同市が最大限努力するのは当然であろう。管理された実験室と同じである▼特例は2年の延長で決着。主戦場は規制改革推進会議での農地所有適格法人の要件を巡る議論に移った。論点は一般企業による経営支配と株式上場を認めるか。農業関連法人からの意見聴取では慎重論が相次いだ。それでも農業分野の座長、佐久間総一郎日本製鉄顧問は、まとめの発言で株式上場の重要性を指摘した▼竹中氏は、昨年4月に出した共著『日本の宿題―令和時代に解決すべき17のテーマ』に「企業の農地所有を認める」と書き、前々から答案は作成済み。しかし正答を決めるのは政府である。菅首相のブレーンとされるが、忖度(そんたく)は御法度。
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2021年02月28日
〈役人の骨っぽいのは猪牙(ちょき)に乗せ〉という川柳がある
〈役人の骨っぽいのは猪牙(ちょき)に乗せ〉という川柳がある。猪牙は吉原に通うのに使った足の速い小舟のこと。お堅い役人も色で骨抜きになるということらしい▼色ならぬ飲食接待で籠絡できるとみられたか。鶏卵生産大手の前代表から接待を受けたとして、農水省の枝元事務次官らが国家公務員倫理規程違反で処分された。次官は、代金は「大臣(同席していた吉川元農相)が支払ったと思っていた」と話していたが、実際には利害関係者である前代表が負担した▼倫理規程ができたきっかけは、23年前に発覚し、大蔵官僚の接待汚職が暴かれた「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」。官僚の皆さんに〈李下(りか)に冠を正さず〉という言葉を贈ろうと思ったが、直近の総務省をはじめ、倫理規程ができた後も違法接待は繰り返され、問われるはむしろ学習能力か▼元農相と前代表の関係は贈収賄事件に発展。政官業の癒着で鶏卵行政がゆがめられたのではないか。国民の厳しい目が農水省に注がれている。心配なのは農政全体に不信感が広がること。政策遂行に支障が出れば農家にも影響が及びかねない▼元農相の在職中の政策決定過程を農水省は検証中だ。傷を治すにはうみを出し切ることが先決である。そして政策で成果を上げる。国民共通の願いは食料自給率の向上だろう。
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2021年02月27日
〈男は黙って…〉。かつてのビールの宣言文句もいまなら物議を醸すかも
〈男は黙って…〉。かつてのビールの宣言文句もいまなら物議を醸すかも。ことさら男を強調するのはいかがなものかと▼おしゃべりな人、口数少ない人。人それぞれ。別段男だから女だからと限定するのはおかしい。もちろん女性だから会議での話が長いわけでもない。ただコロナ禍で会話が減っているのは確か。知人は、長いマスク生活で「声が出にくくなった」とこぼしていた▼会話を極力しないことが良しとされるご時世である。「黙食にご協力ください」と呼び掛ける飲食店も現れた。食事の楽しさは、気心の知れた人との会話も調味料になる。例えば恋人同士が、2重マスクとアクリル板越しに、黙々と箸を運ぶ。時折、スマホのLINEで“筆談”。これではどんなごちそうでも味気ないだろう▼「賢者は黙して語らず」のことわざが示すように、日本では往々にして沈黙は美徳とされる。「沈思黙考」は、黙して熟慮するさま。不平不満を言わず黙々と働く人も好まれる。しかし「沈黙は金」も時と場合による。菅首相のご子息に絡む接待疑惑の渦中にある総務省幹部は当初「黙秘」を決め込み、会話記録が出ると「記憶力不足」と釈明した▼永田町や霞が関の住人たちには、政権を守るため沈黙を守り通せば出世する「黙約」でもあるのだろうか。
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2021年02月26日
きょうは茂吉忌
きょうは茂吉忌。医者にしてわが国を代表する歌人である。斎藤茂吉の代表作は「死にたまふ母」の連作であろう▼〈みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる〉。山形県の農家の三男に生まれ、早くして養子に出された。東京で精神科医として名を成したが、母への思慕はやみ難い。母危篤の知らせを受け詠んだ歌である。死の床にある母への絶唱歌は〈死に近き母に添寢のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる〉。カエルの鳴き声は茂吉の慟哭(どうこく)である▼コロナ禍で、親の死に目にも会えない人の心中はいかばかりか。茂吉は若い頃、スペイン風邪にかかった。発熱や肺炎に加え、せきや倦怠(けんたい)感の後遺症に悩まされた。同郷の歌人に宛てた手紙は医者らしい予防策をつづる。「直接病人に近づかざること」に始まり、マスク着用、塩水うがいなどを列挙。熱が出たら絶対安静とある▼茂吉のもう一つの顔が旺盛な食欲。作家の嵐山光三郎さんは「もの食う歌人」と称した。大のウナギ好きで知られた。病院の焼失、夫婦関係など私生活では苦労が絶えなかった。嵐山さんは、食べることを生きる力に変えたと書く▼〈あたたかき飯(いい)くふことをたのしみて今しばらくは生きざらめやも〉。食べて生きて歌に昇華させた70年の人生だった。
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2021年02月25日
若い頃、援農先で「ヒヤリ・ハット」を経験した
若い頃、援農先で「ヒヤリ・ハット」を経験した▼耕運機で畑を耕していた。慣れない作業、注意はしていたつもりだ。折り返そうとした時、バランスを崩し耕運機ごと横転した。幸い擦り傷で済んだが、一歩間違えれば沢に落ちるところだった。あの時、転落や下敷きで大けがを負っていたら。そう思うといまでもあわ立つ▼3月からの春の農作業安全運動を前に、農水省が初の試みで、農林水産業、食品産業が一体となった「作業安全推進Week」を26日まで開いている。シンポなどで多くの先進事例を聞けたが、痛ましい報告もあった。71歳の男性は昨年5月、離れた農地にトラクターで向かう途中、8メートル下の沢に転落し命を落とした▼2019年、農作業事故で死亡した人は281人。9割近くが高齢者で、農機事故死が65%を占める。毎年300人前後が農作業事故で亡くなっている。この半世紀変わらぬ日本農業の現実だ。数字も重いが、愛する者にとってはかけがえのない1人だ。数字の背後にある家族の悲嘆、経営の危機、地域の損失を思う時、暗たんとなる▼農水省が掲げたポスターに「『安全』こそ、何よりの収穫だ」の言葉がある。命を守る経営は全てに優先する。「ただいま」「おかえり」。毎日がそんな言葉で終われますように。
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2021年02月24日
「サステナブル」
「サステナブル」。数年前、欧州の若い農家にどんな農業をしたいのかと本紙記者が尋ねた時、大概の人からこの言葉が返ってきた▼国連のSDGsのSで「持続可能な」と訳される。何にでもくっつく便利な形容詞であり、行政やビジネスの世界でもよく目にする。政治家が「持続可能な農業」と訴えたら、それらしく聞こえるから不思議だ。昔の「断固農業を守ります」が大挙引っ越してきた感がある。試しに年内に行われる衆院選をご覧あれ▼このサステナブルにEU農政がかじを切った。昨年5月、〈農場から食卓へ〉の新戦略を打ち出した。商品のキャッチコピーみたいだが、掲げた数値目標が農業者を大いに刺激している。2030年までに化学農薬を50%、肥料を20%減らす、有機農業を全農地の25%に拡大する。昆虫やマメ科植物の飼料利用を進める。これはアマゾンの森林を開発して生産した輸入大豆への依存をやめるという意思表示である▼欧州ではサステナブルは明確に環境とつながっている。この考えから食料の生産流通に新たな規律を設けようとの国際潮流がある。9月には国連食料システムサミットがニューヨークで開かれる▼米国がパリ協定に復帰。農業も巻き込んで世界は動く。遅れているのは男女平等だけではない。
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2021年02月23日
金印「漢委奴国王」の実物を福岡市博物館で見た
金印「漢委奴国王」の実物を福岡市博物館で見た。1辺2センチほどの最も小さな国宝である▼江戸中期、志賀島の農民が田んぼの溝の大きな石を持ち上げたら出てきたという。サイズを知って、発見こそ奇跡だったと実感する。後漢の光武帝が紀元57年に下賜した金印とされ、現存するはんこで国内最古になる▼欧州や中国で衰退したのに、極東の島国ではんこ文化が花開いたのも奇跡かもしれない。日本国憲法の原本には昭和天皇のご署名と御璽の押印がある。厳かさを感じさせる。組織では位が上がるほど押す機会が増え、そこに存在感を覚えるご仁もいる。リタイアすれば宅配便の受け取りぐらいしか使わない▼身近な存在ながら知らないことが多い。正しい名称は印章であり、印鑑とは押印してできる印影のこと。役所に印鑑登録したものが実印、それ以外を認め印という。安い三文判で通帳を作ると、どのはんこか分からなくなることがままある。はんこは新型コロナウイルスの犠牲者である。テレワークを邪魔する無駄の代表に扱われ、押印廃止のパフォーマンスをした河野規制改革相は業界からの猛抗議を受けた▼実印には立ち止まらせる力が宿る。契約を寸前でやめた経験をお持ちの人は少なくあるまい。無形文化遺産に申請してはどうか。
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2021年02月22日
日経平均株価がバブル期以来の3万円台に乗った
日経平均株価がバブル期以来の3万円台に乗った。コロナ禍にあえぐ実体経済を尻目に兜町が沸く▼この町名の由来になった兜岩のそばに東京証券取引所がある。その前身をつくったのが渋沢栄一で、大河ドラマ「青天を衝(つ)け」の主人公だ。ネットで見る渋沢の老け顔とイケメン・吉沢亮さんがどうにもつながらない。「なつぞら」の早世画家・天陽君の残像もまだ引きずる▼渋沢の実家は今の埼玉県深谷市で、米、養蚕、藍玉の製造・販売を営んでいた。ペリー来航から始まる〈大転換〉の風を全身で受け、生死紙一重の幕末を生き残った。運の良さだけでなく、農工商で育んだ精神のたおやかさがあったのだろう。終生のライバル・三菱の岩崎弥太郎は50歳でこの世を去り、渋沢は91歳の天寿を全うした。1万円札の肖像にどちらがなるかを分けた境目だろう▼〈論語とそろばん〉の影響で聖人君子のイメージが強いが、花柳界に名をはせ、賭け事も強かった。射幸心をあおると反対論が根強い商品先物取引を政府に公認させたのも渋沢である。数々の名言がある。株価好調の折、押さえておきたいのはこれ。〈名を成すは毎(つね)に窮苦の日に在り、事の敗るは多く得意の時〉▼福は禍の伏す所ともいう。ドラマが終わる時、株価はどうなっているやら。
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2021年02月21日
海の向こうではGAFA(ガーファ)が過去最高益を上げ、国内でもソフトバンクがトヨタを利益で上回った
海の向こうではGAFA(ガーファ)が過去最高益を上げ、国内でもソフトバンクがトヨタを利益で上回った▼何事にも光と影は付き物だが、コロナ禍の勝ち組筆頭はIT企業。元々強いがさらに躍進した。この1年に体験したこと。テレワーク、オンラインの会議、セミナー、講演、コンサート、居酒屋。旅行、診療、結婚式もいけそうだが、葬式にはためらいがある。〈新しいつながりの形〉と割り切るべきか。一方でつながらない現実もある▼昨年の自殺者数はリーマン・ショック以降11年ぶりに増えた。女性や10、20代の増加が目立つ。痛ましいことに小中高校生の自殺者は440人に上り、1980年以降で最も多い。若い世代に何が起こっているのか。〈「いいね」より君の味方はそばにいる〉▼よつ葉乳業の牛乳パックに書かれた標語に立ち止まる。北海道教育委員会の「絆づくりメッセージコンクール」の最優秀作品(高校生部門)である。子どもたちの目に留まりやすい牛乳パックで、いい関係づくりを呼び掛ける。筆者の世代は〈遠くの親戚より近くの他人〉と教えられた。SNSの隆盛でこの常識が通じなくなった。近くが遠い▼菅首相が孤独・孤立対策担当に坂本哲志少子化相を任命した。不祥事続きにさぞ孤独が深まっているとお察しする。
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2021年02月20日
決断はたいがい苦しさを伴う
決断はたいがい苦しさを伴う▼中国のことわざに、「人は流水に鑑みるなくして、止水に鑑みる」(荘子)がある。流れる川は人の姿を映すことはできず、静止した水こそあるがままの姿を映す。人が冷静な判断をするには、静止した水のような澄み切った心境が必要だ、との教えにつながる。守屋洋著『中国古典「一日一話」』に学ぶ▼雑念を打ち払った「明鏡止水」の心境での決断はできたか。男女共同参画担当相で五輪相の橋本聖子氏が、東京五輪・パラ大会組織委員会の会長に決まった。いろいろな候補者が出ては消える、激流の中での決定である。女性蔑視発言で辞任に追い込まれた森喜朗前会長の後を継ぐ。政治の「父」と仰ぐ人の尻拭いでもあり、気持ちはさぞ揺れたろう▼先の東京五輪直前に北海道に生まれ、聖火にちなみ聖子と名付けられた、という。五輪メダリストで女性初のJOC強化本部長を務めるなど、スポーツ界に影響力を持つ。政界との調整役もこなせるとあって、「資格には申し分ない」と期待の声が上がる。新型コロナ禍の中、島根県知事からは聖火リレーの中止検討発言まで飛び出し、平和の祭典は追い詰められつつある▼「五輪の申し子」が、闇に包まれた“森”に聖火の光をともせるのか、正念場の決断である。
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2021年02月19日