地域内外の知恵生かす 関係人口創出モデル報告会
2021年01月24日
鳥取県と長野県塩尻市は23日、「関係人口」の創出に向けた事業の報告会をオンラインで開いた。地域の住民や企業だけでなく外部の専門家らを巻き込みながら、関係人口を呼び込む企画を立案、実践する同市独自の手法を紹介。同市を参考に、農業分野の関係人口づくりを目指す鳥取県内の事例なども報告した。自治体職員や関係事業者ら約90人が参加した。
塩尻市は関係人口を呼び込む活動を企画立案し、実行するまでのプロセスを紹介。住民や企業が専門家の助言を受けて課題を整理し、活動の内容をまとめた「仕様書」を作成。実践に当たっては外部人材を募り、地域外の視点も入れながら進めているとした。
具体例として地場産ワインの消費拡大に向けて、広報の専門家の協力を受けてファン組織を設立。オンラインイベントも開いたことを報告した。
塩尻市の手法に注目した鳥取県は、関係人口の創出を目指す県内の自治体に情報を提供。実践に移している地域が内容を報告した。このうち大山町は、農業の担い手と労働力不足の解決を目指し、関係人口を呼び込む計画を発表した。鳥取県主催で「まちづくりワーケーションフォーラム」も開いた。休暇で訪問した先で働くワーケーションの将来像と関係人口の創出について、有識者らが意見を交わした。
塩尻市は関係人口を呼び込む活動を企画立案し、実行するまでのプロセスを紹介。住民や企業が専門家の助言を受けて課題を整理し、活動の内容をまとめた「仕様書」を作成。実践に当たっては外部人材を募り、地域外の視点も入れながら進めているとした。
具体例として地場産ワインの消費拡大に向けて、広報の専門家の協力を受けてファン組織を設立。オンラインイベントも開いたことを報告した。
塩尻市の手法に注目した鳥取県は、関係人口の創出を目指す県内の自治体に情報を提供。実践に移している地域が内容を報告した。このうち大山町は、農業の担い手と労働力不足の解決を目指し、関係人口を呼び込む計画を発表した。鳥取県主催で「まちづくりワーケーションフォーラム」も開いた。休暇で訪問した先で働くワーケーションの将来像と関係人口の創出について、有識者らが意見を交わした。
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重点項目実践JA最多 自己改革着実に 20年度活動報告
JA全中は、JA自己改革の成果をまとめた「JAグループの活動報告書」の2020年度版を公表した。20年度は、重点6項目に取り組むJAの割合がいずれも過去最高。「営農・経済事業への経営資源のシフト」は63・2%が実践し前年比8ポイント増、「生産資材価格の引き下げと低コスト生産技術の確立・普及」は93・5%で同1・4ポイント増などの成果が出た。
活動報告書は18、19年度に続く3冊目。……
2021年03月07日
オンライン研修 集合型と使い分けよう
新型コロナウイルス禍で変化したものの一つに、オンライン動画の職場利用がある。中でも注目されているのが、従業員の研修や情報共有への活用だ。効果や利便性の高さから新型コロナ終息後も普及が進むと考えられる。JAでも一部で利用が始まったが、もっと広げたい。
オンライン会議にようやく慣れたというJA職員も少なくないだろう。しかし、世の中はもっと先を進んでいる。オンラインの利用は農産物のトップセールス、商談会、交流会、セミナー、産地紹介・視察など多岐にわたり、実際のイベントを再現する試みが行われている。
中でも代替という位置付けではなく、情報通信技術(ICT)を駆使した新たな選択肢として企業などが導入を進めるのが、従業員の研修やナレッジ(知識)共有でのオンライン動画の利用である。理念教育よりも専門知識やノウハウの習得といった実務型研修に適している。
例えば、岐阜県のJAぎふは昨年10月から職員教育に動画配信を導入した。ホームページの職員専用ページにアクセスして視聴できる。金融、共済、税金などの専門知識や事業推進の留意事項などを説明する動画を各部署が制作する。神奈川県のJA横浜は育児休暇中の女性職員の職場復帰を応援する集合研修をこれまで子ども同伴で行ってきたが、コロナ禍を受けてオンライン形式に切り替えた。同県のJAさがみは事業推進大会の代わりに動画配信で事業計画やコンプライアンス(法令順守)を周知した。
オンライン研修はリアルタイムで行うものの他に、例えばユーチューブチャンネルを利用して、何回でも映像を再生できるタイプのものもある。この仕組みを使えば、「いつでも」「どこからでも」「何度でも」視聴できる。JAぎふはこのタイプだが、分かりづらいところは何度でも確認できるので、習熟効果は高いとみる。
メリットはそれだけではない。広域JAや1県1JAでは研修会場までが遠くて移動に時間がかかる、業務に忙しくて一日通しの研修に出るのは無理といった悩みも改善できる。研修への参加に消極的な職員に受講を促すことにも役立つ。
もちろん集合研修には、講師と対面することで刺激を受けやすいことや、参加する職員同士の交流、相互啓発といった良さがあり、必要性を否定するものではない。どちらか一方の選択ではなく、研修目的に合わせて使い分けていくのがよい。
職員の情報共有に動画を使う手法も新しいやり方だ。例えば企業では、新商品や新規サービスなどの従業員説明を補完するツールとして利用される。一定の期間を設けて自分の都合に合わせて映像学習ができる。受講者の確認や感想アンケート、習熟度テストのサービスもある。
JAグループ内での先行的な取り組みを積極的に情報共有し、横展開したいものである。
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2021年03月06日

[米のミライ](6)加工用米 産地と地元実需 協力 活用の裾野広げる 新潟、熊本県
「パンやカップ麺のように、手軽に食べてもらえる商品にしたい」。JA熊本経済連は、県産の加工用米を使った冷凍米飯を売り込む。ご飯を炊く手間から国内の精米消費量が落ち込む中でも、電子レンジで調理できる商品ならば、消費者の簡便ニーズに応えられると商機をみる。
2009年から冷凍米飯事業に乗り出し、現在の「熊本県産こだわり炒飯」は、焼き豚やニンジンなど県産品の利用にこだわった5種類を展開。……
2021年03月04日
食料安保など重点に 中国の全人代が開幕
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は5日、北京で開幕された。2021年からの14次5カ年計画に加え、35年までの長期目標も議論し、食料安全保障などを柱に政策を定める見通しだ。食料安全保障では、種子と耕地が重要と強調。種子の遺伝資源の保護や優良品種の選抜、普及を強化し、農家支援も拡大する。……
2021年03月06日

すだち果汁EPパック JA徳島市
スダチを搾った100%天然果汁で、JA徳島市が30年以上前から製造・販売しているロングセラー商品。スダチの爽やかな酸味とすがすがしい香りが好評だ。
焼き魚や鍋料理に使えば、味や香りがぐっと引き締まる。特に秋のサンマやマツタケ、冬のフグ料理には欠かせない。「しょうゆの代わりに使えば塩分の取り過ぎを抑えることもできる」と健康志向の人からも人気がある。
1リットル入りは牛乳パックと同じサイズで、冷蔵庫のドアポケットにピッタリ収まる。スダチ約200個分の果汁が入っている。価格は1リットル入り1080円、500ミリリットル入り756円。
問い合わせはJA農産工場、(電)088(679)2411。
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2021年03月08日
地域の新着記事

[東日本大震災 あなたの分も生きた10年](1) 面影胸に今日も耕す 荒れ地芽吹いたヒマワリ
少し冷たい風が潮の香りを運ぶ夕暮れ、あの人を思い出す──。
宮城県東松島市の阿部ちよ子さん(76)はハウス4棟と露地20アールで、トマトなど年間20種類の野菜を1人で作っている。残された畑を守るのが私の使命。その思いで10年を過ごしてきた。
午後6時から1時間。震災前、ちよ子さんが一日のうちで最も好きな時間だった。故・勲さん=享年72=とのウオーキングの時間だ。「今年はどんな野菜を作ろうかね」「そろそろ田植えの準備しねどな」。勲さんが話すのは農業のことばかり。その横顔が好きだった。雨や雪が降っても外に出た。ちよ子さんが雪に足を取られて派手に転び、2人でげらげら笑ったこともある。夫が差し伸べる大きく日焼けした手。「幸せな時間だった」(ちよ子さん)
薬届けねど
10年前のあの日、勲さんの薬を取りに病院に行った。……
2021年03月08日
経営継承希望DB化 全国から新規就農募る 熊本県が支援機構
熊本県は2021年度、担い手農家を長期的に確保するため、くまもと農業経営継承支援機構を設立する。高齢などを理由に、農地や農業施設といった経営資産を譲ろうと考えている農家の情報をデータベース(DB)化。将来的にはデータをホームページで公開し、全国から新規就農者を募る考えだ。
機構は県や市町村、JA、県農業会議などで構成。……
2021年03月08日
農高では基礎固め 農大校で課題研究 即戦力を育成 5年一貫教育へ 和歌山県
和歌山県は、農業系高校と農林大学校で5年間の一貫教育に乗り出す。2022年度の高校入学生から開始。高校のうちに栽培などの基礎知識や技能を身に付けてもらうことで、大学校では果樹などについての課題研究に力を入れられるカリキュラムを検討する。担い手の減少が進む中で、即戦力となる人材の育成を急ぐ。
県によると、こうした一貫教育は全国でも珍しい。……
2021年03月08日

[震災10年 復興の先へ] 東北被災地は今…イノシシ増殖 営農再開も被害拡大に不安 帰還へ懸念材料
東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県内5町村(富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村)でのイノシシ捕獲頭数が2年連続で2000頭を超えたことが環境省の調べで分かった。人がいない状況のため繁殖が止まらず、営農を再開した農地で被害も発生。宅地に侵入するケースもあり、避難した住民が今後、帰還する上での支障になる恐れがある。(柘植昌行、中川桜)
福島5町村捕獲数 2年連続で2000頭超
水田と山林の境目にイノシシ向けの電気柵が走る。富岡町の稲作農家、渡邉伸さん(60)は「ここを突破することもある」と打ち明ける。地元の帰宅困難区域指定が解除された2017年以降、営農を再開。水田5ヘクタールを手掛けるが、イノシシに稲を踏み倒されることもあり、食害にも悩まされ続けている。
渡邉さんは家族と住むいわき市から通い、農作業を続ける。片道1時間かけて水田に到着し、被害が出ているのを見つけると、「本当に気落ちする」と話す。生息数も増えていると感じ「今後、水稲の収量に大きな影響を与えるのではないか」と不安だ。
日中にもかかわらず、宅地を歩き回るイノシシ――。大熊町の根本友子さん(73)は一時帰宅が可能になって以降、そんな光景を何度も見た。町農業委員会の会長として、営農再開に向けた水稲の実証栽培に関わり、イノシシの食害を目の当たりにした。
避難の長期化で、大熊町は「イノシシが増える環境が整ってしまった」(産業建設課)とみる。今後、町民に帰還を促すに当たり、イノシシの頭数減を課題に挙げる。町内には約150台のわなを設置。1台当たりの捕獲数を増やすため、最適な設置場所の把握などを進める方針だ。
環境省は福島県内5町村の帰宅困難区域で、13年度からイノシシの捕獲事業を開始。19年度の合計捕獲頭数は2136頭に上った。20年度も1月末時点で2128頭。2年連続で2000頭台で推移する。
農地だけでなく住宅の庭地を掘って荒らす被害も後を絶たない。環境省は18年度から捕獲体制を強化。わなを増設、捕獲期間も延長し、捕獲頭数の増加につながった。同省は「帰還する住民が安心して暮らせるよう引き続き捕獲を進める」(鳥獣保護管理室)と話す。
イノシシの生態に詳しく、富岡町で実態調査にも携わる東京農工大学の金子弥生准教授は「体格の大きさなどから考えると、餌を十分に取れている。今後も増える余地がある」と見込む。
金子准教授の試算では東日本のイノシシ生息密度は1平方キロ当たり5頭程度。一方、富岡町の調査地区は38頭と、8倍近い。そこで「帰還困難区域や周辺地域の生息密度を減らすことが重要」と強調。行政主導の狩猟人材の確保、フェンス設置による生活圏のすみ分けなどを指摘する。
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2021年03月07日

歌い奏で 農家にエール 活躍する北海道のミュージシャン
新型コロナウイルス禍で農産物の販売が苦境に立つ中、歌の力で農作物や農山村、JAを応援しようという機運が、北海道で高まっている。「北海道米」を題材に歌う音楽家、オホーツク発の音楽を奏でる“半農半ミュージシャン”、観光応援大使として市町村の楽曲を作るグループ――“道産”の音楽が地域を盛り上げている。(坂本俊二、関山大樹、望月悠希)
米の魅力ボサノバで 木村ゆうさん 札幌市
ボサノバ調の「お米のボッサ」で北海道米をPRするのは、札幌市の木村ゆうさん(30)。5歳の頃からピアノを習い、市内の大学で音楽を学んだ後、会社員との兼業で作詞作曲や演奏活動をしている。
2020年8月、食育イベントに参加した時に米の消費が落ちている現状を知った。ご飯が大好きで演奏前に欠かさず食べるという木村さんは、もっとお米を食べてもらおうと、歌を作ることにした。
歌では「指を立ててやさしく 何度も何度も何回も研いできれいにするの」と米のとぎ方を描写。「おいしいご飯をあの人と食べたいな 炊き立てを準備して帰りを待つの」とまとめた。
こだわったのが、品種名を盛り込むこと。「ななつぼし」は北斗七星、「おぼろづき」「ほしのゆめ」はきれいな風景をイメージ。「ゆめぴりか」の「ぴりか」はアイヌ語で「美しい」という意味だった。名前の由来について調べると、ますます愛着が湧いた。
単純に並べるのではなく、意味を持たせて「北に光るななつぼし ほしのゆめを見る 夜を照らすおぼろづき きらら397」と流れるように仕上げた。
各種音楽配信サイトで発表して以来、歌は好評で、演奏会でもリクエストがあるという。木村さんは「歌を通して多くの品種を知って、北海道米をたくさん食べてほしい」と願っている。
麦育てつつライブ 遠藤正人さん 北見市
「音農家」の遠藤さん(遠藤さん提供)
北見市の遠藤正人さん(40)は小麦などを35ヘクタールで栽培する傍ら、ギタリストとして精力的に活動する。自ら「音農家(おんのうか)」と名乗り、東京でもライブをして、オホーツク地方や農業の魅力を発信している。
2008年にメジャーデビューしてCD2枚、DVD4枚を発売。東京で10年間、ライブ活動やバックバンドなどをした後、32歳で畑作農家の後継者としてUターンした。今は高齢者施設や教育施設での演奏など、農作業の合間に音楽活動を展開。スタジオミュージシャンとして録音にも携わる。遠藤さんは「“音農家”として、農業の魅力や格好良さを広げていきたい」と語る。
JAとMVを制作 ハンバーガーボーイズ 札幌市
北海道観光応援大使を務めるハンバーガーボーイズ
2012年に結成された札幌市の3人組ユニット「ハンバーガーボーイズ」は、道内の各市町村と連携した楽曲を作り、地域や農家、JAを応援する。
北海道観光応援大使も務めており昨年はJAそらち南のイメージソング「NOU NOU NOUKA(ノウノウノウカ)」を制作した。ミュージックビデオ(MV)にはJAの役員や農家らが出演。新しいJAの魅力を幅広い層に発信することに大きく貢献している。
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2021年03月06日
[新型コロナ] 4都県の緊急事態宣言再延長 落胆… でも感染心配
新型コロナウイルスの感染対策として4都県に出されていた緊急事態宣言が、再延長される。経済活動の自粛・縮小で影響を受けてきた花生産者や観光農園は解除を期待していただけに、落胆の色を隠せない。一方で、東京都などの新規感染者数の下げ止まりで「延期はやむを得ない」との声も上がる。
千葉県県花き園芸組合連合会会長の朝生尅巳さん(84)は「解除になることを心待ちにしていた。残念だ」と肩を落とす。
自らも千葉県君津市のハウス2棟でカラーを生産しており「花は、卒業式や入学式、歓送迎会など今が一番の需要期だから、早く解除になってもらいたい」と早期の解除を願う。ただ「名目だけ解除となって、(感染拡大などで)後から苦しむようでは仕方がない。早く安全な時が来てほしい」と憂慮する。
埼玉県三郷市でイチゴ狩り園や農家カフェを経営する農家は「緊急事態宣言下では、1日30~40人いたイチゴ狩りの客を半分程度にした。早く解除してほしい」と話す。宣言延長については「コロナ対策も大事。仕方ないことだと思っている」。
農家カフェでは感染防止対策を徹底。そのかいあって「感染対策をしっかりしている店だと口コミで広がり、来てくれる人もいる」という。「しっかりとした対策がないまま宣言が解除されることで、お客さんが密集して感染が発生してしまうことが正直言って一番怖い」とこぼす。
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2021年03月06日

福島県産リンゴ 東峰村産ユズ グラノーラ発売 復興応援へコラボ 福岡・エフコープ生協
福岡県のエフコープ生協(篠栗町)は8日、東峰村産ユズと福島県産リンゴのコラボレーション商品「柚子(ゆず)ピールとりんごのフルーツグラノーラ」を発売する。東日本大震災から10年がたつのに合わせ、同震災と九州北部豪雨からの復興に向けた絆でつながる、両県の特産物を使った企画。同生協は「復興応援活動の象徴にしたい」と期待を込める。……
2021年03月06日

記録的な大雪 ハウス279棟が損壊 北海道・JAふらの管内
記録的な大雪となっている北海道のJAふらの管内で、4日までに118戸・279棟のビニールハウスが損壊する被害が出ている。JAは「作付けを諦める人が出る可能性もある」と危惧。修繕に向けて、資材の確保などの対応を進める。
前線を伴う低気圧が発達し、北海道を通過した。札幌管区気象台によると、富良野市の2日の最深積雪は119センチで、1979年の統計開始以降、最も大きかった。農家はハウスがつぶれないよう懸命に除雪し、ハウス内に支柱を立てるなど対策を講じたが、降雪量が多過ぎたという。
JA職員が目視で確認した管内3市町(富良野市、中富良野町、上富良野町)の被害件数は3日午後4時時点で、全壊が279棟。農家への調査も進めており、被害はさらに広がる可能性がある。被災したのは、ハウスの苗床を確保する時期を迎えていたメロン農家が最も多かった。アスパラガスや水稲の農家も被害を受けた。
JAの武田達樹常務は「作付けの維持に向けて、実態を把握し修繕に向けた資材の確保を進めたい」と強調する。
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2021年03月05日

日本型アニマルウェルフェア開発へ 集まれ“応援団” 鶏肉販売始める 信州大農学部
信州大学農学部(長野県南箕輪村)は3日、アニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼育管理)の飼育施設で育てた鶏肉の販売を始めた。研究の一環で飼育した肉用鶏を販売することで、消費者へのアニマルウェルフェアの認知度向上につなげる考えだ。
同大によると、アニマルウェルフェアの畜産物を大学の農学部が販売するのは全国初。販売するのはモモ肉、ムネ肉、手羽元の3部位で、いずれも冷凍している。
同学部では2020年7月に、アニマルウェルフェアに対応した研究用鶏舎を完成させた。鶏は1平方メートル当たりの飼育数を日本の一般的な飼育数の15、16羽より少ない11羽で飼育し、飼育密度を下げた。この他にも、鶏舎内で終日照明を点灯させずに、1日2時間連続で照明を消すなどしてストレスを軽減させ、快適な環境をつくった。
今回販売する鶏肉は、昨年12月下旬にひなから育て、2月上旬に山梨県笛吹市の加工業者に出荷した310羽分。
研究に取り組む竹田謙一准教授は「販売を通じて、消費者がアニマルウェルフェアの考え方を知り、応援団になってもらいたい」と説明する。
キャンパス内の直売所で発売。モモ肉1袋(2キロ)2000円、ムネ肉1袋(同)1500円、手羽元1袋(同)1300円。
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2021年03月04日

“和牛少年” 春のセンバツ出場 もう一度「紫」この手に 長崎県立大崎高 野球部主将 秋山さん
「おうちの牛にも(褒賞の)紫色のリボンが欲しい」と、共進会に牛を引いて出場したかつての「和牛少年」が、今度は紫紺の優勝旗を目指し春の選抜高校野球大会に挑む。少年の名は秋山章一郎さん(17)。長崎県立大崎高校野球部の主将として第93回大会に出場する。「野球ができるのも家族と牛のおかげ」と語る秋山さんは、19日の開幕に向け「応援してくれる皆さんに喜んでもらえるように、一勝でも多く勝ちたい」と、澄んだ瞳で前を見据える。
6歳で共進会入賞 牛、家族が支え
秋山さんは幼い頃から牛に興味があり、「大きくなったら牛飼いになる」が口癖だった。6歳だった2009年秋、同県雲仙市主催の和牛共進会若雌第2部に父親の清さん(45)に導かれて登場し、出品牛が1等を受賞。会場の喝采の中で、急きょ章一郎さんに「特別賞」が与えられたというエピソードを持つ。
育てた牛を和牛共進会で父親と引く当時6歳の秋山さん(長崎県雲仙市で)
野球では、名将といわれた清水央彦(あきひこ)監督に憧れを抱くようになり、清水監督が大崎高校野球部の監督に就任すると、その思いが加速。同校に入学を果たした。
同校は甲子園初出場。長崎県西海市の西の外れにある人口5000人ほどの小さな島の高校だ。生徒数は113人で、現在の野球部員は3年生が抜けて29人。全員が寮生活をしている。
秋山さんは主将として部員を束ねる。心掛けているのは、誰よりも先に行動して先頭に立つことで「自分がやらないと部員もついてこない」と話す。チームの特徴は「チームワークが良いところ」だ。
監督が考案したという丸太を使ったトレーニングはきついが、体幹を鍛えるため部員を鼓舞し、熱心に取り組んでいる。監督に対しては「いつも自分たちのことを第一に考えてくれる。監督、部長らがいなければ今の自分はない」と話す。
今は「野球に“全集中”」の秋山さんだが、牛の事も忘れない。実家で飼う牛の名前は全て覚えており、子牛が生まれれば家族から電話で知らせが入り「素直にうれしい」という。
甲子園球場には家族全員が応援に来る。「自分には、大好きな家族と、牛と、野球がある。毎日が充実している」と秋山さん。両親は「監督に野球を教えてもらえることは、息子にとって一生の宝物になると思う。一生懸命頑張ってほしい」とエールを送る。
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2021年03月03日