穀類の国際相場上昇 逼迫長期化する恐れ
2021年01月24日

小麦、トウモロコシ、大豆の国際相場が値上がりしている。年末から上昇基調にあったが、年明け以降も逼迫(ひっぱく)感が続く。予想以上に少ない米国の在庫、中国の盛んな買い付け、一部の輸出国による輸出規制の動きなどが相場を押し上げている。業界関係者によると長期化する可能性もある。(特別編集委員・山田優)
米農務省が1月中旬に発表した世界食料需給予測によると、2020・21年度のトウモロコシ、大豆は消費量が生産量を上回り、いずれも期末在庫が減る見通しだ。特にトウモロコシ、大豆ともに業界の予想に比べ在庫が少ないことが判明した。
相場上昇の背景には中国のトウモロコシと大豆の活発な輸入がある。疾病で頭数が落ち込んだ肉豚の生産増強が続いているため、飼料需要が急増したといわれている。今後も穀類の大量輸入が続くとみられる。
小麦は世界で史上最高の生産量になり、消費量も増えるものの、期末在庫量が史上最高の多さになる見通しだ。ところが、年末になって世界最大の輸出国であるロシアが、突然小麦輸出に関税をかけると発表し波紋を広げた。その後、アルゼンチンやウクライナもトウモロコシや小麦の輸出を規制するというニュースが報じられ、小麦、トウモロコシ、大豆の需給に逼迫感が強まった。21世紀に入って2回あった食料価格の高騰は、いずれも輸出規制が引き金になった。
こうした国々は、自国通貨の下落で国内でインフレ懸念が高まったことから、輸出規制を導入して国内消費者を優先する方針を打ち出している。混乱の広がりを見越し、米シカゴや欧州の相場がいずれも6、7年ぶりの高値水準まで急上昇した。
現在生育中の南米の大豆やトウモロコシは、干ばつの影響で生育が遅れている。北半球で進む品薄を解消するには力不足という見方が支配的だ。急な値上がりが続いたことで国際相場は一進一退状態になっているものの、日本国内の商社関係者の多くは「当面需給が緩和する要素は見当たらない」と解説する。
中国需要増、輸出規制も
米農務省が1月中旬に発表した世界食料需給予測によると、2020・21年度のトウモロコシ、大豆は消費量が生産量を上回り、いずれも期末在庫が減る見通しだ。特にトウモロコシ、大豆ともに業界の予想に比べ在庫が少ないことが判明した。
相場上昇の背景には中国のトウモロコシと大豆の活発な輸入がある。疾病で頭数が落ち込んだ肉豚の生産増強が続いているため、飼料需要が急増したといわれている。今後も穀類の大量輸入が続くとみられる。

こうした国々は、自国通貨の下落で国内でインフレ懸念が高まったことから、輸出規制を導入して国内消費者を優先する方針を打ち出している。混乱の広がりを見越し、米シカゴや欧州の相場がいずれも6、7年ぶりの高値水準まで急上昇した。
現在生育中の南米の大豆やトウモロコシは、干ばつの影響で生育が遅れている。北半球で進む品薄を解消するには力不足という見方が支配的だ。急な値上がりが続いたことで国際相場は一進一退状態になっているものの、日本国内の商社関係者の多くは「当面需給が緩和する要素は見当たらない」と解説する。
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鳥インフル管理点検結果 大規模「順守」97%超 農水省
農水省は19日、鳥インフルエンザの多発を受けて全国一斉に実施している飼養衛生管理の自己点検の3回目の結果を公表した。今回から鶏で100羽以上を中・大規模農家、同羽未満を小規模農家として区分。合計1万4633農場のうち、中・大規模農家の約7377農場で全7項目の順守率が97~99%となり、いずれもこれまでより改善した。全農場での順守へ向け調査を続ける。
調査は12月から毎月行っている。……
2021年02月20日

りんごまるごとバウムクーヘン 茨城県大子町
茨城県大子町の豊田りんご園未来工房が製造する。樹上で完熟させてから収穫するリンゴ「ふじ」を砂糖で煮詰めてコンポートにし、1玉丸ごと使用。リンゴの周りを生地で包み、一層一層ふんわりと焼き上げた。シャリシャリとした食感を生かした一品で、手土産にも好評だという。
2017年から同工房やJA常陸の直売所などで販売し、年間3000個ほどを売り上げる。見た目のインパクトと風味が評価され、18年には県農産加工品コンクールで最高の金賞を獲得した。
直径は12~13センチ。ファミリーマートJA常陸奥久慈店では1個1400円で販売。問い合わせは豊田りんご園未来工房、(電)0295(76)0858。
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2021年02月23日
自立支援に農業“有効” 生活困窮者 自然触れて汗流し 8割「好影響」 会話力改善も 共済総研調査
生活困窮者の自立支援で、農作業を体験してもらうと、心身の状況やコミュニケーション力が改善したとの調査結果を、JA共済総合研究所がまとめた。厚生労働省の就労準備支援事業を受託する社会福祉法人やNPO法人などに、支援を受けた人の変化を質問。精神の状況が良くなったとの回答が8割に上るなど、農業の効果が高いことを裏付ける結果となった。
事業は引きこもりや障害などを抱える生活困窮者の就労に向けて、自治体や社会福祉法人などが就労体験の場を提供し、基礎的な能力の習得を支援している。調査は、この事業を受託する201件に行い、このうち活動に農業を取り入れた77件に支援を受けた人の変化を質問。中間集計として取りまとめた。
農作業をして良くなったとの回答が最も多かったのは、精神の状況で77%を占めた。この他、体の状況が65%、生活リズムが64%で続いた。コミュニケーション力も58%と多く、生活困窮者の自立支援に農業の効果が高いことが分かった。
調査した共済総研の濱田健司主席研究員は「農業は自然に触れながら、育てた作物が成長し、販売される過程を体験できることが良い影響を与えるのだろう」と話す。共同作業が多いため、コミュニケーション力も習得できると指摘する。
栽培する品目は野菜が中心で、作業は収穫や草取り、苗植えが多い。形式は作業請負や自主運営する農園か、その両方を組み合わせている。今後の意向では、現状維持(48%)や拡大したい(34%)と、前向きな回答が多かった。
一方、農作業などの活動を79件が「取り組んでいない」「取り組むつもりはない」と回答した。その理由としては技術がない(43%)、農地などの確保が困難(39%)、施設や機具がない(38%)ことが挙がっている。
生活困窮者の自立支援で農作業をしてもらう取り組みを広めるため、濱田主席研究員は「現場の人材育成や生活困窮者と農業をつなぐ組織への政策支援が必要だ」と指摘する。
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2021年02月21日
若い頃、援農先で「ヒヤリ・ハット」を経験した
若い頃、援農先で「ヒヤリ・ハット」を経験した▼耕運機で畑を耕していた。慣れない作業、注意はしていたつもりだ。折り返そうとした時、バランスを崩し耕運機ごと横転した。幸い擦り傷で済んだが、一歩間違えれば沢に落ちるところだった。あの時、転落や下敷きで大けがを負っていたら。そう思うといまでもあわ立つ▼3月からの春の農作業安全運動を前に、農水省が初の試みで、農林水産業、食品産業が一体となった「作業安全推進Week」を26日まで開いている。シンポなどで多くの先進事例を聞けたが、痛ましい報告もあった。71歳の男性は昨年5月、離れた農地にトラクターで向かう途中、8メートル下の沢に転落し命を落とした▼2019年、農作業事故で死亡した人は281人。9割近くが高齢者で、農機事故死が65%を占める。毎年300人前後が農作業事故で亡くなっている。この半世紀変わらぬ日本農業の現実だ。数字も重いが、愛する者にとってはかけがえのない1人だ。数字の背後にある家族の悲嘆、経営の危機、地域の損失を思う時、暗たんとなる▼農水省が掲げたポスターに「『安全』こそ、何よりの収穫だ」の言葉がある。命を守る経営は全てに優先する。「ただいま」「おかえり」。毎日がそんな言葉で終われますように。
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2021年02月24日

抹濃・ほうじ茶アソートセット JA京都やましろ
JA京都やましろが販売する、京都・山城産の宇治抹茶「抹濃(まっこい)」と、ほうじ茶を使った焼き菓子。マドレーヌ、フィナンシェ、ブラウニー、キャラメルサンドの各4種で、「ほんまもんの抹茶」を感じてもらえるよう、味と香りの仕上がりにこだわった。
「抹濃」は、JAが特産茶の需要拡大で力を入れる独自ブランド。山城地域で生産された碾茶(てんちゃ)を100%使い、JAが製造・加工する。焙煎(ばいせん)の香ばしさが感じられるほうじ茶は買い上げた「刈り直し」を使った。
8個入り2160円、12個入り3000円。JAの直売所「宇治茶の郷」やインターネットで販売する。注文はフリーダイヤル(0120)200530。
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2021年02月24日
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業務用米 再び悪化 1月販売量 前年比3%減
農水省が24日公表した主要卸の1月の米の販売数量は、前年同月から3%減となり、再び前年を下回った。緊急事態宣言の発令で業務用の販売が悪化したことが影響した。昨年12月は、巣ごもり需要の高まりで家庭用米の販売が好調で、全体の販売量は9カ月ぶりに前年を上回っていた。1月も家庭用販売は好調だったものの、業務用の落ち込みを補えなかった。
1月の中食・外食向けの販売数量は13%減となり、前月より5ポイント悪化した。……
2021年02月25日

ネギ高止まり4割高 干ばつで停滞、細物多く
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2021年02月24日
コンビニ販売5%減 1月 下落幅拡大 客単価は伸び
日本フランチャイズチェーン協会が22日発表した1月のコンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで前年同月比4・9%減の8150億円となった。11カ月連続の減少で、前月より下落幅は拡大した。
政府の緊急事態宣言再発令でテレワークと外出自粛が進み、来店客数は13・2%減と、前月より減少幅が拡大した一方、巣ごもり需要に伴う「まとめ買い」で客単価は伸びた。……
2021年02月23日
就農後の収入は? 試算サイト夏にも開設 品目・面積入力で 兵庫県
兵庫県は、就農後の収入を手軽に試算できるサイトを今夏にも開設する。栽培品目や作付面積を入力すると、年間の売上高や労働時間が算出される。複数の栽培品目を組み合わせて試算することも可能にし、県は就農希望者に活用してもらいたい考えだ。
2021年度一般会計当初予算案に計上した。これまで、農業所得は実態がつかみにくく、就農後の生活設計を立てづらいとの課題があった。
サイトで入力が必要なのは、①米やトマト、イチゴといった栽培品目②各品目の作付面積③JAや直売所といった農産物の販売先――などを想定。県内でも地域ごとに販売価格に差がある品目もあるので、就農する地域の入力なども検討する。
入力後は年間の売上高や労働時間の他、資材費や販売手数料といった経費が瞬時に算出される。売上高と経費は1000円単位、労働時間は10時間単位で示すことを想定。売上高と経費から年間の収益が見通せる他、年間労働時間から必要となる労働者の人数も把握できるという。
サイトは、ひょうご就農支援センターのホームページに開設する。利用料はかからない。県は「(同サイトを通じて)就農希望者が就農後の生活設計を立てやすくなる。就農の追い風にしたい」(農業経営課)と話す。
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2021年02月22日
梨の収穫量2割減 主産地で天候不順 20年産
2020年産の日本梨の収穫量が17万500トンとなり、前年から3万9200トン(19%)減ったことが農水省の調査で分かった。主産地の関東で、天候不順などから収量が落ち込んだことが響いた。果実を収穫するために実らせた結果樹面積は1万700ヘクタールで、同400ヘクタール(4%)減。農家の高齢化などを背景に、減少が止まらない。
10アール当たり収量は1590キロで、前年を300キロ(16%)下回った。収穫量が全国3位の茨城、5位の栃木などで、開花受粉期の低温で着果数が減ったことや、夏場の天候不順で生育障害が多発し、収量が大きく落ちたことが影響した。茨城は1460キロで同30%減、栃木は1540キロで同37%減った。全国4位の福島も同17%減、6位の鳥取も同23%減った。
全国の出荷量は15万8500トンで、同3万5400トン(18%)減った。農家の高齢化など生産基盤の弱体化を背景に結果樹面積は減り続けており、10年間で3200ヘクタール(23%)減っている。
同省は、昨年改定した果樹農業振興基本方針で、日本梨を含む果樹の生産基盤強化に向け、生産性の向上が見込める省力樹形の導入を推進する方針を掲げた。21年度予算案には、日本梨の改植でジョイント栽培を導入する場合に10アール当たり33万円を助成するなど、果樹の支援対策事業に51億円を盛り込んでいる。
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2021年02月22日
輸入食品 分けて販売 コロナ検出相次ぎ対策 中国
中国では、輸入食品を国産と分けて保管・販売する卸売市場やスーパーが増えている。中南米産やアジア産の冷凍食品の搬送資材や包装資材から、新型コロナウイルスが相次いで検出され、感染防止策として国家市場監督管理総局(SAMR)が呼び掛けているためだ。
海関(税関)総局の公表によると、1月14日現在、全国から129万5692件のサンプルを抽出、調査したところ、47件から新型コロナウイルスの陽性反応が出た。昨年11月の13件から3倍以上も増えた計算だ。
この動向を踏まえ、SAMRは輸入食品の管理を強化するテレビ会議を開き、食品輸入業者や農産物卸売市場、ショッピングモール、スーパー、生鮮食品の電子商取引などに対し、全面的な調査を行う必要性を強調した。感染防止策として、輸入食品に対し、入荷の専用ルートや保管場所、販売ブースの設置を呼び掛けている。
北京の農産物卸売市場の関係者は「これまで同じ品目は、仕入れ先に関係なく、同じブースに並んでいた。しかし現在は、輸入物は専用ブースで販売することになった。国産をPRする良いチャンスではないか」とみている。
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2021年02月21日

山梨県の農畜産加工品セット 「高速バス」で輸送 エシカル消費を喚起 企業が試験販売
全国で高速バスの空きトランクを使った農産物の貨客混載輸送を手掛けるアップクオリティは、山梨県の農畜産加工品を、有機JASや農福連携など環境にも人にも優しい観点で選んだギフトセットを試験発売する。バスの貨客混載輸送でコストや二酸化炭素排出を減らし、社会や環境などに配慮した消費行動である「エシカル消費」を喚起する。
ギフトセットの販売は、山梨県の農産加工品高付加価値化推進事業の一環。同県では、新型コロナウイルス感染症の影響で……
2021年02月21日
米5カ月連続下落 15年9月以来の下げ幅 消費者物価
総務省が19日発表した2021年1月の全国消費者物価指数(15年=100)によると、食料品は前年同月比で0・1%下落し、指数は105・5だった。3カ月連続の下落。米類は過剰感から2・2%下落した。5カ月連続の下落で、下落幅は15年9月以来の大きさだった。
生鮮野菜は3・6%上昇と、3カ月ぶりにプラスとなった。……
2021年02月20日
鶏卵価格上げ基調 10カ月ぶり200円台 鳥インフル影響
鶏卵価格が上げ基調だ。18日のJA全農たまごのM級基準値(東京)は、前日比10円高の1キロ200円。巣ごもりによる特需があった昨年4月以来10カ月ぶりに200円台に乗せた。高病原性鳥インフルエンザの影響による供給減に、大手ファストフードチェーンでの卵を使ったメニューの開始に伴う需要の高まりが重なり、不足感が強まっている。……
2021年02月19日

おうち時間に対応 簡便性や家飲み提案多く スーパーマーケットトレードショー開幕
スーパーのバイヤーなど流通業者向けの国内最大級の展示商談会「スーパーマーケット・トレードショー2021」が17日、千葉市の幕張メッセで開幕した。新型コロナウイルス下で食品の消費環境が大きく変わる中、各社は「おうち時間」の増加に対応した商品提案を強化。簡便調理品や、自宅で気軽に外食気分を味わえる商品など、多様化するニーズを捉えた商材が注目を集めた。
酒類流通大手の日本酒類販売は、“家飲み”をターゲットにした日本酒やつまみなどを売り込んだ。……
2021年02月18日