ドローン空から直まき 低コスト稲作へ 10アールわずか7分
2021年01月26日

ドローンに種を供給する加茂さん(右)(静岡県浜松市で)
水稲の直播(ちょくは)をドローン(小型無人飛行機)で行う動きが広がっている。育苗、田植えが不要で作業時間が短縮できる一方、収量の安定化には課題も残る。今年は、農水省が主食用米からの転換を支援する水田リノベーション事業で、低コスト生産を交付要件としており、取り組みの拡大も期待される。“空から直まき”の可能性と課題を追った。
ドローン直播の利点は圧倒的な手軽さだ。……
ドローン直播の利点は圧倒的な手軽さだ。……
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太宰治風に言えば「恥の多い記者人生を送ってきた」
太宰治風に言えば「恥の多い記者人生を送ってきた」。新人の皆さんに掛ける言葉など持ち合わせていない▼新米時代の失敗談は数知れず。畜産の取材で繁殖農家の言う「子取り」が分からず、「小鳥を飼ってるんですか」と聞き直したり、国産レモンの栽培農家に「立派なレモンですね」と感心したら、「それは早生ミカンだ」とあきれられたり▼自戒を込めて言うが、「あいさつ」と「質問」は思いの外、君を高めてくれる。あいさつは、最も短く有効なコミュニケーション手段だ。タレントの松村邦洋さんの金言に「あいさつにスランプなし」がある。仕事はうまくいかなくても、気持ちを込めたあいさつはできる。いいあいさつには、人と運気を呼び込む力があると信じている▼質問力も侮れない。これができれば、仕事の質や人間関係は深まる。「見ることは愛情で、聞くことは敬いだ」とはコピーライター・糸井重里さんの言葉だ。「聞かれるだけで、相手はこころを開いていく」。その通りだ。フランスの哲学者ボルテールは、人の判断基準を「答え」より「問い」に置けと教えた▼元気よくあいさつして、分からないことは何でも聞こう。小学生並みと笑うなかれ。1年後にその成果は必ず出る。
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2021年04月07日
米の消費拡大運動 農家自ら意義伝えよう
米の需給緩和を契機に米の消費拡大への機運が高まっている。JAグループはキャンペーンを開始。自民党は需要拡大策を検討する。農業者も需要に応じた生産・販売を進める一方で、農業や水田の大切さを自ら発信し、米をはじめ国産農産物の消費拡大に向けた国民運動につなげたい。
JAグループが始めたのは「ごはん応援キャンペーン」。役職員が、ご飯や米製品を食べる回数を増やす。また、米のプレゼント企画などで、消費者にも米を食べる機会を増やすよう呼び掛ける。
また、自民党はプロジェクトチームを立ち上げ、新たな需要創出に向けた検討を進める。企業への聞き取りなどからニーズを掘り起こし、機能性に着目した商品開発や輸出拡大などの可能性を探る。
米の消費減の傾向には歯止めがかからない。2019年度の1人当たりの消費量は53キロと1960年代に比べ半分以下に落ち込む。また、新型コロナウイルス禍で業務用米は苦戦。伸びていた家庭向け消費も失速している。好調な麺類とは対照的だ。
米の消費拡大策を考える際は、まず多様化する消費者・実需者ニーズを踏まえ、生産・販売で工夫する努力が欠かせない。例えば、それぞれのニーズに対応した価格帯や、パックご飯、米粉製品などの生産・製造と販売、輸出などが挙げられる。
米を食べる意義を消費者に改めて訴えることも重要である。米を中心とした日本型食生活は栄養バランスに優れ、粒のまま食べるので腹持ちが良く、間食を減らせるなど健康的だ。
また米は日本の気候風土に適した作物で、主食用米は100%自給できる。水田は、洪水防止や生物多様性保全などの多面的機能も備えている。米を食べることは、安定した食料の確保につながり、さまざまな役割を果たしている水田の保全にも貢献する。
まずは、農業者ら農業関係者自らが、米を食べることのこうした意義を発信していきたい。家族や親戚、知り合いとの話の折に伝えてみる。和食の料理人でつくり、米飯給食を推進する和食給食応援団の西居豊事務局長は、栄養士や子どもたちに農業について伝える際、「生産に関わる農家の言葉が一番響く」と指摘する。特に効果的なのは農業体験の場面であろう。
米の消費拡大に向けてキャンペーンを始めたJAグループにも、消費者への一層の情報発信を期待したい。
食料・農業・農村基本計画に基づき農水省は、農業への理解を広げ、国産農産物の消費拡大につなげる国民運動を始める。幅広い組織・団体が関わることが大切で、農業者や農業団体が率先して取り組み、運動の契機としたい。
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2021年04月07日

医師会と介護で連携 専門性生かし福祉強化 広島・JA三次
広島県のJA三次と一般社団法人三次地区医師会は8日、地域の高齢者福祉サービスの充実に向け、介護事業で連携協定を締結した。医療と介護でそれぞれの強みを生かし、人材交流や研修会の開催などで連携する。協定に先立ち5日から、同JAの通所介護施設に同医師会からリハビリテーション専門職を派遣。人材育成とサービス向上に役立てる。
JAと医師会が介護事業で連携するのは全国でも珍しく県内初。……
2021年04月09日
内閣支持率続落40% 農政「評価せず」拡大 本紙モニター調査
日本農業新聞が3月に行った農政モニター調査で、菅義偉内閣の支持率が40%となった。発足直後の昨年9月に比べて18ポイント急落した12月の前回調査から、さらに4ポイント下落。不支持率は59%で、同3ポイント増えた。菅内閣の農業政策を「評価しない」人が同11ポイント増えて56%となり、支持率にも影響したとみられる。
他の報道機関の調査でも、菅内閣の支持率は発足当初の6、7割台から下落し、直近は4割前後で推移するものが多い。……
2021年04月06日
省力樹形で事例集 果樹作業負担を軽減 農研機構
農研機構は、果樹の省力樹形の栽培事例集を作成した。国のプロジェクト研究の成果をまとめたもので、開発した自動走行車両や収穫ロボットも盛り込んだ。機械が導入しやすく、作業者の負担が少ない樹形を提案し、高齢化や人手不足への対応を目指す。同機構のホームページで公開している。
対象の品目は温州ミカン、中晩かん、リンゴ、日本梨、西洋梨、ブドウ、柿、オウトウ、桃、栗。……
2021年04月08日
営農の新着記事

緑肥作物でリン酸減肥 キャベツ、ニンジン2割 ソルガムのすき込み有効 千葉県農林総研センターが実証
千葉県農林総合研究センターは、冬取りキャベツと秋冬ニンジンの作付け前に緑肥作物を栽培してすき込むと、元肥のリン酸を2割ほど減らせることを確認した。土壌微生物中のリン酸が増え、リン酸の吸収量が増えたとみる。有機物の補給効果で、土づくりにもつながると期待する。
冬取りキャベツの作付け前にすき込むために、5月下旬から6月上旬に緑肥作物のソルガムを播種(はしゅ)し、8月にすき込む。……
2021年04月09日
農機 交通死亡事故減らず 8割単独、誤操作が主因 昨年23件
トラクターなど農耕作業用自動車が絡んだ交通事故のうち、死亡事故はほとんど減らず、横ばいで推移していることが警察庁の集計で分かった。死亡事故の8割が単独事故で、その要因はハンドルなどの「操作不適」が7割を占めた。警察庁は農水省と連携して確実な運転操作や、シートベルトとヘルメットの着用などを呼び掛けている。
警察庁がまとめた「農耕作業用自動車の交通事故発生状況」によると、2020年の死亡事故は23件、重傷事故は31件。……
2021年04月08日
省力樹形で事例集 果樹作業負担を軽減 農研機構
農研機構は、果樹の省力樹形の栽培事例集を作成した。国のプロジェクト研究の成果をまとめたもので、開発した自動走行車両や収穫ロボットも盛り込んだ。機械が導入しやすく、作業者の負担が少ない樹形を提案し、高齢化や人手不足への対応を目指す。同機構のホームページで公開している。
対象の品目は温州ミカン、中晩かん、リンゴ、日本梨、西洋梨、ブドウ、柿、オウトウ、桃、栗。……
2021年04月08日

ICTを駆使 水害対策に
水害対策に、川や池の増水を知らせるシステムが相次いで登場している。近年相次ぐ水害から情報通信技術(ICT)を駆使して命を守ろうとするものだ。地域の防災関係者などに通知し、住民に知らせるなど“防災力”の向上に期待をかける。
内水氾濫を検知 亀岡電子が京都で実証
センサーメーカーの亀岡電子は3月から、水路脇や道路脇に設置する浸水検知センサー「KAMEKER(カメカー)3」を売り出した。……
2021年04月07日

農家から店舗へ イチゴ積み公道走る ロボ2台リレー自動配送 任せて 茨城県で初実験
新型コロナウイルス下、高齢化が進む農村部での新たな物流技術の開発へ──。農家から集荷した農産物をロボットが公道を走行して店舗まで自動で配送する実証実験が、茨城県筑西市の道の駅「グランテラス筑西」で始まった。自動運転技術と配送ルートを最適化する技術を組み合わせた2台が、公道を利用して作業を行うのは国内初という。担い手不足対策や高齢化などで運転免許を返納しても農産物を出荷でき、コロナ禍での接触感染防止にも期待がかかる。実験は13日まで。(木村泰之)
労力減、感染予防も
実験では、原動機付き自転車の扱いでナンバープレートを付けた公道走行用と、道の駅の敷地内を走るロボットを組み合わせて、農園前から店舗まで届ける。初日、道の駅近くの90アールでイチゴを栽培する石川正吾さん(46)が、公道走行用ロボットにイチゴ約2キロを積み入れた。ロボットは農園前から道の駅へ出発し、無人で走行した。道の駅に着くと、関係者の手で構内用ロボットに積みかえた。安全を確認する随行者と店舗までの合計約200メートルを時速3キロで走った。
石川さんは「直売所には1日7、8キロのイチゴを出荷する。忙しくなると人手もままならない。コロナ禍で人との接触を避けたい農家が、道の駅まで出向かなくても出荷できるようになる」と新たな相棒を歓迎した。
13日までに石川さんの他、片道1キロ圏内の農家から小玉スイカやミニトマトなどを集荷したり、道の駅の商品を近隣の民家に届けたりする。
このロボットは、電動車椅子を改造したものだ。ベンチャー企業のティアフォーなどが開発した。三次元地図を記憶させてセンサーで感知した周りの状況を、人工知能が選んだ最適なルートで重さ10キロまでの荷物を運ぶ。人が遠隔監視をするが、障害物があれば自動で止まる。
実験の事務局を務める東京海上日動営業企画部の松下雄担当課長は「1台で作業を完結できることが目標だ。農家からJAの集荷場など基地までの1、2キロを自動配送ロボットが出荷を担い、免許がなくても農業を続けてもらえる社会にしたい」と力を込めた。
須藤茂市長も「自動配送ロボットは、高齢化など農業を取り巻く課題の解決だけでなく、コロナ禍で求められる非接触物流システムの可能性も検証できる」と期待した。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=yswKRrjaVxs
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2021年04月06日

無角牛の精液発売 事故軽減、乳量も豊富 ジェネティクス北海道が国内初
ジェネティクス北海道は1日、生まれつき角が生えない無角遺伝子を持つホルスタイン種の種雄牛2頭の精液を発売した。同法人によると、無角遺伝子を持つ種雄牛の精液販売は国内初。無角の牛は管理作業中に人がけがなどをするリスクが減り、除角で牛にかかるストレスをなくすことができるという。……
2021年04月02日

家畜改良センター 共同利用の新種雄牛公表 「美津福重」など10頭
家畜改良センターは、広域後代検定に参加した各県の黒毛和種種雄牛から、新たに10頭が共同利用種雄牛に選定されたと発表した。選ばれた種雄牛は全国で精液が利用できる。同センターによると今年はロース芯面積に優れる牛が多いという。
次ページに「共同利用種雄牛の血統」(表)があります
2021年04月02日

堆肥だけで野菜栽培 畜ふんをブレンド 化学肥料使わずに 畜産環境技研が実証
化学肥料を一切使わず、畜ふん堆肥だけで野菜が栽培できることを、畜産環境技術研究所が実証した。窒素が主体の鶏ふん、リン酸が豊富な豚ぷん、カリが多い牛ふんそれぞれの堆肥の特性を生かし、野菜に合わせた比率でブレンドする。粒状に加工し、追肥はせず元肥だけで栽培する。安価に堆肥を粒状にする造粒技術、造粒堆肥向けの施肥設計用ソフトも開発した。
有機農産物への需要増に応えるとともに、家畜ふん堆肥の利用拡大を狙ったもの。……
2021年04月01日

イチゴのアブラムシ防除 天敵集まる大麦活用 農研機構、資材化へ
農研機構・中央農業研究センターなどはイチゴのアブラムシ対策で、大麦に集まる天敵を使った効率的な防除を実証する。天敵のアブラバチ類とすみかの大麦、餌をセットにして資材化し、従来より導入しやすく、安定した効果を狙う。実証に参加する農家の評価も高い。2021年度中に製品化を目指す。
大麦には、イチゴに無害で天敵の餌となる昆虫(トウモロコシアブラムシなど)がすみ付く。……
2021年03月31日

起源品種の遺伝追跡 リンゴで手法開発 東京大など
東京大学などの研究グループは、国内のリンゴ品種について、起源となる品種の染色体断片(ハプロタイプ)の遺伝を追跡する方法を開発した。ゲノム選抜に活用すれば、効率的な品種改良が期待できる。
国内のリンゴは主に7品種をもとに育種されてきた。多くのリンゴは母と父から1組ずつ染色体を受け継ぐ二倍体で、七つの起源品種は14種類の染色体で表せる。
研究チームは、農研機構が保有する659個体を使い、1万カ所以上のDNAの違いから、起源品種の染色体断片を追跡する手法を開発した。使用した全個体の92%を起源品種の14の染色体断片で示せた。各個体の染色体を14色で塗り分けるもので、どの品種が育種に使われたか把握できる。
染色体断片の情報と果皮色の関連を調べたところ、起源品種「ウースターペアメイン」の染色体断片が強く関連すると分かった。近年開発された品種には、この染色体断片が含まれる頻度が高いため、着色に優れるリンゴの育成に利用されてきた可能性がある。
ゲノム選抜にも活用できるとみる。酸含量が高い品種の予測では、従来のDNAマーカーを使った手法よりも精度が高かった。日本学術振興会の南川舞特別研究員は「特性の種類によって精度は異なるが、新たなゲノム選抜の手法として期待できる」と説明する。
開発技術は他の作物に応用が可能で、生産者や消費者ニーズに対応した品種開発に役立つとみる。
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2021年03月31日