日本産食品の規制緩和 輸出拡大に期待 香港
2021年01月27日
香港政府が、東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う日本産農林水産物・食品の輸入規制を緩和した。福島など5県以外の都道府県産の食品について、全食品・全ロットに義務付けていた放射性物質検査を抽出検査に変更。これまでより円滑な流通やコストの削減が見込め、輸出拡大が期待される。だが、5県についての規制は残り、早期撤廃は課題のままだ。
香港は原発事故後、福島県産の野菜や果実、牛乳などの輸入を停止。①茨城、栃木、群馬、千葉の4県産の野菜や果実、牛乳など②5県産の水産物、食肉、家禽(かきん)の卵──は条件付きで輸入を認めている。5県以外の都道府県産の食品についても、航空便や船便が香港に到着する際、全ロットを対象に放射性物質の水際検査をしていた。
今回は、この水際検査を抽出検査に変更する。緩和は1月1日付で、他国と同じ扱いになった。農水省によると、水際検査の結果が出るまで通関できず、数日かかる場合もあったという。
福島など5県産も、規制をしている野菜や果実、牛乳など、水産物、食肉、家禽の卵以外は同様の措置とする。これらの品目への規制は変わらない。
香港は、日本にとって農林水産物・食品の最大の輸出先。2019年の輸出額は2037億円で、牛肉(51億円)、リンゴ(37億円)、牛乳乳製品(36億円)、ブドウ(17億円)といった品目を輸出している。30年の政府の輸出額5兆円目標の達成を目指す上で、重要な位置付けを占めている。
同省は今回の緩和について、「香港は日本産のニーズが高い。鮮度の観点や、流通の日数の見通しが立つなど、意義は大きい」(輸出先国規制対策課)と話す。
香港は原発事故後、福島県産の野菜や果実、牛乳などの輸入を停止。①茨城、栃木、群馬、千葉の4県産の野菜や果実、牛乳など②5県産の水産物、食肉、家禽(かきん)の卵──は条件付きで輸入を認めている。5県以外の都道府県産の食品についても、航空便や船便が香港に到着する際、全ロットを対象に放射性物質の水際検査をしていた。
今回は、この水際検査を抽出検査に変更する。緩和は1月1日付で、他国と同じ扱いになった。農水省によると、水際検査の結果が出るまで通関できず、数日かかる場合もあったという。
福島など5県産も、規制をしている野菜や果実、牛乳など、水産物、食肉、家禽の卵以外は同様の措置とする。これらの品目への規制は変わらない。
香港は、日本にとって農林水産物・食品の最大の輸出先。2019年の輸出額は2037億円で、牛肉(51億円)、リンゴ(37億円)、牛乳乳製品(36億円)、ブドウ(17億円)といった品目を輸出している。30年の政府の輸出額5兆円目標の達成を目指す上で、重要な位置付けを占めている。
同省は今回の緩和について、「香港は日本産のニーズが高い。鮮度の観点や、流通の日数の見通しが立つなど、意義は大きい」(輸出先国規制対策課)と話す。
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オンライン研修 集合型と使い分けよう
新型コロナウイルス禍で変化したものの一つに、オンライン動画の職場利用がある。中でも注目されているのが、従業員の研修や情報共有への活用だ。効果や利便性の高さから新型コロナ終息後も普及が進むと考えられる。JAでも一部で利用が始まったが、もっと広げたい。
オンライン会議にようやく慣れたというJA職員も少なくないだろう。しかし、世の中はもっと先を進んでいる。オンラインの利用は農産物のトップセールス、商談会、交流会、セミナー、産地紹介・視察など多岐にわたり、実際のイベントを再現する試みが行われている。
中でも代替という位置付けではなく、情報通信技術(ICT)を駆使した新たな選択肢として企業などが導入を進めるのが、従業員の研修やナレッジ(知識)共有でのオンライン動画の利用である。理念教育よりも専門知識やノウハウの習得といった実務型研修に適している。
例えば、岐阜県のJAぎふは昨年10月から職員教育に動画配信を導入した。ホームページの職員専用ページにアクセスして視聴できる。金融、共済、税金などの専門知識や事業推進の留意事項などを説明する動画を各部署が制作する。神奈川県のJA横浜は育児休暇中の女性職員の職場復帰を応援する集合研修をこれまで子ども同伴で行ってきたが、コロナ禍を受けてオンライン形式に切り替えた。同県のJAさがみは事業推進大会の代わりに動画配信で事業計画やコンプライアンス(法令順守)を周知した。
オンライン研修はリアルタイムで行うものの他に、例えばユーチューブチャンネルを利用して、何回でも映像を再生できるタイプのものもある。この仕組みを使えば、「いつでも」「どこからでも」「何度でも」視聴できる。JAぎふはこのタイプだが、分かりづらいところは何度でも確認できるので、習熟効果は高いとみる。
メリットはそれだけではない。広域JAや1県1JAでは研修会場までが遠くて移動に時間がかかる、業務に忙しくて一日通しの研修に出るのは無理といった悩みも改善できる。研修への参加に消極的な職員に受講を促すことにも役立つ。
もちろん集合研修には、講師と対面することで刺激を受けやすいことや、参加する職員同士の交流、相互啓発といった良さがあり、必要性を否定するものではない。どちらか一方の選択ではなく、研修目的に合わせて使い分けていくのがよい。
職員の情報共有に動画を使う手法も新しいやり方だ。例えば企業では、新商品や新規サービスなどの従業員説明を補完するツールとして利用される。一定の期間を設けて自分の都合に合わせて映像学習ができる。受講者の確認や感想アンケート、習熟度テストのサービスもある。
JAグループ内での先行的な取り組みを積極的に情報共有し、横展開したいものである。
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2021年03月06日

歌い奏で 農家にエール 活躍する北海道のミュージシャン
新型コロナウイルス禍で農産物の販売が苦境に立つ中、歌の力で農作物や農山村、JAを応援しようという機運が、北海道で高まっている。「北海道米」を題材に歌う音楽家、オホーツク発の音楽を奏でる“半農半ミュージシャン”、観光応援大使として市町村の楽曲を作るグループ――“道産”の音楽が地域を盛り上げている。(坂本俊二、関山大樹、望月悠希)
米の魅力ボサノバで 木村ゆうさん 札幌市
ボサノバ調の「お米のボッサ」で北海道米をPRするのは、札幌市の木村ゆうさん(30)。5歳の頃からピアノを習い、市内の大学で音楽を学んだ後、会社員との兼業で作詞作曲や演奏活動をしている。
2020年8月、食育イベントに参加した時に米の消費が落ちている現状を知った。ご飯が大好きで演奏前に欠かさず食べるという木村さんは、もっとお米を食べてもらおうと、歌を作ることにした。
歌では「指を立ててやさしく 何度も何度も何回も研いできれいにするの」と米のとぎ方を描写。「おいしいご飯をあの人と食べたいな 炊き立てを準備して帰りを待つの」とまとめた。
こだわったのが、品種名を盛り込むこと。「ななつぼし」は北斗七星、「おぼろづき」「ほしのゆめ」はきれいな風景をイメージ。「ゆめぴりか」の「ぴりか」はアイヌ語で「美しい」という意味だった。名前の由来について調べると、ますます愛着が湧いた。
単純に並べるのではなく、意味を持たせて「北に光るななつぼし ほしのゆめを見る 夜を照らすおぼろづき きらら397」と流れるように仕上げた。
各種音楽配信サイトで発表して以来、歌は好評で、演奏会でもリクエストがあるという。木村さんは「歌を通して多くの品種を知って、北海道米をたくさん食べてほしい」と願っている。
麦育てつつライブ 遠藤正人さん 北見市
「音農家」の遠藤さん(遠藤さん提供)
北見市の遠藤正人さん(40)は小麦などを35ヘクタールで栽培する傍ら、ギタリストとして精力的に活動する。自ら「音農家(おんのうか)」と名乗り、東京でもライブをして、オホーツク地方や農業の魅力を発信している。
2008年にメジャーデビューしてCD2枚、DVD4枚を発売。東京で10年間、ライブ活動やバックバンドなどをした後、32歳で畑作農家の後継者としてUターンした。今は高齢者施設や教育施設での演奏など、農作業の合間に音楽活動を展開。スタジオミュージシャンとして録音にも携わる。遠藤さんは「“音農家”として、農業の魅力や格好良さを広げていきたい」と語る。
JAとMVを制作 ハンバーガーボーイズ 札幌市
北海道観光応援大使を務めるハンバーガーボーイズ
2012年に結成された札幌市の3人組ユニット「ハンバーガーボーイズ」は、道内の各市町村と連携した楽曲を作り、地域や農家、JAを応援する。
北海道観光応援大使も務めており昨年はJAそらち南のイメージソング「NOU NOU NOUKA(ノウノウノウカ)」を制作した。ミュージックビデオ(MV)にはJAの役員や農家らが出演。新しいJAの魅力を幅広い層に発信することに大きく貢献している。
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2021年03月06日
生協宅配の新規加入者 「収束後も利用増」の意向 生協総研が調査
生協宅配の新規加入者のうち、新型コロナウイルス収束後も利用を増やすとした回答が約3割に上ったことが、生協総合研究所の調査で分かった。コロナ下で生協宅配の新規加入を決めたタイミングは、1回目の緊急事態宣言が発令された昨年4月が最も多かった。
調査は、昨年10~11月、世帯や回答者本人が生協宅配を主に利用している全国の25~64歳の女性を対象に実施し、4881人が回答した。……
2021年03月07日

熟成黒にんにく 青森・JA十和田おいらせ
特許製法による低臭加工を施した、青森県のJA十和田おいらせのブランド「低臭プレミアムにんにく」を使っている。
JAは国内最大級のニンニク産地。健康な土づくりにこだわり、土壌診断に基づく「土の栄養バランス」を整えた畑で栽培している。粒の最深部まで熱を取り込む製法で約1カ月間熟成させた後、さらに20~30日間追熟させて仕上げる。
粒の大きさも厳選。まろやかな味わいで食べやすく、高い栄養価も期待できる。1袋(100グラム)500円という「ワンコイン」の手軽さも売りだ。
JAファーマーズ・マーケット「かだぁ~れ」で販売している。問い合わせは「かだぁ~れ」、(電)0176(51)4020。
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2021年03月03日

東日本大震災から10年 農業産出額 被災3県増加傾向 福島は水準戻らず
東日本大震災からの復興に向けた懸命の努力で、被災3県の農業産出額はいずれも増加傾向にある。だが、福島県だけは震災前の水準に戻っていない。岩手、宮城の両県が震災前を2割近く上回るのとは対照的だ。営農再開の遅れに加え、「風評被害」も課題となっている。
2018年の産出額は岩手が2727億円、宮城は1939億円。震災前の10年に比べると、それぞれ19%、16%増え、全国平均の11%を上回る伸び率となった。だが、福島県の18年の産出額は同9%減の2113億円。震災後に、震災前を上回った年は一度もない。
営農再開率3割
産出額が回復しない要因の一つは、東京電力福島第1原子力発電所事故で避難を強いられた12市町村の営農再開率が約3割にとどまることだ。12市町村の産出額は127億円で、こちらも震災前の約3割だった。
農水省や福島県などでつくる官民合同チームの調査では、この12市町村で営農再開の意向がないか未定の農家のうち、所有する農地を貸し出してもいいと考えている人が7割いた。同省は営農再開の加速に向け、こうした農地を集めて担い手にマッチング(結び付け)することが重要だと指摘。4月に施行する改正福島特措法で、これを後押しする。
同法は、市町村が行っている農地中間管理機構(農地集積バンク)を通じた農地集積の計画作成などを、福島県もできるようにした。市町村の職員が不足する避難解除区域での集積をさらに進めるためだ。新たな制度を通じ、同省は25年度末までに12市町村の営農再開面積を震災前の60%に当たる1万378ヘクタールにすることを目指す。
風評被害も課題
福島県では、風評被害も大きな課題のままだ。消費者庁の2月の調査によると、同県産の食品の購入をためらう消費者の割合は8・1%。過去最小となったが、今も一定に存在する。同県の主要農産物の価格が全国平均を下回る状況も続いている。全国平均に比べ、米は約3%、牛肉は11%、桃は16%下回る。
原発事故後、同県産をはじめとした日本産食品の輸入規制をする国・地域は最大で54あったが、15まで減った。19年の同県産の農産物の輸出量は過去最高を更新。だが日本の主要な輸出先の香港や中国などは、今も同県産の輸入規制を続ける。
風評被害の払拭(ふっしょく)に向け、同省はテレビCMやウェブを通じた県産農産物のPRなどを支援。20年には卸や小売業者に対し、同県産を取り扱わなかったり、買いたたいたりしないように求める通知も出した。輸入規制の撤廃は、昨年4月に設置した農林水産物・食品輸出本部が外務省などと連携し、各国への働き掛けを進めている。
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2021年03月07日
農政の新着記事

桃 初の10万トン割れ せん孔細菌病が多発 20年収穫量
2020年産の桃の収穫量が9万8900トンとなり、前年産より9000トン(8%)減ったことが農水省の調査で分かった。4年連続の減少で、同省の統計開始以降初めて10万トンを割り、過去最低となった。主産地の福島県や長野県などで、葉や果実に穴が開く「せん孔細菌病」が多発したことが要因。同省は20年度第3次補正予算に同病の防除対策を盛り込み、生産継続を支援する。
都道府県別の収穫量は、全国1位の山梨県がほぼ前年並みの3万400トン。同2位の福島県は2万2800トンで同16%減、同3位の長野県は1万300トンで14%減った。果実を収穫するために実らせた結果樹面積は全国で9290ヘクタールで、3%減った。一方、全国の10アール当たり収量は6%減の1060キロだが、福島県、長野県では、ともに12%の減少だった。
両県の収穫量の減少について、同省はせん孔細菌病の多発を要因に挙げる。対策として同省は、20年度第3次補正予算で、同病などを対象とした「重要病害虫等早期防除対策事業」に4億6300万円を計上した。福島や長野など、同病の被害が拡大している地域のJAや複数の農家でつくるグループが対象。発生状況の調査や枝葉の病斑の除去などの経費として、最大半額まで補助する。
希望者は、防除の時期や取組内容などを盛り込んだ事業計画書を地方農政局に提出する。予算の限度額に達していない場合、年度をまたいでの申請でも認められるが、同省は「まん延を早期に防止するためにも、早めに申請してほしい」(植物防疫課)と説明する。
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2021年03月07日
規制会議議論始まる 准組利用「組合員の判断」 農水省が方向性表明
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、改正農協法施行5年後の見直しに向けた議論を始めた。農水省やJA全中などから意見を聴取。同省は今後の検討の方向性として、JA准組合員の事業利用については「組合員の判断に基づく」との考えを示した。WG側は、農家所得増大に向けたJAの自己改革の成果を詳細に示すよう求め、数値目標による進捗(しんちょく)管理の必要性も指摘した。
WG 所得増「数値目標を」
会合は非公開。同省は各分野の改革の実施状況を総括し、方向性を示した。……
次ページに農水省が示した農協改革の検討方向の表があります
2021年03月06日
有機農業 50年に100万ヘクタール 新戦略中間案 環境負荷軽減へ 農水省
農水省は5日、環境負荷の軽減と農業生産力向上の両立を目指す中長期的な政策方針「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめ案を公表した。2050年までに①化学農薬の使用量半減②化学肥料の使用量3割減③有機農業を全農地の25%に拡大──といった意欲的な数値目標を提示。技術革新や農家・消費者らの理解などを前提とし、生産体系を大きく転換する方針を打ち出した。
次ページに新戦略のポイントの表があります
2021年03月06日
食料安保など重点に 中国の全人代が開幕
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)は5日、北京で開幕された。2021年からの14次5カ年計画に加え、35年までの長期目標も議論し、食料安全保障などを柱に政策を定める見通しだ。食料安全保障では、種子と耕地が重要と強調。種子の遺伝資源の保護や優良品種の選抜、普及を強化し、農家支援も拡大する。……
2021年03月06日
農地所有適格法人 現行要件 「支障」2割 規制会議に調査示す 農水省
政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、農地所有適格法人の議決権要件緩和を巡り、農水省に意見を聞いた。同省は、現行要件では資金調達などに「支障がある」とする法人が約2割だったとの調査結果を提示。農業関係者が今後も経営権を確保する必要性を示しつつ、一定の条件下で出資による資金調達の在り方についても検討する必要があるとの考えを示した。
同会議は、「農業者の資金調達の円滑化」を名目に、同法人の議決権要件緩和に関心を示す。……
次ページに調査結果の表があります
2021年03月06日

[米のミライ](7) 消費拡大 米卸・ミツハシ 「ご飯食=健康」発信 アスリートに照準
米の消費減少の要因の一つが、「米は太る」といった健康に関するマイナスイメージだ。しかし、米は健康的な体づくりには欠かせない食べ物。スポーツ選手をターゲットとし、米を売り込む動きが出てきた。
米卸のミツハシ(横浜市)は、大学の運動部などスポーツチーム向けの米飯宅配事業を2019年から始めた。運動前後に不足する栄養を補う「補食」に、米の需要を見いだしたためだ。……
2021年03月05日
広域捕獲 国が支援 鳥獣特措法改正で骨子案
自民党が議員立法に向けて検討している鳥獣被害防止特別措置法改正案の骨子案が4日、判明した。都道府県が市町村の枠を超えて広域的に捕獲を進める際に、国が財政支援を行うことを明記。猟銃所持許可を更新する際に必要な技能講習の免除特例の延長や、捕獲した鳥獣の有効利用の促進強化も盛り込んだ。
特措法は2007年に議員立法で成立し、今国会で4回目の改正を目指している。……
次ページに骨子案のポイントの表があります
2021年03月05日

[米のミライ](6)加工用米 産地と地元実需 協力 活用の裾野広げる 新潟、熊本県
「パンやカップ麺のように、手軽に食べてもらえる商品にしたい」。JA熊本経済連は、県産の加工用米を使った冷凍米飯を売り込む。ご飯を炊く手間から国内の精米消費量が落ち込む中でも、電子レンジで調理できる商品ならば、消費者の簡便ニーズに応えられると商機をみる。
2009年から冷凍米飯事業に乗り出し、現在の「熊本県産こだわり炒飯」は、焼き豚やニンジンなど県産品の利用にこだわった5種類を展開。……
2021年03月04日

[米のミライ](5) 地産地消 生産者自ら積極PR 官民連携で手応え 北海道深川市 ふかがわまい生産組合
米の消費量が落ち込む中、各主産地が販路拡大を模索する。北海道は、府県産米から北海道米への消費の切り替えを進める「米チェン!」運動など、地産地消を強力に展開してきた。現在、道民の9割近くが地元の米を食べている。
ふかがわまい生産組合は、JAきたそらちや深川市と連携し、生産者自らが米の営業活動に力を入れる。減農薬・特別栽培の「ゆめぴりか」「ななつぼし」「ふっくりんこ」の地産地消を推進。「産地一丸で深川産の米をPRしよう」と、2019年9月に水稲農家の統一組合を設立した。……
2021年03月03日

[震災10年 復興の先へ] 「戻らない」5割 避難先での生活定着 復興庁など 福島県4町住民意向調査
東京電力福島第1原子力発電所事故の影響を受ける双葉、大熊、富岡、浪江4町の住民のうち、避難先から「戻らない」と考える人が5割を占めることが復興庁などの2020年度調査で分かった。19年度と比べて4町とも帰還した住民は増えているが、戻らない人の割合の方が依然高い。既に避難先での生活が定着し、帰還しにくい人が多いことが背景にある。
「戻らない」の割合を町別にみると、双葉町が62・1%、大熊町が59・5%、富岡町が48・9%、浪江町が54・5%。いずれも19年度調査とほぼ同じ水準のまま変わっていない。
帰還しない理由は、富岡町では「既に生活基盤ができている」が最多の60・1%。大熊、浪江各町も同様に最多だった。双葉町も「避難先で自宅を購入し、今後も住む予定」がトップだった。避難生活が長期化する中、仕事が定着したり、友人が増えたりしたことで、元の町に戻るのを見合わせるケースは多い。
一方、4町とも帰還するかどうか「まだ判断がつかない」が2割程度いた。帰還を判断するのに必要な条件として多く挙がったのが医療・介護施設の確保。「医療・介護の復旧時期のめど」が最多の56・8%だった浪江町を含め、各町とも同様の回答がトップだった。
避難指示が一部解除された大熊、富岡、浪江各町は、いずれも10%未満ながら「戻っている」との回答があった。最も高かったのは富岡町の9・2%で、前年度から1・7ポイント増えた。各町とも19年度を上回った。
帰還を決めた理由は「(帰還先の)生活は気持ちが安らぐ」が多く、浪江町は68・8%、富岡町は52・4%だった。大熊町は「役場機能が再開した」が最多の43・5%。故郷を思う気持ちに加えて、行政機関が機能していることが帰還の動機になっている。
今回の調査は4町に加えて、川俣町山木屋地区も対象。「戻っている」との回答は37・8%で、19年度調査と同様に一定数が帰還している。避難指示区域が解除されていることも影響しているとみられる。
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2021年03月03日