就農支援交付予算1割超減 対象者拡大も… 自治体から異論相次ぐ 担い手育成確保に懸念

 新規就農者を支援する「農業次世代人材投資事業」の2019年度予算が昨年度に比べ1割以上減額されたことで、全国の自治体に波紋が広がっている。複数の自治体によると、研修や経営開始を予定していた若者が給付されない他、既に交付されていた就農者も今年度は継続されない可能性があるとしている。対象年齢の引き上げなどで今年度から対象者を広げた一方で、予算を減額したことに対し、自治体から「現場に説明できない」などの声が上がる。

 同事業は今年度、支給対象の年齢を原則45歳未満から50歳未満に引き上げた。一方で、今年度の予算は154億7000万円で昨年度の175億3400万円に比べて20億円以上減額した。17年の行政改革推進会議で事業の効果に対して厳しい指摘が出ていた他、緊縮財政から財務省の予算削減圧力が強いことなどが背景にある。

 農水省は理由の一つに、今年度から経営開始型交付3年目に経営確立の見込みなどを審査する「中間評価」が始まり、その評価次第では、支給が打ち切られる受給者が出ることを踏まえたと説明する。同省は「社会保障とは異なり、年齢や就農意欲など要件に当てはまっても全員もらえる支援ではない」と主張する。

 過去の実績などを踏まえ同省は3月、都道府県に予算を配分した。だが、実態に即した要望額を同省に提示していた自治体から異論の声が相次いでいる。「対象を広げたにもかかわらず、この予算では新規採択だけでなく継続も含めて厳しい。事業を頼りにする若者に説明できない」(香川県)、「大変困った状況。事業費が足りないことは明らか」(熊本県)などと困惑が広がる。「国に予算確保をお願いするしかない」(鹿児島県)と対応を求める声が上がる。

 自治体担当者によると担い手育成に直結する同事業の減額は、他事業の減額に比べてより影響が大きいという。市町村からは「就農を目指して前職を退職するなど、退路を断った若者の人生を左右する問題。地域の営農計画も頓挫する」(岡山県新見市)などの批判が出る。

 自治体の困惑に対し、同省は「必要な人を見極めて交付してほしい」と呼び掛けるにとどまる。同事業の成果もあり、17年の新規就農者は5万5670人。うち49歳以下は2万760人で、4年連続2万人を超えた。予算減額が今後の就農者数に影響する懸念がある。

<ことば> 農業次世代人材投資事業

 12年度に前身の就農給付金事業から始まった。就農前の研修期間に最大150万円を最長2年交付する「準備型」と、新規就農者の定着へ就農から最長5年間、同額を交付する「経営開始型」の2本立てで構成する。17年度までの6年間で準備型8916人、経営開始型1万8235人が受給してきた。 

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