豚コレラ長期化 関係業者に波紋 取り扱い激減 危機感広がる 岐阜

取り扱いが激減した豚の枝肉。県畜産公社は「波紋が広がり深刻な事態」と訴える(岐阜市内で)

経営続けられぬ


 岐阜や愛知でまん延する豚コレラの影響で、家畜市場やと畜、内臓処理などさまざまな関係業者の経営が苦境に立たされている。岐阜市食肉地方卸売市場では取扱頭数が発生前の半分以下に急減。養豚農家の出荷から精肉になるまで多くの業者が関わる地域産業だけに、経営者から深刻な訴えが相次ぐ。発生後に営農を再開する農家は一戸もいない現実が重くのしかかる。(尾原浩子、関山大樹)

 発生前の飼養頭数のうち46%(約5万1000頭)が殺処分された計算になる岐阜県。同市場を運営する県畜産公社によると、発生前の2017年度は豚7万頭を取り扱っていたが、豚コレラの影響で今年度は2万5000頭にまで激減する見通しだ。発生前は20戸だった出荷農家は7戸に減った。枝肉のせり価格は1・3倍程度高騰しているが、出荷頭数が長期間減り続け、経営を直撃している。同公社の浅野渉常務は「飼育から精肉までたくさんの人が携わる畜産業だけに、影響は計り知れない。死活問題だ」と状況を説明する。

 同市場で内臓など牛や豚の副産物処理を担当するトーカイ・パッカー。1日300頭受け入れていたが、今は30頭を下回る日もある。売り上げの減少を人件費削減でしのいできたが、代表の福田正夫さん(60)は「もう限界。岐阜から養豚業が消える事態だ」と危機感を募らす。

 発生前に比べ売り上げが3割以上減ったと畜を担う岐阜市場調理士会。23人の従業員に給料を払うことが難しくなってきた。従業員を減らすと、と畜そのものができなくなる。代表の丹菊弘信さん(61)は「先が全く見えない。このままでは財源が枯渇し経営が続かない」と明かす。
 

苦渋の値上げ 県外産調達も


 養豚農家やJA、同公社、関連業者、精肉店などがタッグを組んで多くの銘柄豚を育成し、地域経済の一翼を担ってきた。同市の丸栄西村精肉は月内に、据え置いてきた「美濃ヘルシーポーク」の値上げに踏み切る。地産地消で経営してきたが、県外産も調達せざるを得ない。代表の西村琢磨さん(48)は「県産は絶対数が激減している。農家やJAと苦労してともにブランド化してきただけにつらい選択」と険しい表情だ。

 関市の中濃ミート事業協同組合は、と畜頭数が8割以上も減った。早瀬敦史理事長は「仕事がないので収入がない。全く展望が見えない」と苦悩する。

 県畜産公社の丹羽誠常務は「他の家畜伝染病とは期間も事態も大きく異なる。農家への支援は当然だが、関連業者にこのまま支援がなければ、豚コレラが終息しても復興できない状況となる」と不安視する。

 波紋の広がりは愛知県でも同様だ。県養豚協会の小林功理事長は「輸送業者や飼料会社など裾野が広く、地域への影響は今後より深刻になる」と危機感を示す。

 農水省によると、現時点で関連業者には損失補償はない。ただ、早期出荷も踏まえ「影響が及ぶ関連業者へのセーフティーネット、支援策を検討していく」とする。
 

おすすめ記事

経済の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは