[未来人材] 32歳。家畜福祉取り入れ酪農、6次化を模索 「命頂く重み」伝える 千葉康次郎さん 北海道鶴居村

牛を世話する千葉さん(北海道鶴居村で)

 北海道鶴居村の酪農家、千葉康次郎さん(32)は、アニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)を経営に取り入れる。「牛が健康に暮らせることが重要」と考え、放牧や行動の自由度が高いフリーバーンの牛舎を採用。厳しい認証基準をクリアしつつ、牛乳作りなど「6次産業化にも乗り出したい」と意気込む。

 乳牛約100頭(搾乳頭数約70頭)を育てる。実家は酪農を営んでいたが、中学や高校などで野球部のピッチャーとして鳴らし「野球のことしか考えていなかった」と話す千葉さん。だが、23歳の時に、父・喜好さんが経営する実家に戻って就農した。

 喜好さんが2014年に牛が自由に歩き回ったり寝たりできるフリーバーンの牛舎を新築。経営者となる覚悟が固まった。遠くからも目に入る鮮やかな牛舎のオレンジ色は、千葉さんが選んだ。「目立つ色にすることで、牧場のシンボルにしたい」と考えたからだ。新牛舎は「疾病が減り、分娩(ぶんべん)間隔も短くなった」と話す。

 毎年5月中旬~10月ごろに放牧する。就農前から放牧に関心を持っており、大好きな牛が健康に暮らす様子を見てやりがいを感じている。

 アニマルウェルフェア畜産協会の認証を取得したのは、17年。脚の状態を良好に保ち、外傷もなくすなど牛の健康を大切にする他、1頭当たりの牛床や畜舎の面積を一定以上とし、水の清潔さにも気を配る。

 印象深いのは、アニマルウェルフェアの基準の一つ、起立不能の廃用牛を運ぶ際の獣医師による安楽死を見守ったときのことだ。愛情を持って育てた牛を目の前で殺すことに抵抗があり悩んだ末に現場に臨んだ。「命の重さを感じ、アニマルウェルフェアの奥深さを実感した。消費者にも知ってほしい」という。

 現在は、一緒に働く若い従業員への教育にも力を入れている。「アニマルウェルフェアやフリーバーン牛舎など、個性的な経営ができ、酪農を継いだことは正解だった」と振り返る。経営者となって、その個性をより発揮したいという思いから6次化にも挑戦したいと考えている。(望月悠希)
 

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