下村彩里さん(テレビ朝日アナウンサー) 文化つなぐ食の力に感心

下村彩里さん

 高校を卒業後、バレエで留学した経験があります。バレリーナは一種のアスリートで、食もすごく大事。日本食に助けられました。

 最初はカナダのカルガリーに1年半。日本食材屋さんを見つけて、お米や冷凍のサンマ、いろんな缶詰を買いました。お店はバスを乗り継いでいかないといけない場所でしたが、週に1回、日本食材を買うのは楽しみでした。

 カルガリーは冬になるとマイナス20~30度になります。向こうではお米は10キロからしか売っていないんですね。すごく険しい雪道を10キロのお米を抱えて帰って来た姿を見て、ホームステイ先のホストマザーに「オー・マイ・ガー(何、これは)」と驚かれました。

 イタリアではミラノに1年住みました。この時は寮に滞在していたのですが、毎日食事はピザやパスタ。厳しい体重管理もあったためハイカロリーなものはあまり食べられず、結果としてとても痩せてしまいました。
 

留学で和食派に


 そこで中華街にある日本食材屋さんに買いに行って、できるだけ自炊をするようにしました。日本産のお米もたくさんの種類が売っていました。中国産などとは値段が1桁違うんですが、日本産のお米にしました。

 都会なので、日本食のレストランもたくさんありました。だいたいがおすし屋さんですが、お弁当やカツ丼などを出すお店もありました。ほぼ毎日そこに通ったので、働く人たちとすごく仲良くなりました。あまりにも寮の食事が合わない姿を見て、お弁当を作ってくれたりもして。ふたを開けたら、白米の真ん中に梅干しが載り、おかずに煮魚が入っていました。涙が出るほどうれしかったです。

 留学するまではどちらかというと洋食派でした。高校時代は毎朝、菓子パン。でも帰国後、最初に食べたかったのは卵掛けご飯。父から「食の趣味が変わった」と言われました。
 

一口のすしで…


 小学生の子どもたちを連れて、国際交流をするプログラムに参加したことがあります。アルゼンチンに1カ月くらい滞在して、12カ国から参加した各国4人の子どもとリーダーが交流するんです。

 それぞれ1日ごとに自国の料理を作って振る舞うという日がありまして、私たちの番の日は握りずしを作ったんですね。皆、喜んでくれたんですが、フィンランドの女の子が「私はすしが大嫌い」と言い、いじけてしまいました。その子のために別の料理も用意したんですが、日本人の子がその子に「一口、おすしを食べてみて」と勧めて。それで食べたら、瞬間に目の色が変わったんです。「私はすしが好きになった」と。

 英語もよく話せない10歳の子どもたちが、それをきっかけに仲良くなり、折り紙を教え合ったりし始めたんです。食で文化交流が始まる様子を見て、感心しました。

 テレビ朝日に入社し、天気予報を担当して1年が過ぎました。先日、霜注意報が出た時に「なんで春になって出すのだろう」と疑問に感じたんです。それで気象予報士の喜田勝さんに教えていただきました。農作物が霜によって傷んでしまうことが考えられるので、春に出されるんですね。気象と農業が密接に関係していることを、改めて考えさせられました。

 これからもっともっと学んでいきたいと思っています。伝える時に、自分自身が知っているのと知らないでいるのとでは、言葉の選び方も違ってきますから。2年目に入りやりがいを感じています。(聞き手・写真=菊地武顕)

 しもむら・さいり 東京都生まれ。日本女子大学卒。2019年、テレビ朝日に入社し「報道ステーション」で気象情報を担当。気象予報士の喜田勝氏に、視聴者の視点で質問をする。趣味は踊ること。特技は姿勢改善のストレッチ指導。幸せを感じる時は「満天の星を見ている時」と「おいしい日本食を食べる時」
 

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