[未来人材] 28歳。島に単身移住高品質トマト拡販 「農業女子」増やすぞ 広島県大崎上島町 狩又恵美さん

大きく育ったトマトを収穫し笑顔の狩又さん(広島県大崎上島町で)

 広島県大崎上島町の狩又恵美さん(28)は、2016年に瀬戸内海に浮かぶ島に福岡県から単身移住し、ハウス10アールのトマト農園を切り盛りする。島の先輩農業者に助けられながら、就農2年目の19年度は秀品率を8割に高めた。トマトはJA広島ゆたかや広島市のスーパーに出荷する他、規格外品を使ったソースやドレッシングなど6次産業化に取り組み、女性が農業で一人立ちできる生き方を実践する。

 福岡市出身の狩又さん。実家は農家ではないが、花を育てるのが好きな子どもだった。大学在学中に知人に誘われ、焼きたてパンの移動販売経営に参加した。事業は順調で卒業後も経営を続けたが、規模が広がり、人を使う仕事が増えるにつれ、「本当にやりたい仕事か」と悩むようになった。

 人生を見つめ直すため、福岡県八女市に移住して田舎暮らしを始めた。およそ2年、アルバイトの傍ら水田7アールで米を作った。1人で米作りに携わる中、自分の原点は「何かを育てるのが好き」と気付き、農業をなりわいとする決心をした。

 就農先を探し、研修など受け入れ体制が整い、Iターン就農の先輩も多い大崎上島町にたどり着いた。島はかんきつの栽培が盛んだったが、母や姉が好きなトマトでの就農を希望した。

 16年に移住。町の紹介で、トマトを生産する西田秀夫さん(71)の下で1年間研修を受け、18年にハウスの一部を借り受け、独立就農した。

 養液土耕栽培で7月に定植し、翌年6月まで収穫する。栽培当初は失敗続き。初収穫は全てB、C等級品。「知識を実践する難しさを知った」。2年目は西田さんに教わりながら、土づくりに一から取り組んだことで施肥と水やりを見直し、19年度はA等級品を8割まで高められた。

 販売では、先にIターン就農でレモンを育てる先輩農業者の紹介で、岡山県や広島県でスーパーを運営するユアーズのバイヤーに売り込み、広島市のスーパーへ販路を広げた。

 買い手の気持ちを考えた営業トークなど「移動販売車での経験が生きた」。18年度年間60万円だった売り上げは、19年度は約170万円に伸びた。

 規格外品を活用し、トマトカレーやソース、ドレッシングなど商品化も進める。収益性を高めながら、「女性一人でも農業で生計を立てられることを示して、農業女子を増やしたい」と目を輝かせる。
 

農のひととき


 島に暮らす年の近いIターン就農の農業女子と毎日会って、食事やランニング、おしゃべりをする。地域住民と商品づくりのワークショップなどで交流。町の紹介で古民家に猫2匹と暮らし、充実した島ライフを送る。

 県内の高校生や大学生の農業体験も積極的に受け入れる。「生産者という仕事や地産地消の生き方の魅力を伝えられる農家になりたい」と笑顔を見せる。
 

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