持続的な生産・消費 国産選択の動機付けに

 農林水産物や食品の「持続可能な生産・消費」を広めることを目的に、農水省と関係団体や企業などが参加する「あふの環(わ)2030プロジェクト」が動きだした。国産を積極的に利用し国内農業を支えるという価値観を、消費者や企業に定着させる契機とすべきだ。

 プロジェクトは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の2030年までの達成を目指す一環でもある。地球温暖化の抑制や生物多様性の保全など環境に配慮しながら食料を生産し、国民が積極的に消費する。買い物で環境や農林水産業を支えるとの発想が底流にある。

 農業生産を維持する原動力として江藤拓農相は「消費者の方々の購買行動」を挙げる。「あふの環」の名前は古語の「会ふ(出会う)」にちなんだことに加え、生産と消費が連携の環をつくるとの意味を込めた。消費者の理解を重視する。

 どの農林水産物や食品を買うかは消費者の自由だ。環境配慮の農林水産物が割高な場合でも、消費者に手を伸ばしてもらう動機付けが必要だ。食料安全保障の確立のために、国産を選んでもらうことも重要である。

 追い風は吹いている。新型コロナウイルス禍の中でも食料の生産と供給は途絶えず続いた。国内で農業生産が持続していることの大切さを再認識する動きが広まりつつある。消費者や企業が、「国内農業への応援が必要」「割高でも国産を買い支える」という価値観を育む好機である。地球温暖化防止の意識の高まりも同様だ。環境に配慮して生産されても、それが外国産なら日本までの輸送に多くのエネルギーを消費し、二酸化炭素(CO2)を排出する。

 プロジェクトには現在、JA全中や農林中央金庫などの農業団体、生協、食品メーカー、小売りなど83の企業・団体が参加。活動内容を「サステナ宣言」と題して表明している。「持続可能な原料調達」を掲げる大手の小売りや食品メーカーもある。食料自給率の向上には輸入原料の国産への切り替えが必要だ。貢献に期待したい。

 農水省には、食料・農業・農村基本計画に掲げた国内農業の生産基盤の強化と将来にわたる多面的機能の発揮を目指し、企業・団体の取り組みを後押しすることが求められる。17~27日には関連イベント「サステナウィーク」を展開する。共通ロゴを使った店頭販売やインターネットでの情報発信を行う。対象の商品や活動の例として同省は「化石燃料の使用を減らす」「家畜飼育に国産飼料(おおむね8割以上)」などを挙げる。

 環境に配慮した生産には設備投資やコスト抑制などが必要だ。国の支援が求められる。取引価格も再生産可能な水準でなければならない。それには消費者や企業が、生産側の取り組みを正当に評価することが欠かせない。環境を守ることへの対価をどう支払うか。プロジェクトを通じ国民的論議を促すべきだ。

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