いまにして思えば、楽しいことのほとんどが「密」だった

 いまにして思えば、楽しいことのほとんどが「密」だった。しみじみそう思う▼居酒屋、音楽ライブにスポーツ観戦、寄席や映画もそう。あの嫌な会議や打ち合わせだって、口角泡を飛ばしていた頃が懐かしい。はやりのソロキャンプや1人焼き肉もいいが、やはり楽しさは人との距離に反比例する▼来月からは政府の観光支援の対象に東京も加わるけど、行く人も迎える人も恐る恐るだろう。飛行機や電車でマスク着用を巡るトラブルも絶えない。世知辛い世の中、人との距離をどう測るか。ヤマアラシの寓話{{ぐうわ}}を思い出す。冷たい冬の日、2匹のヤマアラシが身を寄せ合う。くっつくと相手のトゲが当たり痛い。離れると寒い。繰り返すうちに、互いを傷つけず、程よく温め合う距離を見つけ出す▼コロナ禍でなくとも家庭、学校、職場での人間関係は難しい。「1人でいると孤独感。2人でいると劣等感。3人でいると疎外感」。そんな言葉にうなずいてしまう。そこに見えないウイルスの恐怖が輪をかける。「4人でいると罪悪感」となろうか。密を避け過ぎると疎遠になり、近過ぎると感染リスクが増す。何とも悩ましい▼歌謡曲風に、会えない時間が愛を育てるなら、近づけない距離が育てるのは思いやり、それとも不信。ヤマアラシ君、教えて。
 

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