まばゆいばかりの黄金の光の中で、天下人は何を思ったのだろう

 まばゆいばかりの黄金の光の中で、天下人は何を思ったのだろう▼上野公園の東京国立博物館で開かれている「桃山 天下人の100年」をのぞいた。戦国武将が下克上でのし上がる室町時代末期から、江戸時代初期にかけての激動期。そこで作られた、230点の美術品が集まった。狩野派らによる豪壮で華麗な作品に囲まれる空間に立って、天下人秀吉が手にした「黄金の美」にしばし酔いしれる▼この時代の築城は、戦うための城造りから、見せる城造りに変わった。豪華さを強調して、相手を威圧する「見栄の城郭」(小和田哲男著『城と秀吉』)である。建物の中を飾ったのは、金箔(きんぱく)を基調にした障屏(しょうへい)画。ふすまや壁、びょうぶには、花鳥風月の金碧(きんぺき)画が描かれた。金地の輝きが、光の少ない室内に絶妙な照明効果をもたらし、一種の幻想を醸し出す▼さて権力の魔力に取りつかれたような、トランプ米大統領である。大統領選の敗北を認めようとせず、法廷闘争を続ける。潔さに欠けるような物言いに、未練が渦巻く。いくらしがみ付いても、選挙結果が覆ることは難しかろう。既にバイデン氏が率いる米国は、「分断」から「結束」へかじを切った▼秀吉の辞世を重ねる。〈露と落ち/露と消えにし/我が身かな/浪速のことは/夢のまた夢〉
 

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