1936年の夏、月に向かった日本人3人が行方不明になった

 1936年の夏、月に向かった日本人3人が行方不明になった。そして10年。月の生物と一緒に地底で暮らしているところを捜索隊が発見した▼日本SF界の先駆けの一人、海野十三の『月世界探検記』の筋立てである。これより前、日本人が月に降り立つ小説は明治期には登場した。月に行くのは時代を超えたロマン。それが間近に迫る▼米国主導の月探査「アルテミス計画」に日本も参加する。2024年までに人類を再び月に送る。月を回る宇宙ステーションも建設する。そこを拠点に月面を探査する。有人火星探査の技術実証も行う。日本の目標は日本人の月面着陸である。資源開発にも乗り出す。氷があるとされ、水素燃料にする。ルール作りも始まった。資源の扱いなどの原則に8カ国が合意した。宇宙大航海時代の幕開けである▼と、手放しでは喜べない。米国と覇権を争う中国とロシアは先の合意には参加せず、月面基地建設を独自に構想する。冒頭の小説では月の金塊を巡って殺人事件が起きたが、現実世界でも資源の争奪戦の勃発が危ぶまれる。国連の月協定は休眠状態。資源開発が現実化した今、法の支配が要る▼月の平和を乱す者は「月にかわっておしおきよ!」。『美少女戦士セーラームーン』(武内直子著)よろしく、国際社会が声を上げねば。
 

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