酪農の魅力伝えたい 「働き方改革」実践 北海道
2020年12月03日

牛の生育状況を確認する鈴木夫妻と川目部長(右)(北海道中標津町で)
北海道の酪農地帯で「働き方改革」が着実に進んできた。かつては朝から晩まで働きづめのイメージが根強かった酪農を「魅力ある仕事」にしようと、JAなどが作業受託環境を整備し、酪農家も自ら省力化を実践。10年間で家族労働時間は年間100時間近く減り、完全混合飼料(TMR)センターは15年間で10倍に増えた。趣味や家族の時間を楽しめる、ゆとりある経営が広がりつつある。(尾原浩子)
全国屈指の酪農地帯、北海道根釧地域。中標津町計根別地区の酪農家、鈴木ひとみさん(49)は「ここ数年で拘束される時間が大きく減って、子どもとの時間も持てるようになったの。子どもにも『酪農家はすてきな誇りある仕事なんだ』と伝わっていると良いな」と笑顔を見せる。
経産牛140頭を夫婦2人で飼育する鈴木さんの働き方は、ここ数年で激変した。かつては飼料を全て自前で栽培していたが、JAけねべつのTMRセンター「アクシス」の構成員になったことで飼料が供給されるようになった。自身もフリーストールを新設し搾乳ロボットを2台導入するなど、国の事業を活用して規模拡大と省力化を並行して進めた。1日の労働時間はここ数年で2時間は減った。一方で頭数を増やし乳量は過去5年で3倍に増やしたという。
夫の直良さん(48)は「これまで切り詰めて仕事をしてきたが、余裕ができたのがうれしい。特に、負担を掛けていた妻が余暇の時間を持てることが良かった。牧草収穫の手間もなくなり、牛の管理がしっかりできるようになった」と成果を実感する。
JAでは2011年度から「アクシス」で飼料栽培からサイレージ調製までを担う他、各酪農家の乳量や乳成分など生乳データを集めている。データを分析し、不調の予兆を把握して酪農家につないだり、飼料設計に生かしたりする。「アクシス」をモデルにして新たなセンターもできている。
作業の外部委託も積極的に進める。JAでは牛が出したふん尿処理や哺育・育成なども受託する環境を整えた。
JA購買部の川目剛部長は「『稼げない』『きつい』『臭い』『危険』『汚い』の“5K”だった酪農は、ここ最近で大きく変わった。受け入れ体制を整えたことで、道外の若者も新規参入するようになってきた」と喜ぶ。
北海道では近年、TMRセンターの設立が相次ぐ。2003年に8組織だったTMRセンターは、18年には10倍の80組織に増えた。牧草収穫などを受託するコントラクターは18年で154組織。生まれたばかりの子牛を預かり初妊牛にして返す哺育・育成専門農家は78戸で、年々増えている。ロボット搾乳は19年に299戸590台と、普及が加速化している。
1農家が1年間に酪農ヘルパーを利用する日数は、09年の16・54日から18年の23・16日へと、1週間近く増えた。ただ酪農ヘルパーは慢性的に不足しており要員確保は道全域の課題となっている。
営農類型別経営統計(北海道2018)によると、年間の家族労働時間は酪農が6712時間で、10年前(6809時間)に比べて減っている。ただ、水田作(2388時間)、畑作(2966時間)に比べると、突出して多いのが実態だ。
酪農学園大学の荒木和秋名誉教授は「酪農家の労働時間は、環境整備で大きく減ってはいる。各地で酪農家を目指す若者を育てようという機運も、高まってきた」とみる。
魅力ある仕事にしていくため「働き方改革」が必須だとした上で「外部委託は経費を伴う。若者の新規就農を地域ぐるみでもっと広げ、次世代に産地をつなぐためにも、安定的で将来を見据えることができる政策が必要だ」と指摘する。
外部委託や機械化で余裕のある生活へ
全国屈指の酪農地帯、北海道根釧地域。中標津町計根別地区の酪農家、鈴木ひとみさん(49)は「ここ数年で拘束される時間が大きく減って、子どもとの時間も持てるようになったの。子どもにも『酪農家はすてきな誇りある仕事なんだ』と伝わっていると良いな」と笑顔を見せる。
経産牛140頭を夫婦2人で飼育する鈴木さんの働き方は、ここ数年で激変した。かつては飼料を全て自前で栽培していたが、JAけねべつのTMRセンター「アクシス」の構成員になったことで飼料が供給されるようになった。自身もフリーストールを新設し搾乳ロボットを2台導入するなど、国の事業を活用して規模拡大と省力化を並行して進めた。1日の労働時間はここ数年で2時間は減った。一方で頭数を増やし乳量は過去5年で3倍に増やしたという。
夫の直良さん(48)は「これまで切り詰めて仕事をしてきたが、余裕ができたのがうれしい。特に、負担を掛けていた妻が余暇の時間を持てることが良かった。牧草収穫の手間もなくなり、牛の管理がしっかりできるようになった」と成果を実感する。
JAでは2011年度から「アクシス」で飼料栽培からサイレージ調製までを担う他、各酪農家の乳量や乳成分など生乳データを集めている。データを分析し、不調の予兆を把握して酪農家につないだり、飼料設計に生かしたりする。「アクシス」をモデルにして新たなセンターもできている。
作業の外部委託も積極的に進める。JAでは牛が出したふん尿処理や哺育・育成なども受託する環境を整えた。
JA購買部の川目剛部長は「『稼げない』『きつい』『臭い』『危険』『汚い』の“5K”だった酪農は、ここ最近で大きく変わった。受け入れ体制を整えたことで、道外の若者も新規参入するようになってきた」と喜ぶ。
課題は経費増 安定した後押し必要
北海道では近年、TMRセンターの設立が相次ぐ。2003年に8組織だったTMRセンターは、18年には10倍の80組織に増えた。牧草収穫などを受託するコントラクターは18年で154組織。生まれたばかりの子牛を預かり初妊牛にして返す哺育・育成専門農家は78戸で、年々増えている。ロボット搾乳は19年に299戸590台と、普及が加速化している。
1農家が1年間に酪農ヘルパーを利用する日数は、09年の16・54日から18年の23・16日へと、1週間近く増えた。ただ酪農ヘルパーは慢性的に不足しており要員確保は道全域の課題となっている。
営農類型別経営統計(北海道2018)によると、年間の家族労働時間は酪農が6712時間で、10年前(6809時間)に比べて減っている。ただ、水田作(2388時間)、畑作(2966時間)に比べると、突出して多いのが実態だ。
酪農学園大学の荒木和秋名誉教授は「酪農家の労働時間は、環境整備で大きく減ってはいる。各地で酪農家を目指す若者を育てようという機運も、高まってきた」とみる。
魅力ある仕事にしていくため「働き方改革」が必須だとした上で「外部委託は経費を伴う。若者の新規就農を地域ぐるみでもっと広げ、次世代に産地をつなぐためにも、安定的で将来を見据えることができる政策が必要だ」と指摘する。
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2021年01月27日
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2021年01月28日

イチゴ増産応援 ふるさと納税 JA農福連携に寄付 三重県志摩市
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JAは農福連携による障害者雇用を通じ、「レッドパール」の生産量維持と市内の農業活性化を目指している。障害者が働きやすい環境のため、施設のバリアフリー化に取り組む。市も特産振興と障害者雇用の場の確保を進めており、ガバメントクラウドファンディング実施につながった。
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JAの担当者は「生産者が年々減っており、このままでは生産が途絶えてしまう。この農福連携をきっかけに、レッドパールの生産量維持と市内の農業活性化につながってほしい」と期待する。
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2021年01月28日

どんな町?どんな人? 「地域おこし協力隊」“お試し” 理解深め末長く 北海道ニセコ町
条件不利地などに原則1~3年赴任して農山村の活性化を目指す「地域おこし協力隊」の「お試し」が、各地で広がってきた。これまで任期途中で辞める人も多かったことから、長期赴任前に数日間地域に滞在することで、受け入れ側とのミスマッチを少しでもなくすのが目的だ。導入する農山村は「地域をPRする契機とすることで関係人口の増加にもつながる」と効果を感じている。(尾原浩子)
ミスマッチ防ぎ関係人口増期待
1月中旬、豪雪地域の北海道ニセコ町で広島市から来た会社員の和田健斗さん(23)が、直売所「ニセコビュープラザ直売会協同組合」の奥芝利弘店長から町の農業について聞いていた。「来ないと分からないが、観光だけじゃなく農業が盛んなんだ。冬でも野菜は豊富。夢を応援するし、相談にも乗るよ」と笑顔で話す奥芝店長の言葉に、和田さんは安心した様子だ。
1月から2泊3日程度で協力隊希望者の「お試し」を受け入れ始めた同町。和田さんはその1期生だ。3日間の体験移住を通じ「雪の多さには驚いたが、やっていける。この町の協力隊になりたい」と思いを確かなものにした。自然の中で暮らしたくて協力隊を志望したが、まだ現在の仕事を辞めておらず「お試しなら気軽に参加できる」と考えて応募した。
同町では10年前から協力隊員らと地域づくりを進めており、現在は隊員23人が活躍。任期を終えた21人のうち7割が定住するなど成果を上げている。しかし中には、仕事を辞めるなど退路を断って赴任したにもかかわらず、受け入れ側と双方で意識の齟齬(そご)が生まれる状況もあった。
同町で協力隊を担当する川埜満寿夫さん(42)は移住コーディネーターや野菜ソムリエ、地域の拠点づくりなどさまざまな仕事で生計を立てる奥田啓太さん(35)に相談。1次産業に携わる人や現役隊員との交流、直売所訪問などを企画した。
奥田さんは「ハードルを下げてさまざまな人に来てほしいが、どんな人が来るのか少しでも分かっておけば、受け入れる側の安心感につながる」と実感。川埜さんは「協力隊の希望者は道外出身者が多く、ニセコ町をイメージしにくい人もいる。隊員にならなくても、町の魅力を知るきっかけにしたい」と期待する。
現状では新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言が再発令された地域の希望者は参加できないものの、2021年度も感染対策を徹底した上で希望者を受け入れる考えだ。
インターン制新設 総務省
総務省によると、19年度の地域おこし協力隊員は5503人。全国1071の自治体が受け入れている。同省は同年度に「おためし地域おこし協力隊」制度を始めた。実施する自治体には特別交付税措置で支援する。
同省によると、初年度は36自治体が「おためし協力隊」を導入。お試し期間を経て採用に結び付かなかったケースもあるが、新潟県柏崎市は「集落の世話人と話し、雰囲気を確認できる意味は大きい。2泊3日なので会社員でも気軽に参加できる」と効果を感じている。
21年度からは新たに、協力隊に関心を持つ人に2週間~3カ月の任期で活動を体験してもらう「インターン制度」も設ける。お試し、インターンとも自治体や希望者の希望に沿って導入でき、両制度で行政、住民、協力隊のミスマッチを防ぎたい考えだ。
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2021年01月27日

「獺祭」旭酒造が「山田錦」コン グランプリに北嶋さん(福岡県朝倉市) 価格は1俵50万円
日本酒「獺祭(だっさい)」の原料となる酒造好適米「山田錦」の品質を競う全国コンテストで、朝倉市のウィング甘木の北嶋将治さん(47)が最高位のグランプリに輝いた。「獺祭」の蔵元、山口県岩国市の旭酒造が3・6トンを3000万円で買い取る。北嶋さんは「従業員一同、胸を張って言える素晴らしい賞だ」と喜びをかみしめる。
コンテストは「最高を超える最高」をテーマに旭酒造が企画した「山田錦プロジェクト」の一環。2回目の今回は全国各地から127人がエントリーし、品質基準をクリアした63点を対象に米の粒そろいや色つや、着色などを審査した。準グランプリには山田錦栽培研究所(栃木県下野市)の紙本進さんが輝いた。
グランプリを受賞した米は、1俵(60キロ)当たり50万円の高値で取引される。市場価格の約20倍で、旭酒造は「最高を超える最高の獺祭」の原料として活用し、2月中には仕込みが始まる予定だ。
大規模農業を展開するウィング甘木は「山田錦」を約26ヘクタールで栽培。昨年は7月の長雨や台風に見舞われたが、社員15人が力を合わせ、高品質栽培という一つの目標に向けて取り組んできた。
コンテストの受賞結果は、旭酒造が23日、オンライン形式で発表した。ライブ中継で授賞式も行い、旭酒造の桜井一宏社長は「予選の時から、一目見て出来のすごさを感じた」とたたえた。北嶋さんは「地域の先駆けになれた誇りと重圧を受け止め来年度も気合を入れて頑張っていく」と意気込む。
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2021年01月27日

農福連携の選択肢広げる“技あり” ICT活用「体動かなくても活躍の場」
情報通信技術(ICT)やスマート農業の進歩で、体を動かすことができない重度身体障害者らも農業分野で活躍できる環境が整ってきた。接客やAI機器開発の一端を担うなど、農福連携の新たな姿を見せている。専門家は「障害者の雇用の幅が広がる可能性を秘めている」と話す。(川崎学)
分身ロボ 農産品PR
宮城大学は遠隔操作が可能な分身ロボット「OriHime(おりひめ)」を使い、重度の身体障害者が接客販売をする実証実験をした。……
※次ページで梨収穫ロボットの開発に関わるNPO法人あさがお(福島県南相馬市)の紹介があります。
2021年01月26日
人材集まれ地域で独自策 北海道40JAが着手 北農5連協事業
新型コロナウイルス禍で外国人技能実習生が来日できないことによる人手不足に対応し、北海道の約40のJAなどが地域の課題に応じて自ら発案した人材確保策に着手した。JAグループ北海道の連合会でつくる協議会が、今年度から始めた助成事業を活用。新規就農者の育成、雇用環境や労務管理の向上、農福連携や、農業の魅力PRといった幅広い取り組みが広がっている。(望月悠希)
雇用環境の整備や関係人口創出
JA北海道中央会やホクレンなどで組織する「北農5連JA営農サポート協議会」が、新型コロナウイルス感染症に係る農業人材確保特別対策事業として実施。今年度からJAや農協連を対象に、人材確保を目指すメニューにかかる費用の5割以内または3割以内を補助する。
中央会によると昨年、農業分野で技能実習生や特定技能の外国人375人が、コロナ禍で入国ができなかったり、遅れたりして人手不足が深刻化した。
そこで、主に①障害者や移住者ら多彩な新たな人材の活躍②求人サイトなど新たな募集③空き家の利活用などによる宿泊施設の整備など人材の定着化④労務管理向上⑤産地間連携⑥農作業支援──などを支援することにした。
新規就農者の宿泊施設確保や、関係人口創出につながる農作業体験、求人広告や産地間連携など各JAが独自に対策を展開。外国人技能実習生の入国が遅れたことによる掛かり増し経費なども助成した。即効性ある対策から、中長期的な視点での新規就農者育成までJAの自由な発案に対して補助し、助成額は総額8400万円(計画ベース)となった。
JAきたそらちは、道外の移住者や地域の若者らを呼び込むため、法人就農による人材確保に向けて農家の法人化を推進。事業を活用して今年度から毎月1回税理士を招き、無料の相談会を開く。法人化を目指す組合員から「専門家の意見を聞ける」と好評だ。
JA北オホーツクは農業後継者を確保するため、新規就農者の研修を行うJA出資型法人を立ち上げた。事業を新規就農者や従業員の居住施設の建設に活用。JAは「中長期的な視野で新規就農者を受け入れ、地域の後継者対策につなげたい」と話す。
JA今金町は、約40人のパート従業員らが働くジャガイモの共選施設の労働環境を整備。施設ではトイレが和式で、高齢の従業員には足腰の負担も大きかった。事業を活用し、簡易水洗の洋式に整備。今後は人材派遣なども活用し、人手確保に力を入れたい考えだ。
この他のJAでは、入国できなかった外国人技能実習生の入国前講習の費用や、空港での待機に対する宿泊や移動の補助など、実習生受け入れについて支援するケースもあった。
JA北海道中央会の小野寺俊幸会長は「JAによる技能実習生らの代替人材の確保、人材定着に向けたさまざまな環境整備など、国の事業では対応しきれない多様な取り組みを促すことにつながった」と話す。
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2021年01月25日

大雪「早期に対応策」 秋田県横手市を視察 葉梨農水副大臣
葉梨康弘農水副大臣は24日、昨年12月からの記録的な大雪被害を受けた秋田県横手市を視察した。大雪で倒壊したパイプハウスを視察するとともに、行政関係者らと意見交換を行った。農家からは営農再開に向けた要望があり、葉梨副大臣は「早期に対応策を示すことで、生産者が営農意欲を失わないようにしていきたい」と話した。
葉梨副大臣は雪によって144棟のパイプハウスが壊滅的な被害を受けたホウレンソウ団地を視察した。……
2021年01月25日
地域内外の知恵生かす 関係人口創出モデル報告会
鳥取県と長野県塩尻市は23日、「関係人口」の創出に向けた事業の報告会をオンラインで開いた。地域の住民や企業だけでなく外部の専門家らを巻き込みながら、関係人口を呼び込む企画を立案、実践する同市独自の手法を紹介。同市を参考に、農業分野の関係人口づくりを目指す鳥取県内の事例なども報告した。自治体職員や関係事業者ら約90人が参加した。
塩尻市は関係人口を呼び込む活動を企画立案し、実行するまでのプロセスを紹介。住民や企業が専門家の助言を受けて課題を整理し、活動の内容をまとめた「仕様書」を作成。実践に当たっては外部人材を募り、地域外の視点も入れながら進めているとした。
具体例として地場産ワインの消費拡大に向けて、広報の専門家の協力を受けてファン組織を設立。オンラインイベントも開いたことを報告した。
塩尻市の手法に注目した鳥取県は、関係人口の創出を目指す県内の自治体に情報を提供。実践に移している地域が内容を報告した。このうち大山町は、農業の担い手と労働力不足の解決を目指し、関係人口を呼び込む計画を発表した。鳥取県主催で「まちづくりワーケーションフォーラム」も開いた。休暇で訪問した先で働くワーケーションの将来像と関係人口の創出について、有識者らが意見を交わした。
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2021年01月24日

奈良・明日香村移住者へ 「農+観光業」を提案 収入安定し放棄地も解消
奈良県明日香村は、観光業を営むために村に移住した人などを対象に、耕作放棄地を活用して農業に取り組んでもらうプロジェクトを2021年度から本格的に始める。初心者でもできるように、耕作放棄地を整備して貸し出し、作業も手厚く支援する。より収入が安定する「農業+観光業」の暮らしを提案し、移住の加速と耕作放棄地解消につなげる。
整備後に貸し出し
明日香村には飛鳥時代の史跡が多く残され、年間約80万人が訪れるなど観光が盛ん。……
2021年01月23日

防疫対策で養豚中止 鶏舎に改良 岡崎おうはん初出荷 愛知県立猿投農高
愛知県豊田市の県立猿投農林高校は、今年度から地元のブランド鶏「岡崎おうはん」の飼養を始め、1月中旬に肉の初出荷を迎えた。きっかけは2019年に県内で猛威を振るった豚熱。飼育していた豚を防疫のため全頭出荷後、豚舎が老朽化していたため再導入を諦めていたが、生徒主体で平飼いの肉用鶏舎としてよみがえらせた。生徒らは「高校の新たな名物にしよう」と奮闘している。
「新名物に」奮闘
同校では母豚5頭を飼い、繁殖と肥育をしていたが、豚熱拡大を受けて19年11月までに全頭を出荷した。……
2021年01月23日