21年産米 作付け転換へ10アール4万円 水田交付金 深掘り支援拡充
2020年12月15日

農水省は14日、2021年産米の需給均衡に向けた対応策を示した。水田活用の直接支払交付金の「前倒し対策」を20年度第3次補正予算に盛り込み、輸出・加工用米、麦・大豆、野菜への転換に、10アール当たり4万円を助成。同交付金には21年度予算で前年同額の3050億円を計上し、転作を拡大した場合の加算措置などを拡充する。計3400億円の予算を確保し、「過去最大規模」の転換を後押しする。
前倒し対策は、3次補正予算に290億円を盛り込んだ「水田リノベーション事業」。……
前倒し対策は、3次補正予算に290億円を盛り込んだ「水田リノベーション事業」。……
1 2
おすすめ記事

都市農業の今 映像化 一橋大・農林中金寄付講義 現地へ行けない学生向けに
東京の都市農業の魅力を映像化しインターネット上で公開するプロジェクトに、農業関連ウェブメディアの運営会社「ぽてともっと」(東京都国立市)が取り組んでいる。新型コロナウイルス禍でフィールドワークができない大学生に、都市農業の現状を伝えるのが目的だ。新規就農者やベテラン農家、JA関係者のインタビューを中心とした動画を公開し、一般の人にも農業への理解を深めてもらう。
農家ら取材 魅力深掘り ネットでも広く発信
動画作成は、同社代表の森田慧さん(25)の母校でもある一橋大学の経済学研究科で行われている、農林中央金庫の寄付講義「自然資源経済論」のプロジェクトから相談されたことがきっかけ。5分半~8分の動画を計8本作成した。
コロナ禍の影響で、学生は農業現場のフィールドワークができない状況が続いていた。プロジェクトの担当者から「学生に現場を知ってもらう手段はないか」と相談され、映像で伝えることを提案した。
取材には昨年秋から取り掛かり、生産緑地で新規就農した東京都日野市の川名桂さんや、八王子市で酪農を営む磯沼ミルクファームの磯沼正徳さんら農家を当たった。東京の地場産野菜の集荷・販売を手掛ける国立市の「エマリコくにたち」や、販売・購買・指導など事業が多岐にわたるJA東京むさしも取材した。
農家の車に1日同乗させてもらって話を聞いたり、JAや流通関連会社に1週間かけて取材・撮影したりした。現場の様子を深く知ることができたという。
同大では昨年末、動画を基に学内でシンポジウムを開催。森田さんも交えて都市農業について理解を深めた。
動画は同社制作の都市農業をテーマにしたサイト「モリタ男爵の農業まるごとリポート」でも、1月下旬から公開している。
以前から日本の農業に関心があり「今後は全国の農業現場を映像に残すことに取り組みたい」という森田さん。「農家の話を聞き、撮影することで、立体感のある記録として残せる」と、映像の持つ効果を生かして次の世代に農業を引き継いでいきたい考えだ。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月23日
「サステナブル」
「サステナブル」。数年前、欧州の若い農家にどんな農業をしたいのかと本紙記者が尋ねた時、大概の人からこの言葉が返ってきた▼国連のSDGsのSで「持続可能な」と訳される。何にでもくっつく便利な形容詞であり、行政やビジネスの世界でもよく目にする。政治家が「持続可能な農業」と訴えたら、それらしく聞こえるから不思議だ。昔の「断固農業を守ります」が大挙引っ越してきた感がある。試しに年内に行われる衆院選をご覧あれ▼このサステナブルにEU農政がかじを切った。昨年5月、〈農場から食卓へ〉の新戦略を打ち出した。商品のキャッチコピーみたいだが、掲げた数値目標が農業者を大いに刺激している。2030年までに化学農薬を50%、肥料を20%減らす、有機農業を全農地の25%に拡大する。昆虫やマメ科植物の飼料利用を進める。これはアマゾンの森林を開発して生産した輸入大豆への依存をやめるという意思表示である▼欧州ではサステナブルは明確に環境とつながっている。この考えから食料の生産流通に新たな規律を設けようとの国際潮流がある。9月には国連食料システムサミットがニューヨークで開かれる▼米国がパリ協定に復帰。農業も巻き込んで世界は動く。遅れているのは男女平等だけではない。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月23日

20年度全国農大校プロジェクト 大臣賞に田中さん(大阪)
全国農業大学校協議会は24日、2020年度全国農業大学校等プロジェクト発表会・意見発表会の結果を発表した。最高位の農水大臣賞には、大阪府立環境農林水産総合研究所農業大学校2年の田中麻綾さんの「『高齢者生きがいづくり』につながる、高齢者によるぶどう栽培方法の検討」が輝いた。
田中さんは生きがいを持った高齢者が減少する現代で花蕾(からい)から大きな房ができる喜びは心を豊かにするきっかけになると考えた。……
2021年02月25日
食品残さリサイクル飼料化 加熱新基準でセミナー 中央畜産会など
中央畜産会と全国食品リサイクル連合会は19日、食品残さでつくるエコフィードの製造業者や養豚農家に向けて「食品リサイクル飼料化セミナー」をオンラインで開いた。4月から加熱の新基準が施行されるのを前に、手続き面での注意点や、栄養成分変化などについて農水省や有識者らが説明した。
新基準では、生肉などが混入している可能性があるものについて「攪拌(かくはん)しながら90度、60分以上かこれと同等以上の加熱処理」が必要となる。……
2021年02月23日
我田引水
我田引水。官邸の政策会議の議事録で、一般企業の農地所有を解禁したい人たちの発言を読むと、そう思えてならない▼昨年末の国家戦略特区諮問会議では、兵庫県養父市で認めている農地所有特例の扱いを議論。竹中平蔵パソナグループ会長ら民間メンバーは全国展開を強硬に主張した。「大成功」というのが根拠である▼本当か。6社が農地を取得したが、経営面積のほとんどがリースで所有は7%。しかも1社は休業中だ。民間メンバーは耕作放棄や産廃置き場になっていないと強調するが、自ら望んだ特区なのだから、そうならないよう同市が最大限努力するのは当然であろう。管理された実験室と同じである▼特例は2年の延長で決着。主戦場は規制改革推進会議での農地所有適格法人の要件を巡る議論に移った。論点は一般企業による経営支配と株式上場を認めるか。農業関連法人からの意見聴取では慎重論が相次いだ。それでも農業分野の座長、佐久間総一郎日本製鉄顧問は、まとめの発言で株式上場の重要性を指摘した▼竹中氏は、昨年4月に出した共著『日本の宿題―令和時代に解決すべき17のテーマ』に「企業の農地所有を認める」と書き、前々から答案は作成済み。しかし正答を決めるのは政府である。菅首相のブレーンとされるが、忖度(そんたく)は御法度。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月28日
農政の新着記事
大雪被害のハウス再建 資材発注早めに 納品に数カ月 規格・量 把握を 農水省
昨年12月以降に東北、北陸地方などを襲った大雪で被害を受けた農業用ハウスの再建に向けて、農水省やJA全農は、資材の早めの発注を農家に呼び掛けている。特にパイプは、農家が発注してから納品されるまでに通常でも2、3カ月程度かかる。これから復旧作業が本格的に始まるため、円滑な資材の手配には、必要な規格や量の把握が重要と指摘する。
農水省によると、今回の大雪による農業用ハウスの被害は25日時点で26道府県の1万5420件に上り、被害額も94億円に及ぶ。……
2021年02月28日
民間建物 木造化促す 促進法改正へ自民が骨子 党派超え 今国会成立めざす
自民党は、議員立法による「公共建築物木材利用促進法」改正案の骨子をまとめた。現行法では公共建築物に限って木材の利用を促しているが、この対象を民間の建物にも拡大することが柱。利用期を迎えている国内の人工林の需要確保につなげる。野党にも賛同を呼び掛け、超党派の議員立法として今国会で成立させたい考えだ。
同法は2010年に成立、施行され、国が整備する建築物などへの木材利用を促している。日本の森林は、戦後に植えた人工林を中心に主伐、利用の時期を迎えていることから、民間の建物の木造化も促し、国産材の利用につなげるべきだと判断した。
改正案では、国・地方自治体と事業者が、建物への木材利用の推進に関する協定を締結する。協定の内容は公表し、事業者が着実に実施することを求める。国や地方公共団体は、協定に基づいて木材を利用する事業者に対し、財政支援などで後押しする。
世界貿易機関(WTO)協定の内外無差別の原則を踏まえ、国産材の利用を法律で義務付けることはできない。国産材の利用を推進する場合は、自治体と事業者が合意して協定を結ぶことで対応する。
木材利用について国民の関心や理解を深めるため、木材利用促進の日や促進月間を創設することや、農水省に省庁横断の「木材利用促進本部」を設けることも盛り込んだ。同本部では建築物への木材利用に関する国の基本方針を定め、施策の司令塔ともなる。農相、総務相、国土交通相など関係閣僚で構成し、農相が本部長を務める。
50年に「脱炭素社会」の実現を目指す政府方針を受け、法律の目的に、その実現への貢献を加えた。法律名も「脱炭素社会の実現に資するための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に改称する。同党は今後、野党にも呼び掛け、超党派での法案策定を進める方針。通常国会での成立を目指す。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月28日
養鶏農家3割廃業 コロナ禍、飼料急騰 ナイジェリア
ナイジェリアの養鶏農家の3割が、新型コロナウイルス禍で廃業に追い込まれている。流通の混乱や飼料価格高騰のためだ。食料価格も上がり、消費者を苦しめている。国連はこのまま続くと飢餓人口が年末に30万人に上る恐れがあるとして、国際社会の支援を呼び掛けている。……
2021年02月28日
米作付け意向 28都道府県 前年並み 農相「一層の転換必要」
農水省は26日、2021年産主食用米の作付け意向の第1回調査結果を発表した。1月末現在で28都道府県が前年並み傾向、19府県が減少傾向を見込み、増加傾向の県はなかった。21年産米の需給均衡には過去最大規模の転作拡大が必要だが、一部の米主産地は前年並み傾向。野上浩太郎農相は同日の閣議後記者会見で「需要に応じた生産の実現には、より一層の作付け転換の推進が必要な状況だ」と訴えた。
20年の作付面積との比較で、同省が都道府県や地域の農業再生協議会に聞き取ってまとめた。……
2021年02月27日

[米のミライ](3) 複数年契約 価格変動リスク回避 実需にもメリット JAあいち経済連
JAあいち経済連は、県内JAと協力して、県産銘柄米「あいちのかおり」の5年間の固定価格長期契約取引を推進している。農家は米価の変動リスクを抑えて収入を確保、実需者は業務用米の調達コストを平準化でき、共に経営の安定化につながる。新型コロナウイルスの影響で米需要が見通しにくい中、生産・消費双方から改めて注目が集まっている。
契約期間は2018~22年産の5年間。……
2021年02月27日

米需給緩和 強い懸念 JA外へ働き掛けを 自民政策検討委
自民党は26日、農業基本政策検討委員会(小野寺五典委員長)を開き、2021年産米の需給対策について議論した。議員からは需給緩和や価格下落への懸念が噴出。JAグループ以外の転作推進に向け、行政の対応を求める意見が目立った。20年度第3次補正予算と21年度当初予算案で計3400億円を計上した転作支援策が活用されるよう、現場への浸透を訴える声も相次いだ。
小野寺委員長は、同日公表された1月末時点での主食用米の作付け見通しでは価格下落の懸念があるとして、「危機感を持って対応しなければならない。本当に重要な時期だ」と述べた。……
2021年02月27日
21年産麦 供給過剰に 需要拡大が課題 農水省・食糧部会
農水省は26日、2021年産の国内産麦の需給状況を示した。小麦について、生産者の販売予定数量は86万4000トンで実需者の購入希望数量を5万トン以上上回る。大麦・裸麦でも販売予定数量が購入希望数量を上回る。国産麦は豊作傾向で余剰感が課題となっており、同日の食料・農業・農村政策審議会食糧部会では、国内麦の需要拡大が課題に挙がった。
小麦の販売予定数量が、購入希望数量を上回るのは6年ぶり。……
2021年02月27日
農水省、次官ら6人処分 減給3人 鶏卵大手と会食で
贈収賄事件で在宅起訴された吉川貴盛元農相と鶏卵生産大手「アキタフーズ」前代表の会食に農水省の幹部職員が同席していた問題で、同省は25日、枝元真徹事務次官ら6人に対し、減給1カ月などの処分を行った。調査の結果、利害関係者に当たるアキタフーズが費用を支払ったことを確認。利害関係者からの接待を禁じる国家公務員倫理規定に違反したと認定した。
野上浩太郎農相は責任を取り、閣僚給与の1カ月分を自主返納する。……
2021年02月26日
米需要喚起最優先に 転作財源確保も要望 自民水田議連
自民党の水田農業振興議員連盟(小野寺五典会長)は25日、2021年産米の需給緩和の懸念を受け、今後の対応方向について議論した。出席議員からは米の需要拡大に向け、輸出だけでなく、国内需要の喚起にも本腰を入れる必要があるとの声が改めて上がった。転作支援の財源確保が引き続き重要になるとの意見も相次いだ。
農水省によると、21年産米の需給均衡には、作況指数が100だった場合の20年産の生産量と比べ36万トン、面積換算で6万7000ヘクタール(5%)の減産が必要。需給と米価の安定に向け、作付面積を抑えられるか、「正念場」(野上浩太郎農相)を迎えている。
上月良祐氏は議連で、米の輸出拡大だけでは年間10万トンとされる主食用米の需要減少ペースに追い付かないとし、国内需要喚起の必要性を改めて提起した。「需要の落ちを抑えない限り、(水田農業には)未来がない」との危機感も示した。
進藤金日子氏は「安心感を与えないと、(生産者が)経営安定を図れない」と強調。今後も水田活用の直接支払交付金などの財源を確保することが重要だとし、財務省も含め「共通認識」にするべきとの考えを示した。
宮崎雅夫氏も、予算維持には国民理解が欠かせないとし、国土保全や食料安全保障への貢献といった農業の意義を説明する必要があると訴えた。
同日は、東京大学大学院の安藤光義教授が水田農業政策について講演した。転作助成金が水田の維持や規模拡大などを支えているとし、助成金の削減は「構造改革のはしごを外すことになりかねない」とした。
今後の水田農業について安藤教授は、コスト削減を基本に、輸出だけでなく国内需要拡大を進めるべきだと指摘した。低所得者への提供など、政府備蓄米の活用方法の拡大も検討課題に挙げた。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月26日
農作業安全検討会の初会合 農機対策待ったなし 農水省
農水省は25日、農作業事故防止の取り組みを強化するため、関係団体を集めて対策を議論する「農作業安全検討会」の初会合をオンラインで開いた。特に死亡事故の多い農機が焦点の一つで、安全対策のルール化や安全性検査について、既存の仕組みの見直しも視野に話し合う。農家側の意識向上も柱とする。4月までに3回の検討会を開いた後、具体的な対策に向けた中間取りまとめをする。
農業団体や業界団体、識者らが集まり、農水省が現状を報告した。報告では、……
2021年02月26日