米価14年産並みも 産地全体で危機感共有を 全中が水田農業対策委
2021年03月04日
JA全中は3日、水田農業対策委員会を開き、2021年産主食用米の需給について議論した。20年産の相対取引価格が13年産と同様の動きをしていることから、続く21年産では米価が大幅に下落した14年産並みの低水準になる恐れがあると確認。概算金にも大きな影響が出かねないとの危機感を共有した。
全中やJA全農が情勢を報告した。……
全中やJA全農が情勢を報告した。……
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100歳プロジェクト 支え合う地域づくりを
JA全中は、健康寿命100歳プロジェクトの一層の推進に向けて報告書をまとめた。健康を軸に、組合員・地域住民・JAのつながりを深める。誰もが住み慣れた場所で、できるだけ長く、生き生きと暮らせる地域づくりに生かしたい。JAの組織基盤強化にも結び付けよう。
プロジェクトは、2020年度で開始から10年。健康寿命を伸ばすため「健診・介護」「運動」「食事」を3本柱に、JA介護予防運動やウオーキング、乳和食などさまざまなメニューを提供してきた。今回、内容を改善し、地域活性化に貢献する具体策を検討、報告書をまとめた。
健康の概念を身体中心から精神的なものにまで広げ、3本柱を「からだ」「こころ」「つながり」に再編。体と心の健康と、社会とつながる活動に取り組む。対象も高齢者というイメージが先行していたため、改めて「全世代」を提示した。プロジェクトによって、世代を超えた組合員・住民の仲間意識を醸成する。JAとの接点も増やし、信頼感を高めることで、アクティブメンバーシップを拡大、組織基盤の強化にもつなげる。
10年間を振り返ると、①取り組みにJA間、県間の格差がある②活動が助けあい組織や女性組織、担当部署にとどまっている③行政との連携が不足している――といった課題も見えてきた。健康を軸に地域づくりを進めるには、事業や部署の枠を超え、JAが一丸となる必要がある。
報告書では、農を軸とした健康に結び付く取り組み(アグリ・サイズ)を新たなメニューとして開発、農作業の準備運動、整理運動やフレイル(虚弱)対策となる料理レシピ紹介などを提案する。いずれも共済連や厚生連などの事業連との連携が期待できる。
団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢化が加速する「2040年問題」も見据える。国の推計では、40年時点で65歳の人のうち、男性は4割が90歳まで、女性は2割が100歳まで生きるとされ、“人生100年時代”が視野に入る。一方で、少子化などで現役世代は急減する。
プロジェクトが掲げる「つながり」が、同問題への対策の鍵の一つだ。JAが起点となり、健康を軸に、組合員・住民同士のつながりをつくる。例えば体の健康には健診や運動を、心の健康には社会参加など生きがいを得られる活動をJAが働き掛け、それぞれの取り組みの場所や場面でつながりを生み出す。それを網の目のように張り巡らせ、老若男女問わず支え合う地域づくりにつなげる。
組合員・住民の健康を守り、誰もが安心して長く暮らせる地域づくりはJAの役割である。行政などと連携し、推進しよう。
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2021年04月10日

イチゴ輸出に勢い 2カ月で前年の8割 アジア圏中心
イチゴの輸出に勢いがある。財務省貿易統計によると2月のイチゴ輸出量が493トンとなり、単月では初めて10億円を突破。輸出量も、1月から2カ月連続で前例のない400トン超えとなった。日本産の品質面への評価に加え、新型コロナウイルス下の巣ごもり需要を海外でも獲得している。(高梨森香)
大粒・食味に定評 コロナ下の巣ごもり需要つかむ
日本産イチゴは香港、シンガポール、タイ、台湾、米国などに輸出。2014年から輸出量が伸び、18年には過去最高の1237トンを記録した。19年は不作で1000トンを割り込んだが、コロナ下で物流が停滞した20年も1179トンと18年に次ぐ輸出量を維持。10年と比べて11・5倍になったが、21年はその20年の年間量の8割に当たる913トンを2カ月間で輸出している。
日本産イチゴは海外市場では国内価格の3~6倍で流通するが、大粒の見た目や食味の良さから現地の富裕層を中心に人気が高い。福岡県のJA全農ふくれんの担当者は「コロナ下で輸送用の航空便が減便となる課題があった一方、訪日できない外国人の現地での家庭消費が旺盛だった」と指摘する。
イチゴは輸出の有力品目で、「今後、さらに需要は拡大する」(全農インターナショナル担当者)との見方は多い。越境のインターネット通販サイトを活用した輸出を進める主産地の栃木県は、シンガポールやマレーシアなどで県産イチゴを使った料理教室をコロナ下も開催。海外市場への売り込みを強める姿勢だ。
政府は農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略で25年にイチゴの輸出額86億円を目標に掲げ、全国12産地を「輸出産地」に指定。国内需要を満たした上で輸出向けも確保できるよう生産基盤の強化を急ぐ。農水省は「基盤強化を軸に、流通段階での品質保持、相手国の防除基準やニーズに合わせた生産で輸出量を伸ばしていく」(園芸作物課)と話す。
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2021年04月11日
干し芋 うま~い アイデア 販売方法で“巣ごもり”消費者つかめ
サツマイモを蒸して乾燥させた干し芋が、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要で売り上げを伸ばす。干し芋を手掛ける茨城や栃木の農家は、新たに接触を避ける消費者に向けて自動販売機を活用したり、筋トレ愛好者向けの独自商品を開発したりするなどして消費者の心をつかんでいる。(木村泰之)
自販機設置 売り上げ増 接触少ない買い物
飲み物と干し芋が買える自動販売機。黒澤さんが商品を整理していた(茨城県ひたちなか市で)
農水省によると、2019年産の茨城県の干し芋の生産量は3万2118トンで、全国の87%を占める。中でも400戸以上の干し芋農家がいるひたちなか市でサツマイモ「べにはるか」を約5ヘクタール作る黒澤太加志さん(43)は、国道245号沿いに1月から自動販売機で干し芋を売る。黒澤さんは「干し芋と飲み物が一緒に買える自動販売機は他にないだろう」と胸を張る。飲み物の缶やペットボトルの他、平干しと丸干しの2種類が選べる。透明なカップや箱に入った140グラム入りと170グラム入りが、1個650円で購入できる。
自販機を置いた国道沿いは、観光地の国営ひたち海浜公園に近い。黒澤さんは、店舗の営業時間外でも往来客が買うと見込んだ。赤と黒に塗られた目を引く自販機で売る干し芋は売り上げを伸ばし、観光客だけでなくコロナ禍で、人との接触を減らした買い物を望む客などが訪れる。3月中旬の時点で約90個売れて、1日に2回補充することもあった。
自販機設置を機に観光客が買うようになり、リピーターとなって通販でも購入したことで、20年は前年比1・5倍の3000万円を売り上げた。「茨城の人にとって干し芋は冬の食べ物。だが、全国では年中食べるものになってきた。以前は5月で加工を終えていたが、あまりの売れ行きに周年で加工したい」と話す。
筋トレの“相棒” 購買層絞り商品開発
購買層を限定した干し芋も生まれた。栃木県壬生町の約4ヘクタールで「べにはるか」を有機栽培する戸崎農園は、トレーニングをする人向けの干し芋「フィジーモ」を2月から販売する。農園の戸崎泰秀さん(46)は「干し芋フェアを開いた時、筋肉質な人が続々と買っていった。そんな人向けに売れるのでは」と企画の経緯を話す。干し芋は、糖の吸収が穏やかで血糖値の急上昇を抑えられるといわれる。
ダンベルを上げながら干し芋を口にする中川さん。「かみ応えがある干し芋はトレーニングに最高でもはや主食」と語る(栃木県壬生町で)
1袋50グラム入りを6袋1400円で販売する「フィジーモ」は、鍛えた肉体のバランスの美しさを競う競技のフィジークに由来する。購入した栃木市の中川博登さん(46)は「干し芋を筋トレの相棒にしてから便通が良くなり、100キロあった体重が78キロになった。糖質制限をしながら固形物が食べたいときに干し芋はぴったり」と勧める。
筋トレに励む人の声を踏まえたフィジーモは、かむ回数を増やそうと乾燥時間を長くした。カロリーコントロールや保存のしやすさを考え、チャック付きの小分け包装にした。
戸崎さんは、コロナ太りの解消でスイーツを自粛する層に受け入れられてきたとして、「20年は干し芋だけで年間2000万円を売り、昨年の2倍増だった。売り方を工夫すれば干し芋は挑戦しがいある品目だ」と力を込める。
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2021年04月08日

規格外の花販路拡大 取扱店コロナ前の17倍 来年度は1000カ所目標 東京・ハナネ
市場規格外の花を扱うハナネ(東京都港区)の販売量が拡大している。先月はブックオフなど取扱店が51店に増え、新型コロナウイルス流行前の3店から17倍となった。花売り場を設置した店では、本業の売り上げ増につながる効果も出ている。
同社は市場規格外生花をどれでも1本100円で販売する「花つみ」を展開。……
2021年04月07日
その昔、カジノの本場、米国ラスベガスでスロットマシンに興じた
その昔、カジノの本場、米国ラスベガスでスロットマシンに興じた。ビギナーズラックは、訪れなかった▼当時、お世話になっていた日系2世のおばさんは、そのスロットマシンで遊ぶ休暇を楽しみに毎日農園で働いていた。ラッキー7を求め、全米、いや世界から観光客が押し寄せ、歓喜と落胆が不夜城の街を支配した。おけらになろうが、大金持ちになろうが運次第▼人間界はそれで済むが、ウイルス界となるとそうもいかない。ウイルスが生き延びるため変異を繰り返すことは、新型コロナで学習したばかり。ウイルスもまたスロットマシンのように、レバーを引くたびに遺伝子の配列が変わる。多くは「小当たり」「中当たり」だが、問題はいつ人類を危機に陥れる「大当たり」が出ても不思議でないこと▼そう警告したのは、8年前に刊行された『人類が絶滅する6のシナリオ』(フレッド・グテル著)。同書は、「スーパーウイルス」を筆頭に「気候変動」や「食料危機」などを挙げ、「滅亡の淵」に立つ人類に最悪の事態に備えよと呼び掛けた▼変異を繰り返す新型コロナウイルスが「大当たり」を引き当てる前に、人類の英知は働くのだろうか。運を天に任せるギャンブラーの気分である。
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2021年04月08日
JAの新着記事

JA運営に准組の声を 実践の年 懇談会、総代選出広がる
JAの事業や運営に准組合員の声を反映する取り組みが広がってきた。懇談会や全戸訪問、総代選出など、JAごとに多様な方法を展開。集まった要望は事業計画に盛り込むなどして実現する。JAグループは2021年度を意思反映の“実践の年”とし、取り組みを加速させる。
水稲を中心とした農業が盛んな滋賀県のJAこうかでは、19年に運営参画を進めるための方針を定め、「准組合員懇談会」を開始。……
2021年04月11日

医師会と介護で連携 専門性生かし福祉強化 広島・JA三次
広島県のJA三次と一般社団法人三次地区医師会は8日、地域の高齢者福祉サービスの充実に向け、介護事業で連携協定を締結した。医療と介護でそれぞれの強みを生かし、人材交流や研修会の開催などで連携する。協定に先立ち5日から、同JAの通所介護施設に同医師会からリハビリテーション専門職を派遣。人材育成とサービス向上に役立てる。
JAと医師会が介護事業で連携するのは全国でも珍しく県内初。……
2021年04月09日

コロナ禍の減収農家応援 組合員4911人に支援金 JA山形おきたま
JA山形おきたまは、総額2億円の新型コロナウイルス感染症対策生産者支援を行った。コロナ禍による減収など、農業経営に打撃を受けた組合員の経営継続を支援する。支援対象者は、JAに継続的に販売している生産者で、正組合員のうち約26%に当たる4911人。販売高や販売手数料を基準に1億5000万円を支援した。
子会社も利用券配布
昨年6月に開いた第26回通常総代会で決議された積立金を原資にした。……
2021年04月07日

知床ブランドで新商品 JA名変更、「冠」を活用 北海道・JAしれとこ斜里
北海道JAしれとこ斜里は、JAの名称を変更したことに伴い、加工品を新発売した。世界遺産で知名度の高い「知床(しれとこ)」に改めたブランド化戦略の一環で、JAの商品を売り出していく。
JAは2月、「JA斜里町」から名称を変更した。……
2021年04月05日
JA内部監査共同化へ 来年度にも本格導入 福岡中央会
JA福岡中央会は2021年度、県内JAの内部監査の受託を試行する。監査の質を高めて事業の検証や改善をJAに提案。不祥事防止にも生かす。一定の能力が求められる監査担当者の育成負担の削減にもつなげる。22年度からの本格導入を視野に入れる。
県内20JAでは、それぞれ監査部に3、4人を配置している。……
2021年04月03日
JAに消毒マット イノシシわな助成 豚熱対策事業を継続 全国機関8団体
カ豚熱対策の独自事業を2021年度も続ける。JA職員らの移動で感染が広がるのを防ぐため、新たに要所のJA関係施設に消毒用のマットを配る。JA・県域で野生イノシシ対策に取り組む場合の、わなの購入費用なども支援する。
事業は19年度に始めた。……
2021年04月03日

職場内学習の動画制作 コロナ禍の人材育成 考案 先生は若手職員 JA岐阜中央会
農協改革やコロナ禍などJAを取り巻く環境が大きく変化する中、JA岐阜中央会は、JAの人材育成を支援する学習補助教材として動画を制作した。講師は中央会の20代~30代前半の若手職員が担当。農協運動者としての意識と、行動が改革できる職員の育成に取り組む。……
2021年04月03日

“農商工福”連携で展開 「唐辛子プロジェクト」 粉末1キロを初出荷 広島・JA三次青壮年連盟
JA三次青壮年連盟は、“農商工福”連携で取り組む「唐辛子プロジェクト」で、三次市の江草商店に栽培したトウガラシの粉末1キロを初出荷した。プロジェクトは、地元産農産物と三次産加工品とコラボした「農」と「商」の農商工に、地元大学のボランティアサークルや福祉施設も加わり、農商工福で垣根を越えた活動を展開。念願の初出荷で、新たな特産に期待が高まる。……
2021年04月02日

高齢農家のハウスを 生産拡大希望者へ 遊休資産の承継 仲介 県内1号が実現 JA山口中央会マッチング事業
円滑な経営承継を目的にJA山口中央会が2020年に創設した「リノベーション・マッチング推進事業」で県内第1号の承継が実現した。承継者は18年に兵庫県からIターンで就農した平生町の竹本彰太さん(64)。高齢のため生産を断念した同じJA山口県田布施イチジク部会の農業者からハウスを承継した。規模拡大に投資コストを抑えながら生産拡大とともに産地維持につなげる。
推進事業は、農業者の所有する遊休資産を掘り起こし、担い手に移譲する際、必要な改修や修繕にかかる費用の3分の2(500万円上限)を助成する。……
2021年04月01日

SNSの発信力実感 物流学ぶスマラさん 海外から対談依頼 和歌山・JA紀南直売所「紀菜柑」
きっかけはインスタグラムの投稿から──。和歌山県のJA紀南は、インドネシア大学の学生から、JA直売所の仕組みや役割などについてインタビュー依頼があり、販売担当者らが対応した。意図せず届いた海外からの反応に、担当者はインターネット交流サイト(SNS)の発信力を改めて実感、今後も活用に力を入れる考えだ。
JAに問い合わせをしたのは、同大学日本地域研究学科のデウィ・スマラさん(38)。……
2021年03月31日