[未来人材] 31歳。生保会社からNPO法人へ、猟師にも“転身” ジビエ消費をもっと 林利栄子さん 京都市

鹿肉の肉まんを手に「ジビエの消費を増やしたい」と話す林さん(大阪市で)

 京都市の林利栄子さん(31)は、野菜の販売などを行うNPO法人の職員として働きながら、猟期には銃を携えて毎週のように山に出向く猟師だ。狩猟をする中で感じた「命を無駄にしたくない」との思いから、鹿肉を使った料理の食事会を独自に企画するなど、野生鳥獣の肉(ジビエ)の消費を増やそうと奮闘する。

 同市出身。大学を卒業した後、生命保険会社の営業として大阪市で働いていた。しかし、働く中で「お金や契約を通じた人とのつながりが嫌になってきた」(林さん)。契約などを考えず人と付き合える仕事がしたいと思うようになり、転職を決意。兄の紹介で参加した飲み会で出会ったのがNPO法人「いのちの里京都村」(京都市)の職員だった。「移住するわけではないし、農業、農村に関わる仕事もいいかもしれない」と2013年に同法人に就職した。

 最初の仕事は、鹿肉を使った肉まんの販売だった。府内のイベントに出店して1個500円で販売したが、待っていたのは消費者からの「臭そう」「高い」「かわいそう」といった声だった。「当時は知識もなく、なぜ高いのか、なぜ鹿肉を活用した方が良いのか、消費者に答えを返せなかった」。ジビエや鳥獣害について真剣に学ぼうと、猟師を志すようになった。転職してから1年目で、銃猟ができる第1種銃猟免許を取得した。

 知り合いの猟師に同行して狩猟に行き、生まれて初めて鹿を捕まえ、解体する姿を見た。「返り血を浴びても淡々と処理する姿に圧倒された。遊び半分ではなく、使命感を持ってやらないといけない」と感じ、食べて無駄なく活用したいと思うようになった。

 家庭での消費拡大につなげようと、鹿肉を使った食事会「べにそん会」を15年から始めた。

 料理は自ら調理する。ハンバーグやかつ、しょうが焼きなど家庭料理を5品ほど出す。家庭でできるメニューにこだわる。参加者からは「これなら家でも鹿肉を使えそう」といった声が上がるなど好評という。参加費は2000円。毎回、20人程度が参加し、これまでに20回以上開いた。

 林さんは「猟師は高齢化が進み、ジビエの普及までするのは大変。若手の私が普及に力を入れジビエの消費を増やしたい」と話す。(藤田一樹) 
 

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