[未来人材] 32歳。 3年がかり 日本版「ブラウンチーズ」開発 副産物で酪農活性化 中島大貴さん 佐賀県嬉野市

日本では珍しいブラウンチーズを製造・販売する中島さん(佐賀県嬉野市で)

 キャラメルのような口当たりと黒糖のような甘さ。そんな特徴を持つ、日本では珍しい「ブラウンチーズ」を世に送り出したのが、佐賀県嬉野市で酪農を営むナカシマファームの3代目、中島大貴さん(32)。チーズ作りの副産物で廃棄することが多かったホエー(乳清)を、魅力的な商品に仕上げた。チーズの販売などを通じ、「地域にあってよかったと思ってもらえる牧場」を追求する。

 麦畑が広がる同市の一角。乳牛80頭が過ごす牧場の隣の工房に、おいしいチーズの評判を聞いた消費者が次々とやってくる。ひときわ目を引くのが、茶色いブラウンチーズだ。多くの人が「初めて食べた」と驚く。砂糖を使わない乳糖由来の自然な甘味に、年配の男性もとりこになるという。

 10年前にUターンで家業を継いだ中島さん。その後、急激に進む酪農の衰退に危機感を覚えた。その一因に臭いや騒音による近隣との関係悪化もあると考え、周囲との良好な関係を保つ必要を強く感じた。「地域に牧場があってよかったと思ってもらうため、おいしいものを提供する」。原点に立ち返り、新たにチーズ製造に目を付けた。

 一方、チーズを製造する傍ら、その過程で大量に生じるホエーの処理に悩まされた。活用方法を探る中、ホエーを煮詰めて作るノルウェーの茶色いチーズ「ブルノスト」に行き着いた。これを参考に3年ほど試行錯誤を重ね、生乳とホエーを煮詰める製法を確立。昨年にブラウンチーズの商品化にこぎ着けた。平安時代に日本で食べられていたとされる乳製品「蘇(そ)」もヒントにした。

 食味に加え、廃棄していた副産物を原料に採用したことが注目を集め、ブラウンチーズはジャパンチーズアワード2018で出品部門の1位に輝いた。「試作段階から、いけると思っていた」。少ない量で栄養を取れるため、食が細い高齢者向けの栄養補給食としても活用できるとPRする。

 学生時代に建築やデザインを学んだ経験を生かし、工房の設計や商品のデザインなども手掛ける中島さん。その腕を生かしてカフェを開くなど、新たな夢も描く。「酪農は多くの人の生活を支える産業になれる」。そう確信し、目を輝かせる。(松本大輔)
 

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