北海道 こだわり生乳脚光 放牧・非GM飼料・飼養管理 

放牧や非GM飼料といった生産にこだわる石黒さん(北海道幕別町で)

取引5年で4割増 乳価に加算、活用進む 


 北海道で酪農家の「こだわり」を乳価に加算する「特色ある生乳のプレミアム取引」の活用が進んでいる。アニマルウェルフェア(快適性に配慮した家畜の飼養管理)や非遺伝子組み換え(GM)飼料給与といった生産管理などに一定単価を上乗せするもの。取引に参加する乳業メーカーは増え、2018年度の取扱乳量は5年前比4割増。農家のこだわりを評価しながらマーケットイン(需要に応じた生産・販売)を目指している。

 十勝地方にあるJA忠類管内の幕別町忠類地区で、乳牛約90頭を飼育する石黒和彦さん(54)は、よつ葉乳業の「よつ葉放牧生産者指定 ノンホモ牛乳」(よつ葉乳業共同購入グループへの限定販売)に使う生乳を出荷する。この生乳は、JA管内で①放牧②非GM飼料③アニマルウェルフェアの順守──に取り組む5戸が出荷し、プレミアム取引の対象だ。こだわった生産管理でコストがかかった分、一定の上乗せがあり、石黒さんは「生産のモチベーションが上がる」と評価する。

 また同社は、十勝地方で非GM飼料を使う酪農家の牛乳を商品化する。その生乳の安定確保に向けプレミアム取引を活用。非GM飼料を使う牛乳の販売は好調で、一般消費者向けの18年度の売上数量は6年前から8割以上増加。付加価値のある生乳の確保で売り上げ増につなげている。

 帯広市で乳製品を製造販売する十勝ミルキーは今年から、非GM飼料でジャージー牛を育てる酪農家とプレミアム取引を始めた。年間60~70トンの生乳を取引する計画で「搾りたて十勝ジャージー牛乳」などの商品に使う。乳脂肪分が高く濃厚で滑らかな味わいが特徴。消費者の健康志向に応える。同社の従業員は約10人。加藤祐功社長は「大手メーカーとの差別化には、特徴ある商品が重要」とプレミアム取引を通じて新商品開発を目指している。

 取引を仲介するホクレンによると、プレミアム取引に参加するメーカーは年々増えている。生乳量ベースで18年度1万9660トン。全体の生乳量の1%に満たないが、5年前に比べ4割増えた。ホクレンは「今後も差別化に向けた製品開発は進むだろう。共同販売を母体にメーカーから希望があればプレミアム取引を拡大したい」とする。ホクレンの中期計画の「マーケットインを踏まえた生産・販売体制の強化」の一環で推進する構えだ。
 

<メモ>


 「特色ある生乳のプレミアム取引」はプール乳価に加え、一定の単価を上乗せする仕組み。北海道では、ホクレンが生産者とメーカーの申し出を受け、各地区JA代表でつくる生乳受託販売委員会の意見を踏まえ、対象とするか決める。乳牛の種類や生乳の生産管理の方法、乳質の規格などの「こだわり」を見て判断する。単価はJA・生産者とホクレン、メーカーが、「こだわり」に対し、必要なコストと付加価値を算出する。現在、乳業メーカー4社が参加する。 
 

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは