豚コレラワクチン 推奨地域追加の8都府県 まず一安心…でも 怖い感染イノシシ

写真は11月に行われた静岡でのワクチン接種(静岡県提供)

 農水省が豚コレラ(CSF)の予防的ワクチンを接種できる推奨地域を拡大した。新たに対象となる8都府県の養豚農家からは、ワクチンの接種を歓迎する一方、野生イノシシの感染が広がっていることなどから、衛生管理の徹底へ気を引き締める声が相次いだ。
 

防疫 気引き締める


 今回、推奨地域となった千葉、茨城、栃木の各県は豚の飼養頭数で全国の5、6、7位を占める畜産県だ。

[茨城]

 茨城県養豚協会会長の倉持信之さん(67)は、「県内の養豚農家は、ひとまず安心したと思う」と話す。自身、坂東市で母豚600頭を飼育する一貫経営を行う。防疫対策も万全を期す考えだが費用もかさむため、「国や県に支援してもらいたい」と要望する。

[栃木]

 「10月から県に要請していたので、念願かなって喜んでいる」と話すのは栃木県養豚協会会長の星正美さん(67)だ。那珂川町で母豚150頭、人工授精用の雄80頭の種豚を飼育する。「(非接種地域への移動が制限される)種豚と人工授精用精液の流通に支障がないよう、万全な対策を講じてほしい」と話す。

[千葉]

 千葉県でナイス・ポーク・チバ推進協議会会長を務める旭市の岩岡喜久男さん(62)は、母豚500頭を飼育し年間1万2000頭を出荷する。「ワクチンで豚コレラを防げるなら防ぎたい。接種にかかる費用負担も、国や県に引き続き要望をしたい」と話す。

[東京]

 「トウキョウX」の生産地、東京都。TOKYOX生産組合の澤井保人組合長は、ワクチン接種の推奨地域となったことに「まずは一安心」と胸をなでおろす。非接種地域には種豚の移動ができなくなるが、ワクチン接種を見越して他県の生産地には原種豚を生産できるよう別系統の導入などを呼び掛けていた。推奨地域となった県での生産もでき「今後はやってみないと分からない部分もあるが、トウキョウX自体の生産はおおむね大丈夫」との見方を示す。

[神奈川]

 隣接する山梨県で豚コレラが発生した神奈川県養豚協会理事長の山口昌興さん(58)は、清川村で母豚700頭を飼育し年間1万4000頭を出荷する。「発表を聞いて『ようやくワクチンを打てる』という思いだ。ただ県外では野生イノシシの感染が広がっているのでそれを封じ込めることが大事。農場の衛生管理を徹底し豚を守りたい」と気を引き締める。

[新潟]

 新潟県は来年1月中旬をめどにワクチン接種を始める。約2カ月で初回接種を終える予定で、県内約13万5000頭が対象となる。県は1頭当たり330円かかる接種手数料を初回について全額免除する方針だ。

 県養豚協会会長で600頭を飼養する新発田市の相馬政春さん(64)は「接種できるよう国に要望していたので大歓迎。しかし、近年イノシシが増え、油断はできない。防疫措置を継続したい」と、気を引き締める。

 西日本では、京都と奈良の2府県が新たに接種推奨地域に加わる。

[京都]

 京都府は現在、国に提出する接種プログラムの作成を進めている。府は「隣県での豚コレラの発生を受け、府内生産者からワクチン接種を求める声が上がっていた。年内か年明けにもプログラムを提出したい」(畜産課)と話す。

 同プログラムでは、府内43施設で飼育される約1万1000頭が初回接種の対象となる見通し。九つの養豚場の約1万500頭が大部分を占める。府は「府内の全養豚農家からは既に、ワクチン接種への合意を得ている。1月中の接種開始を目指したい」と話す。

[奈良]

 奈良県は「県内で豚コレラが発生する前に、感染拡大防止に向けた対策ができる」(畜産課)と好意的に受け止める。

 県内では15施設で飼育される約5800頭が初回接種の対象となる見込み。七つの養豚場の約5750頭がほとんどを占める。県は1月にも、豚コレラ発生県に接する県北部から接種を始める方針。県は「農家負担の軽減に向け、ワクチンの接種費用などの支援も考えたい」と話す。

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